2007年12月議会
 中田県議の一般質問と県の答弁

【質問・中田県議】
 日本共産党の中田晋介です。党を代表して知事並びに立石副知事、横田教育長に対して質問通告の
 「その他」として新しい事態が生じた預け・裏金問題を加えて質問いたします。
いま金子県政は続けてきたその政治の結果、三期目にして四重苦に見舞われています。第一に、県民の信頼を失墜した県庁裏金問題、第二に、給食費を私費流用した小学校長を処分もせず普通退職にして隠蔽した問題、第三に諫早湾干拓事 業の農地リ−ス制度の53億円問題、第四に行き詰まっている新幹線問題です。いずれも、県政を左右する重大問題であ り、以下質問いたします。

1.裏金企業から知事への献金問題について
 第一の県庁裏金問題については、本会議の集中審議で明らかにした通り知事が預けという裏金の存在を知りながら、県民に公表も是正もしないまま違法な使い方を公認したため、結局3億3千5百万円もの税金が裏金として違法に使われ、県民に多大な損害を与えたました。この責任はまことに重大であり、知事が明確に責任を取ることを要求いたします。
 さらにその後、県の公金を「預け」としてプ−ルしていた企業とその社長から、知事の資金管理団体「明日の長崎県を創る会」が政治献金を受け取っていたことが明らかになりました。知事は「知らなかった。政治資金規制法で適正に処理 しているから問題はないと思う」と言っていますが、知事が自らつかう政治資金を、どこからもらっているか知らないはずがありません。それとも届けを出すのにだれから貰ったかチェックもしていないのでしょうか。
 今回の件について知事 がたとえ知らなかったとしても、悪いことであれば、その政治的責任は重大です。知事は「預け」という違法行為を行っていた納入業者から献金をもらっていて、本当になにも問題ないと思いますか。
 私の調査では、知事の資金管理団体「明日の長崎県を創る会」は、知事が就任した1998年に企業443社、99年には455社から、それぞれ5万円以上の政治献金を受け取っています。2000年から企業献金が禁止され、社長などの個人名義になっていますが、昨年までの6年間毎年200人ないし300人から、それぞれ5万円以上の献金を受け取っています。県への納入業者も多く含まれていますが、この中で「預け」にかかわった会社又はその関係者は何社、何人
 ですか、知事に質問いたします。

【答弁・金子知事】
 今回の経理問題にかかわる調査については、業者名を公表しないことを条件としていること、また私の資金管理団体への寄付については、私の政治活動を支援するというお気持ちから一法人または一個人として寄付してい ただいたもので、政治資金規制法にのっとり適正に処理しており、今回の経理問題とは一切関係ないことから、寄付の有無を含め答弁をさし控えさせていただきます。
 なお政治資金収支報告書は、官報等で公開されておりますのでご理解いただきますようにお願いいたします。

【質問・中田】
 県庁から預けという裏金を受け取っていた企業またはその社長から知事へ144万円の政治献金がある。これを知事は「今回の問題とは一切関係ない」といいますが、これを県民から見ると、預けという違法行為をおこなっていた企業から知事が金をもらっていた、その金は県民の税金が裏金にされている、その中から出ていると見えます。
 知事はそんなお金を受け取っていて、今それがはっきりわかったなかでも、本当になんの政治的責任もないと言われるんですか。答弁を差し控えたいではすまんと思いますよ。
 これは預け・裏金問題にかかわる知事自身の問題です。ひとごとじゃないんです。これはその政治的責任と事実関係を明らかにする必要があります。いわれるように官報に報告がのっている明日の長崎県を創る会の収支報告を、私7年分見てみました。企業名がいっぱいあります。その中に、県への納入業者や文具業者がたくさんあるじゃありませんか。知事はそれがどうなっているか答える必要があります。この点明らかにしてください。

【答弁・知事】
 さきほども答弁しましたように、今回の経理問題にかかわる調査については業者名は公表しないことを条件といたしておりますので、また私の資金団体には、それぞれの皆さん方が自主的に寄付していただいたと思っておりま すので、そこでご理解いただきたいと思っております。

【質問・中田
 だから具体的な名前が言えなければ、何社、何人と言えばいいじゃありませんか。その位の責任はあるん じゃありませんか。
 違法行為といわれている問題です。たくさんの県の取引業者から知事が献金をもらいつづけている。 
 企業の名前で、社長の名前で。その中に預けという違法行為にかかわった企業はなかったか、知事はもらっていたか、いなかったか、いま一社あったと明らかになっていますが、他にもたくさんあるんじゃありませんか。
 知事は何社、何人と 明らかにする責任はありませんか。そして、その事に関して知事の政治的な見解はないんですか。

【答弁・知事
 ここで何社というとまたどこだろうということになってきますんで、そこはぜひご理解いただきたいと思います。それから、その時点で献金していただいた方たちは、私の政治活動を支えようという気持ちでやっていただいたと思っています。そういったことを考えるとですね私のほうから何社あったといって、また迷惑かけるようなことはしちゃいけない。
 先般新聞にのったのは、相手が認めているということなのでやむを得ずああいう発言をさしていただきました。ぜひご理解をいただきたい。

【質問・中田】
 外部調査委員会は預けをしたほうも、預けを受けたほうも違法行為だといっとるんですよ。そういうところから金をもらって知事が政治をやっとった。流れる金というのは全国の例でわかるようにいろんな思惑で流れとるんです。
 そういう違法行為をやったところから金を受け取って政治をやってきた、その政治的責任はないのかと聞いているのに、その事については一言も答えない。
 集中審議でも明らかにしましたように、知事は7年前に裏金問題を知りながら、 県民に公表せず、必要な対策も取らなかった。今回10月28日この事態が発覚したあとも「はじめて聞いた、知らなかった」となんとか隠そうとした。
 そして今、その違法行為をやったという企業から、たくさんあると思いますが金を受け取りながら実態も明らかにしない、その政治的責任も明確にしない。これでは県民の税金を預かる知事の資格はありません。
 これ以上の解明は、県政をチェックする義務がある県議会として百条調査委員会をつくって法的権限を持って証人尋問をする必要がある。
 すべての資料の提出を求める必要があります。私は紹介議員として本議会に「県議会が百条調査委員会を設置して真相究明を求める請願」を出しています。そうした権限を持って掘り下げた調査をしないと、全容も明ら かにならないし知事の責任もふせられたままです。この事を強く主張しておきます。

2.校長の給食費流用について
【質問・中田】
 第二、長崎市の小学校長の給食費流用について、県教育委員会は処分なしで普通退職にし退職金まで支払った事について、いまだ非を認めず誰一人責任をとっていません。
 これに対して県民から「校長に退職金を返還させる措置を求める住民監査請求」がおこされ、県監査委員は監査の結果退職金返還請求については「懲戒処分に該当する証明がいまだ不明確」として棄却しました。
 しかし、その監査結果に付 した意見で「県教委は、長崎市教委から先に提出された処分内申と、その後提出された相反する退職内申のどちらが市教 委の最終判断であるかの確認をしていない。さらに3月15日の人事異動内示・普通退職の際にも、処分内申の取り扱いを双方とも確認していない。このような状況下で行われた本件普通退職発令は、教育行政のありようが問われる遺憾な事態といわざるを得ない。今後は、本県教育行政に対する県民の信頼を損ねることのないよう、県教委は市教委と相互に連携を深めつつ教育行政の推進にあたられたい」と特別の意見を付けて厳しく批判しています。
 この遺憾な事態を引き起こした主役は県教委です。処分内申の扱いを市教委に確認もせず、調査の途中ではやばやと校 長の退職願を受理し、普通退職を発令したのは県教育委員会です。県民から見れば子どもたちから集めた給食費を、自分の借金払いに流用したと供述している校長の犯罪が隠蔽され、処分なしの普通退職で2000万円以上の退職金まで支払 われたという絶対にゆるせない事態であります。
 県教委が、この監査委員の意見を重く受け止めて、対応の誤りを認め責任を取るべきではありませんか。当時の教育長としてこの問題の責任を負うべき立石副知事に質問します。

【答弁・立石副知事
 長崎市内の元校長の給食費流用についてのおたずねでございますが、本件に関しましては本年3月の6日長崎市教育委員会から、元校長に関する処分内申が提出されたというふうに承知しております。
 しかしながら3回にわたり提出されました元校長の供述書の記述内容には、一貫性や整合性に欠ける面あるいは不明な点が多く、さらに事実関係を客観的に裏付ける帳簿や通帳類が添付されておりませんでした。このため県教育委員会は、長崎市教育委員会に対しまして3月6日と7日の二度にわたりまして、地方公務員法の規定や過去の判例にてらして、任命権者として適切な判断を行うことが困難であることを市教育委員会の人事担当者にはっきり伝えるとともに、再調査と必要な資料の提出を求めたところでございます。
 しかし、その後指示した報告や書類等の提出がなされないまま、3月の9日に元校長の3月 31日付での退職を求める内申が提出されております。
 県教育委員会といたしましては、後から提出された退職内申が、教職員の服務監督権を有する長崎市教委の最終判断であると重く受け止めまして、退職内申を受理し所要の手続きを適切に行ったところでございます。
 なお本件につきましてはその後監査結果を踏まえまして、県教育委員会と長崎市教育委員会が共同して調査を実施しているとの報告を受けておりますので、その詳細につきましては教育長のほうから答弁をさし ていただきます。

【答弁・横田教育長】
 退職発令に至った経過については、ただいま副知事から申し上げたとおりでございますが、その後住民監査請求が提出されまして、それの監査委員による監査結果についてでございますが、元校長に対して退職発令をおこなった県教育委員会の判断および退職手当を支給したことについても、違法不当ではないという結論をいただいたところです。
 監査委員からさらに事実解明を求められているため市教委と共同で資料の確認作業や元校長への聞き取り調査な どをおこっており、それが完了した時点で監査事務局に報告したいと考えている状況でございます。

【質問・中田】
 これはもう一つの隠蔽問題です。校長の給食費流用の問題で立石副知事は、当時の教育長として、監査結果の意見で「教育行政のありようが問われる遺憾な事態」と言われたことに対する見解も、態度の表明も一切ありませんほんとに驚くべきことです。
 市教委とまともに連絡もとらず、調査もすすんでいないなかで、校長が退職願を持ってきた ら、はいといって認めてしまう。
 これに対して市教委は校長の退職の5日前に「処分はどうなったのか」と文書で異議申し立てをしとるじゃありませんか。
 なにが退職内申が市教委の最終判断ですか。しかも、この小学校長は供述書で自分のやったことを認めて次のように書いていますよ。
 「私が借金返済のために流用したことは、後悔と反省を送る日々です。横領ととられても仕方ない流用については本当に不徳のいたすところです。申し訳ございません」、このように書いて自らの罪を認めて、そして13回194万1千円流用したと期日と金額を供述書に書いているではありませんか。
 こんなも のを処分なしで県教育委員会は普通退職にして2050万円の退職金を支払ったんです。
 こういうことが許されますか。私は絶対に許されないと思います。必要な調査の途中だから、校長の退職願は受理をせずに保留にして調査し、徹底して調べるべきではなかったんですか。
 それを勝手に後から出たほうが市教委の最終判断といって、すぐ近くにある市教委に連絡のひとつも協議のひとつもしてないじゃありませんか。
 そこを監査委員の意見が「このような状況下で普通退職を 発令したことは教育行政のありようが問われる遺憾な事態」と言っとるんです。この点についての反省と県民への陳謝はないんですか。責任のとりようはないんですか。

【答弁・立石副知事
 監査から提出されておりますご意見につきましては、真摯に重く受け止めております。ただ先程も申しましたように3月6日に処分内申が提出されています。
 3月6日と申しますのは人事作業の最終段階に入っておりますわけでございますが、これは重大な背景があるだろうということで、内容を精査をしながら事実関係についてもどこまで解明できるかということで、人事担当者が真剣に取り組んでくれたと思っております。
 しかし、そのなかで今いわれた供述書もありましたけれども、一貫性あるいは整合性、それから数字、それを証明する帳簿、いちばん肝心な通帳等は一切出していただけなかったという状況でございます。
 その中で市教委と人事担当者同士が何度もやりとりをいたしましてこういう状態であれば、法律あるいは過去の判例にてらして処分権者としての判断をとるのは難しいですよと、はっきりとお伝えして、これとこれとを是非出してくれませんか、というお願いをしたのでございます。  ところがその数日後に元 校長の退職内申が正式に届いております。
 こういった状況のなかで、人事作業がどんどん進むなかで、これはぎりぎりの判断ということで、最終の内申が市教委の最終判断であるというふうに受け止めて判断をしたほうがいいのではないか、ということで法令に則り所要の手続きを適切に行ったつもりでございます。

【質問・中田】
 だから、その行為が不適切だと監査の意見が言ってるんでしょう。重く受け止めるといいながら監査の意見のいちばん大事なところはまったく受け止めようとしないじゃありませんか。
 適切に行ったというが、そういうやり方 が、教育行政のありようが問われる遺憾な事態と監査がいっとるんですよ。
 ほんとにその辺が当時の教育長も今の教育長もわからん。
 本人が認めて、市教委が証拠もあります、市教委がだした貯金センタ−からとった貯金の引き出し記録、現金出納簿と本人の供述とぴったり合致したのが9回107万6千円、ほぼ合致したのを合わせれば11回184万2千円合致してるじゃありませんか。
 結局そのまえに出した普通退職の方を固執して改めようとしない。監査の意見がでて教育 のありようが問われる遺憾な事態といわれても、適切にしてきたといってはばからない。ほんとにどうなっているのかといいたい。強く抗議をして次に進みます。

3.諫早湾干拓農地リ−スの53億円問題について
【質問・中田】
 第三、諫早湾干拓については、知事は「干拓農地をリ−ス制度にする」と提案していますが、そのためには国から一括払い下げをうける資金53億円を県が用意しなければなりません。 今、県の財政がこんなに苦しいとき、そ れだけの財源を振り向ける余裕もありませんし、無理をしてつぎ込めば当然県民向けの施策が削られることになります。
 すでに諫早湾干拓の県民負担は総額423億円で、毎年30億円の負担が県民を苦しめています。
 このうえリ−ス制度に県民の税金53億円をつぎ込むことは絶対に許されません。
 土地改良法では、干拓農地は営農を希望する農民に国が直接払い下げるのが原則で、県が払い下げを受けることは禁止されています。
 県が一昨年11月に行った農民の営農意向調査では、希望者のもとめる面積が2500ヘクタ−ルで、払い下げ農地の3・6倍、うち買取り希望と買取り・リ−スのどちらでもよいを合わせると918ヘクタ−ルで払い下げ農地の1・3倍ですから、そのまま農民に払い下げれば、農業振興公社をダミ−に使って53億円もかけなくてもすみます。
 どうしてそれをしないのか、県民の税金負担にはしないと約束できるか、質問します。

【答弁・金子知事】
 諫早湾干拓農地の取得の財源についてのおたずねでございますが、同事業は平成19年度の工事完成に向け現在国により着実に工事が進められているところであります。
 本事業では約700ヘクタ−ルに及ぶ平坦で広大な 農地が造成されており、21世紀にふさわしい先進的で環境に優しい農業を展開し、本県農業発展の礎となることが期待されております。
 また、調整池は九州最大の淡水湖として2600ヘクタ−ルの規模を誇り、すでに防災機能を遺憾なく発揮するとともに豊かな自然環境が創出されております。
 本事業で造成される農地については、環境保全型農業を推進す ること、細分化分散化の防止など農地の適正利用をはかること、農業者の初期投資を軽減することを目的としまして、財団法人長崎県農業振興公社がこれを一括取得して、農業者にリ−スする方式をとることといたしております。
 この干拓農 地の取得には現時点での試算で約53億円の資金が必要となることから、現在、県は国に対しまして農地取得財源にかかる支援措置を要請しているところであります。
 諫早湾干拓事業の成功はひとえに干拓地での営農が確立してこそ達成されるものと考えており、そのためにも干拓農地取得の財源確保は極めて重要な課題であると認識しています。 県といたしましては、引き続き国と十分連携を図りながら、農地取得財源の適切な確保を講じて参りたいと思います。

【質問・中田】
 希望者がたくさんいるんだから、買取りにすれば53億円節約できるんじゃないか。農地の配分をうけるのは約100戸です。
 100戸のためになんで53億円もつかわにゃいかんのか。売ればいいじゃないかといっとるんです。どうでしょうか。

【答弁・中村農林部長
 営農意向調査によりますと、リ−スを希望される方が面積からみて45%、買取り・リ−スいずれでもよいという方が29%、一定期間リ−スのあと買取りを希望される方が19%で、実に92%をこえるリ−スもしくはリ−スを希望したいというお話をなさっておられます。
 県におきましては、できるだけ農地の細分化を防ぎながら、ここで環境保全型の農業をぜひ成功させたい。営農者の意向を尊重しながらリ−ス制度を適用してまいりたいと考えているところでございます。

【質問・中田】
 主質問でも申し上げたように、その同じ営農意向調査で、買取りあるいは買取りでもリ−スでもよいという人を足せば700ヘクタ−ルの1.3倍の人が買い取ってもいいといっている。
 それに応えればなにも53億円つぎ込 まなくてもよい。
 あとの環境保全型とか細分化を防ぐというのは施策誘導でできることではありませんか。
 いま、金がない金がないという時に県民の税金から53億円もつぎ込むようなことは絶対にしないように求めておきます。

4.新幹線建設について
【質問・中田】
 第四、新幹線については、NHKテレビが11月24日「どうなる新幹線・長崎ル−ト」という特集の討論番組を放映し非常に注目されました。
 なかでも私が印象深かったのは、新幹線をめぐって各地を取材したNHKのリポートでした。 これまで県は「長崎新幹線をつくれば観光客が増え大きな経済効果がある」と言ってきましたが、実はそうではない。
 山形、新潟の新幹線では開通当初こそ観光客が増えたけれども、3年も経つと開通前より減った。東北新幹線でも開通を当て込んで建てたホテルや温泉がお客が減って倒産したり寂れたりしている映像は強烈でした。
 さらに深刻なのは平行する在来線の町で、鹿児島新幹線の平行在来線が第3セクタ−の肥薩オレンジ鉄道になったが、運賃が3割値上げで乗客が減り、予想に反して赤字経営になるなかその中心の阿久根市の疲弊した姿をみながら、同じ平行在来線の鹿島市長がこれを繰り返すことは出来ない、という意見は非常に説得力がありました。
 そこで質問いたしますが、長崎新幹線の観光客増と経済効果をどう見込んでいるのか。3年で落ち込んだ山形、秋田新幹線の先例があるなか、長崎では増えるというどのような保証があるのか。
 平行在来線をこんなに犠牲にして長崎さえよければいいのか。質問いたします。
 次に、新幹線建設の県民への影響について聞きます。本県ではあいつぐ大型開発が県民向け施策を遅らせてきました。
 諫早湾干拓に毎年30億円つぎ込みながら、少人数学級は「金がかかる」と断りつづけ他県よりは4、5年遅れとなりま した。
 子育て支援の医療費助成では、窓口払いがいらない現物給付にしようとしないで、いまだに償還払いをつづけている全国12県の一つです。
 市町村国保への県の独自の助成はとうとうゼロです。今度は新幹線に毎年30億円つぎ込めば県民向け施策の遅れを更にひどくせざるをえません。県民生活優先に切り換えるべきではないか。質問いたします。

【答弁・金子知事】
 新幹線整備の経済効果は、利用者数の伸びのみによってはかられるものではなく、西九州ル−トにかかる国の試算でも時間短縮効果は現利用者が等しく受けるものとされております。 直接便益で1.8、波及効果で1.9 という大きな費用対効果が算出されております。
 整備効果の持続についても地域の官民あげての取り組みによりまして十分可能であると考えております。
 鹿児島新幹線は取り組みの結果、観光客は従前の2.4倍という高水準を保っております。 平行在来線対策につきましては、第三セクタ−への長崎、佐賀両県の支援により、肥薩オレンジ鉄道等とは異なり、十分に安定経営が可能であります。
 第三セクタ−は両県が責任を持って維持し、鉄道サ−ビスを向上していく所存であります。  新幹線は将来の交通手段の核になると私は思うんです。そういったときに長崎に新幹線が来ると来ないでは大変な違いになります。
 百年先を考えた時ぜひ必要。不思議に思うのは、共産党は新幹線に北海道では反対してないんですよ。青森では積極的賛成ですよ。北陸でも鹿児島でも反対していない。
 なんで長崎だけ反対なのかよくわからんのです。
 長崎本線は単線だが、新幹線を整備すれば複線になります。そうなれば観光客はどんどん入ってきます。そういった全体的なことを考えて予算というものは使っていかなければなりません。
 県民生活支援の面では、乳幼児医療費助成の拡大、ドクタ−ヘリの導入、美術館や博物館などの整備、警察官の増員などに取り組んできました。

5.医療費助成を現物給付に
【質問・中田】
 第五に、乳児医療費助成の現物給付について質問します。
 現物給付が実施されますと、病院の窓口払いがなくなり、お金の心配なく病院にかかることができ、子育て世帯がいっそう有効に制度を利用できるようになります。
 そのため、県が行っている償還払いから現物給付への改善をもとめる県民世論がますます強まり、昨年秋、子育て団体や 医療関係者でつくる「乳幼児医療長崎ネット」が実施した子育て世帯12000人に聞いたアンケ−トでも、現物給付をのぞむ声が86・6%と圧倒的多数でした。
 この声に応え伊藤長崎市長は「来年4月から市単独で現物給付を実施する」として、12月市議会に条例改正と、制度準備の補正予算を提案しています。
 全国でも一層の子育て支援のため現物給付への改善が大きな流れになっており、2002年度千葉県が入院と3歳未満の通院を償還払いから現物給付に。
 2004年度大阪府が、3歳未満の入通院を現物給付に。2005年度宮城県が、入院と3歳未満の通院を現物給付に。
 おなじく同年栃木県が、3歳未満の入通院を現物給付に。2006年度滋賀県と岐阜県が、一部償還払いを全面的に現物給付に。と、この5年間に、2県が全面的な現物給付に、4県が部分的な現物給付に改善しています。
 また、この9月議会で山梨県知事が「来年度から現物給付にする」と表明しており、これで、本県のような全面的な償還払いの県は、47都道府県中12県だけとなります。
 これは各県とも、金子知事がいうような予算がかかるという障害を乗り越えて、県民の声に応えたものであります。
 是非、金子知事も県民全体のために子育て支援の現物給付を実施するよう求めて質問いたします。

【答弁・金子知事
 乳幼児医療費助成は所定の手続きを行っていただく償還払いを基本としながら、申請については、毎月市や町の窓口に出向かなくても、数カ月分まとめて、しかも郵送でも受け付け可能としております。
 また今年の4月からは医療機関に医療費明細がわかる領収書の発行が義務づけられたことによりまして、従前のように支払証明書の発行を 受けるために、あらためて医療機関に足を運ぶ必要がなくなるなど利用者の利便性の向上が格段にはかられております。
 仮に現物給付を実施すると新たに8億円の財政負担が生じます。県としては厳しい財政状況のなか現物給付に多額の財源を使うより、むしろ今緊急に求められている新たな子育て支援策への活用を優先すべきだと考えております。
 市町との検討会でも大多数の市町が償還払いの維持の意見でありました。

6.長与町への大型店出店計画を不許可に
【質問・中田県議】
 
第六、長与町に出店が申請されているダイヤモンド・シテイ計画への県の対応について質問します。
 今年5月、大規模集客施設の立地の適正化や中心市街地の活性化を目指して、まちづくり3法が改正されました。内容は,都市計画区域の市街化調整区域では1万平方メ−トル以上の大型店の出店を禁止することなどであります。
 この法改正にともなって、知事も九月議会で「これからのまちづくりを進めていくうえで、人や環境にやさしく、にぎわいと秩序 のあるコンパクト・シテイの構築が大切であると考えており、今後県全体のまちづくりに関するガイドラインの策定を通 じて、県と市町が一体となった暮らしやすく魅力的なまちづくりを積極的に推進してまいりたい」と表明しました。
 今回長与町に計画された大型店は、市街化調整区域の中にあり、改正された法が施行されれば実行できないものであります。
 これは、明らかに法改正の趣旨に反し、知事のコンパクトシテイを目指す構想にも反するものではありませんか。質問致します。
 長崎市の伊藤市長は9月市議会で、この計画は「交通渋滞を起こす。市北部の商業施設に被害をもたらす。周辺の教育施設の環境悪化をひきおこす」という三つの理由をあげて事実上反対し、知事に慎重な対応を求めると表明しています。
 いま県で開発許可の事前審査がおこなわれていますが、都市計画上の交通、環境などとあわせて、商業や雇用・教育への影響など総合的な検討が必要であります。
 現在県では、この問題は、開発許可は建築課、道路・交通・都市計画は都市 計画課、大型店は商工金融課と所管がわかれています。
 そうした別々の検討ではなく、各部にまたがる事なので、たとえば担当の田中副知事を責任者にして検討会をつくり、総合的に検討することが必要であります。
 そうして、現行法と制度を積極的に活用して計画を中止させるべきであると思いますが、知事の取り組みを求め質問します。

【答弁・金子知事
 長与町における大型商業施設の開発計画についてのおたずねでございますが、今回の都市計画法改正はコンパクト・シテイの構築をめざすために大規模集客施設を適正に立地誘導する目的で行われました。
 法が施行される平成19年11月30日以降は市街化調整区域で大規模開発を許可できる基準が廃止されますので、ご指摘のような開発は許可されないことになります。このことを考慮すると、基本的には好ましくないと考えます。
 先程も申しましたようにコンパクト・シテイづくりを目指す考え方からは、基本的には好ましくないと考えておりますが、しかしながら、コンパ クト・シテイの具体的なあり方については町づくりの主体であるそれぞれの自治体が、都市の特性と地域住民の意見を十分に踏まえたうえで判断すべきものである、と考えます。
 年内に策定する基本方針の素案において、県が考える町づくりの方向性をお示しして、広く県民、市町そして事業者の方にもご理解いただき、それぞれ町の将来についてよく考える契機にしていただきたいと思っております。
 開発許可にあたりましては、県の基本方針や法改正の趣旨を踏まえ関係自治体の意向をお聞きしながら、周辺の都市基盤施設への影響等について慎重に検討していくつもりであります。
 開発許可にあたっては、知事が商業、雇用などすべての事項を考慮して判断すべきではないかというおたずねでございますが、町づくりは住民に最も身近な地方公共団体である市町が、より地域に密着した見地から主体となっておこなうものであると考えます。
 従いまして大型店舗の立地に際しましては、まず地元自治体が、今後県がお示しをする基本的な考え方をご理解いただいたうえで、地元のみならず隣接自治体にたいする商業・雇用・環境等に及ぼす様々な影響を十分に検討されることが重要であると考えております。
 そのうえで県といたしましては、市街化調整区域に立地することが適切なものであるか、また当該地域及び周辺の道路・排水施 設等の整備が十分であるかなど、計画的で良好な市街地形成の観点から、開発の可否について判断を行ってまいります。
 大規模集客施設について総合的に考える場を設置して事前の段階で手をつくすべきではないか、というおたずねですが県におきましては、従来より開発許可申請に先立ち個々の案件について事業者ならびに商工、農業、環境等各分野の関係者及び道路等公共施設の管理者による事前審査会を開催しております。
 本計画につきましても平成18年8月に事前審査 会を開催し、問題点や課題など情報の共有化をはかったところであります。今後とも良好な市街地形成にむけ、関係部局 の密接な連携を保ちながら、取り組んでまいりたいと思います。

【中田県議】
 最後に今後の県政について申し上げます。今年2月の知事選挙で私ども日本共産党は「新幹線より子育て支援を」「諫早湾干拓より暮らしの応援を」「大型店進出を抑えて地元商店街を守る」とかかげ県民生活最優先の県政への転換を訴えました。
 いま金子県政が直面している重大な状況は、まさにそうした県政への転換なしには打開できるものではありません。
 それはいま申し上げたことで明らかだと思います。真に県民本位の県政への転換を強く求めるとともに我党は今後ともその実現をめざしいっそう奮闘することを表明して質問を終わります。