裏金特集へ    2月20日の中田県議の質問大要を紹介します。知事答弁と再質問は下方に
県議会へ
 2月20日臨時県議会
「県庁裏金問題についての知事の総括報告」に対する質問
                         県議会議員 中田晋介

 第一に、県庁裏金問題に関する知事の責任と返還額について質問します。
 物品調達問題処分等検討委員会は、県庁裏金すなわち「預け」に対する知事の対応について、意見書で次のように指摘しています。

 「知事が就任して1年あまり経過した平成11年5月ないし6月頃、県庁内で不適切な物品調達、いわゆる『預け』が行われているのを知り、出納長に解消するよう指示した。しかし、水産、農林、土木など公共事業関係及びその関係する地方機関以外の部署の職員は、預けの解消の指示はなかったとの証言があった。 さらに預けの解消指示が公式文書では行われなかったため、全庁的な共通認識を得ることができず、その後の再発防止の取り組みが徹底されなかった大きな要因となった可能性が高い」と。

 その上で、知事の責任について「その当時の調査が十分でなかったこと、預けの廃止、禁止が全庁的に徹底しては行われなかったことなどから、違法な手続による不適切な物品調達が続いてきたことについて、その指揮監督上の責任が認められる可能性がある」として、「知事も含めた現役の三役と教育長並びに退職した三役と教育長で返還総額の10%程度を負担するのが相当」としています。

 この指摘を知事はどう受け止めているか質問いたします。

 私は、当時の知事の不十分な認識と対応の誤りこそが、その後の再発防止の取り組みが徹底されなかった最大の要因であり、処分検討委員会がいう「可能性が高い」とか「可能性がある」というものではなく、まさにそこから今日の重大な事態が引き起こされてきたと考えます。
 そもそも当時の知事の認識は、昨年10月31日の記者会見で述べているように、出納長から「県の予算の仕組みとして、建設事業関係の課の事務費をこうしてプールして経常的に事務費が厳しいところに配分している」という話を聞いて、知事は「そういう事情のものであるけれども、また、理解はある程度できるけれども、不適切なものには違いないので再発防止を講じることをお願いしました」と述べています。

 預けは「そういう事情のものであり、理解はある程度できるが、不適正なものには違いない」というのが知事の受け止め方ですから、違法性の認識も薄く、廃止・禁止の意向も弱いものでした。
 だから、当時業者のもとにあった2億2485万円の預けという裏金を、即座に回収して県民の税金として表の金にするということをせず、裏金として使ってしまうように違法行為を容認しました。

 この時知事がこれをちゃんと回収していれば2億2485万円の県民の税金が救われて、いま、返還の対象にはなりませんでした。それによって預けの違法性も職員に広く知れ渡って、その後の2億円の新たな預けも発生しなかったでしょうし、いま職員が共同で2億円の返済をしなくてもよかったはずであります。
 このことについては知事も認めて、2月8日処分等検討委員会の意見書が出たあとの記者会見で「平成11年の時点で的確な指示ができなかったため、このようなことが再びおこったことについては大変申し訳なく大いに反省しているところでございます」とのべています。

 そうであれば、10%などというすくない額ではなく、知事だけでもその大きな責任と反省にふさわしいもっと大きな負担をして、裏金にかかわっていない職員の負担をなくすべきであります。知事の見解を質問します。

 第二に、現状は全容解明には程遠くこれで幕引きは許されない、ということであります。
 昨年11月24日の外部調査委員会の報告書は「これ以上の内部調査も外部調査も事実上困難であると判断される」といっていましたが、県民の怒りの世論を背景に進められた再調査によって、1月19日の再調査報告書では、裏金の総額が3億3500万円から4億0775万円に21%も増えて明らかになり、粘り強く調査をかさねるほど、真相が判明してくることを示しています。
 いま再調査の結果、公的流用が69%、不適切な使用すなわち私的流用が6%で、残り25%の9千万円が公的に使われたかどうか確認できていない」と報告されています。
●その9千万円のなかに重大な私的流用があるのではないか。
●着服したり飲食の払いに使ったのは政策企画課の課長補佐ひとりだけか。
●裏金でゴルフクラブやビール券200枚、1万円のハイウェイカード28枚など、でたらめな私費流用があったのは、裏金をあった68部署の中で、本当に長崎土木事務所と秘書課の2部署だけなのか。
●裏金の発覚後、各新聞が業者の証言として次々に報道した「裏金を20万円、30万円の商品券にして職員に届けた」、「職員が私的飲食代のツケ払いに使った」、「職員の高級靴を買った」、「裏金でビール券を届けた」、「忘年会の二次会は業者が裏金で払った」などの事実について、調査結果はどうだったか


 これらを明らかにしないままの幕引きでは全容解明には程遠く、到底県民の納得を得られず信頼の回復も図れません。いまこそ、内部調査や外部調査よりもさらに強力な法的権限を持った県議会の百条調査が必要と考えます。議会の解明も含め、(今後の真相解明についてどう思うのか)知事の見解を質問します。

知事答弁及び再質問の要旨】   

 

(答弁・金子知事)
 平成11年当時の対応に対する反省と責任から、二度と間違いをしてはならないという強い思いから、今回の問題については組織をあげて実態解明を重ねてきました。また処分検討委員会でも、私はじめ当時とその後の県三役から事情聴取をしていただき、その結果については意見書にまとめられているところであります。しかし、結果として当時の調査が十分でなかったこと、預けの廃止・禁止が全庁的に徹底して行われなかったことなどから、不適切な物品調達が続いてきたことについては、その指揮監督上の責任が認められる可能性があるとのご意見であり、厳粛に受け止め大いに反省しているところであります。


(答弁・立石副知事)

 今回の問題につきましては、外部調査委員会のお力添えをいただきながら、組織の総力をあげて実態解明に取り組んできたつもりでございます。再調査におきましては、職員から詳細な顛末書を500人以上にわたって提出させ、個別の事情聴取も行いました。納入業者にも帳簿などの提出がない場合、指名停止も検討すると伝え、預けの有無や資料の存在に関して確認書の提出を求めるなど最大限の努力をおこないました。調査結果は、すべて出尽くしたとはいえないかもしれませんが、外部調査委員会でも一定の評価をいただいています。このようなことから外部調査はこれで終了させていただき、今後は、処分、資金の返還などについて早急な対応を行い、職員一丸となって再発防止に取り組み、一日も早く県民みなさまの信頼をかいふくできるよう努力をつづけてまいりたいと存じます。


(再質問・中田県議)
 外部調査委員会の報告書は「預けは明白な違法行為であり、業者のもとにある預け残は回収されたい」としています。知事が平成11年に知った時、なぜ回収して表の正規の金にしようとしなかったのか、なぜそれ以上の違法行為を断とうとしなかったのか。この責任は、総額の10%の返還ですむものなのか、ときいとるのです。


(答弁・金子知事)
 私の金額は、処分等検討委員会から報告がございまして、それを参考にして、

 私としては判断をさしていただきました。


(質問・中田)
 私は、知事の責任はそんなものよりはるかに大きいと自覚すべきであるといっているのであります。そして、長崎市議会でのマルコ会事件の百条調査のように、県議会もまた本問題を徹底して調査して、その責任を果たすべきことを主張して終わります。