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【質問・中田県議】
習熟度別授業について、3月議会に引き続いて質問いたします。
私は長崎市内のお母さんから「学校で小学一年生から、できる子できない子のグル−プにわけた授業がやられている。どの子にも平等な教育をするように決められている教育基本法の精神に反するのではないか」という声を聞きました。
小学一年からどうして、そんなことができるのか、と驚いてその学校にきいてみましたら「一昨年、文部科学省の研究指定校として一年生から習熟度別のクラス分けで授業をやっていたが、いまはやっていない。本年度は習熟度別のクラス分けは5年、6年だけです。」という返事で、研究指定校のとき、一年からやっていたということです。
また、別のお母さんからは「小学校6年の授業参観にいったら、3つのグル−プ分けで授業がされていて、グル−プ分けの基準は理解度によるときいた。結局、できる子できない子に分けられていて、うちの子はできない子のグル−プにはいっているのを、まのあたりに見て、親も子も大変傷ついた」という声もききました。
昨日、新聞をみますと「長野県で習熟度別授業が問題になった」という特集がのっていました。ここでは「カメさんコ−ス、ウサギさんコ−スといった習熟度別授業が保護者をあつめた説明会で大問題になって中止になった」ということです。記事には、習熟度別授業をやっている学校では、基礎コ−スにいく生徒たちが「おれたち下にいってくる」「おれたちどうせ下さ」といって出ていく。
クラスはばらばらになって、みんなで学ぶ喜びを感じる一体感がなくなった。教師は「あんなに傷ついた子どもたちの顔をみて、これは絶対にやるべきではないと思った」という談話ものっています。
もし、大事な学校の授業で習熟度別授業のたびに子どもたちにこんな思いをさせているとしたら、これは大変な事であります。
そこで、私、身近な長崎市内の小学校の校長先生や教頭先生に、この点がどうなっているか直接きいてみました。
いくつか聞いたなかで、小学校1年から6年まで単元によって習熟度別のクラスわけ授業をやっているのは1校だけで、クラスの名前はペンギンクラス、メダカクラス、などということでした。あとは低学年はテイ−ム・テイ−チングがおもで、習熟度のクラスわけはそれぞれ3年以上、4年以上、5年以上などでした。名前も、基礎、標準、発展というのやら、じっくりコ−ス、どんどんコ−スなどいろいろでした。
肝心のどうやってクラス分けをしているのか、という点では、テストの結果をもとにしながら、本人の希望をきいて決める、という習熟度別の学校と、課題別のコ−スを示して本人の興味、関心によって選んでもらうとか、学力差によらない単なる小グル−プにわかれての授業をやっているという習熟度別授業とはことなる行き方をとっている学校がありました。
習熟度別授業をやっている学校の校長先生たちが、いちばん言われたのは「クラス分けについて子どもたちに格差意識を極力感じさせないように気をつけている」「しこりを残さないようにしている」という声です。
しかし、これは習熟度別授業をやる以上先生たちがどんなに気をつけてもできない相談です。
できる、できないの習熟度別で少人数授業をやれというんですから、どんなに隠したって、子どもたちには自分がどういうクラスに振り分けられたかかわかります。 授業参観の保護者にもわかります。
それを感じさせないように配慮するというのは大きな矛盾ですし、学校現場の苦労がわかる先生方のこえです。
だから、習熟度ではない課題別のコ−スで、こどもたちの関心・興味でグル−プをつくって授業する学校とか、学力差なしの小グル−プにわけている学校もでてきています。
私は、そんな無理をして習熟度別授業をやるべきでないと思っていますが、加配の先生を配置して指導方法の改善を推進している文部科学省の方針はどうなっていますか。
【答弁・宮野澄男義務教育課長】
習熟度別授業については、学習指導要領によりますと「個に応じた指導の充実を図るため、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、児童生徒の興味、関心等に応じた課題学習、補充的な学習、発展的な学習などを取り入れる」となっております。
いわゆる「個に応じた指導」の一つの例として、この習熟の程度に応じた指導が実施されるように定めてございます。ですから要は、これらの指導は子どもたち−人ひとりの学習の状況にあった学習の場を設定することが目的でございます。
議員ご指摘のような懸念も出てまいりますので、各学校においては、その集団を固定させない、あるいは逐次コースを変える、あるいは教師がクラス分けを一方的に決めるのではなく、子どもたちにグループやコースの選択をまかせる等しています。
また、一率にすべての授業を習熟度で分けるというのではなく、通常10数時間の単元でできていますので、とりわけふさわしいところのみ習熟度で学習を計画するよう指導しております。
【質問・中田県議】
これまで、少人数授業というと習熟度別授業と言われてきましたが、そうではなくて、いま言われたようないろんなやり方があって、その−つとして習熟度別授業があるのであってそれにこだわらない少人数授業もあっていいんですね。
【答弁・義務教育課長】
現在、少人数授業に対する加配の教員配置は、それぞれの学校が、これこれの
少人数授業をするためにこれだけの教員が必要です、と求めて配置されますので、習熟度別あるいはティームティーチング等々の学習が考えられると思います。
【質問・中田県議】
これは是非確認しておきたい。運用としては集団を固定させない、とか習熟度にこだわらない少人数授業など、学校によって選んで進めていくべきです。
もうひとつ、習熟度別授業で心配される点が出されました。それはある学校の校長先生が「うちは昨年度まで、年間を通じて習熟度別にクラスを分けて授業をやっていたが、昨年の年度途中でやめました。それは、学科ごとに分かれていては、学級担任が受け持ちの子どもたち全員を把握できないからです」ということでした。 担任が子どもたちの生活も授業全体も把握できることが、基本だと思います。その人数をへらして少人数学級にして行くことが大事だということが、現に学校で出ているようですが、この点どうでしょうか。
【答弁・義務教育課長】
先ほども申し上げましたように、学習は十数時間の単元で構成されておりま丸
当然習熱度に応じた学習が、個に応じた学習の場面については有効かと思っております。必要に応じてこの学習を取り入れることによって子どもたちの学びをより充実させることが大事です。
そういう意味では、全体を通じては改善の余地があるかな、と思っております。
【質問・中田県議】
習熟度別授業を文部科学省は進めてきましたが、ここで生じている問題点を検証して課長も言われるように改善しなければなりません。
今回、学校の先生方の声を聞いて痛感するのは、習熟度別授業というのは、子どもたちをできる子とできない子により分けるクラスづくりで、どんなに隠しても、子どもたちは、それを知っていて、その心を深く傷つけているということです。
また、こういうやりかたは、教育基本法が掲げる、教育は子どもたちの社会の形成者として必要な人格の完成を期して、どの子どもにも平等に行うという精神に反すると思います。
その教育的な効果の面で見ますと、習熟度別のような能力別教育は有効でないということは、すでに国際的な教育実践の経験上あきらかになっています。国際学力調査でも、いろんな水準の子どもが同じクラスで協力して学ぶ国の方が、学力も高いし、格差も小さいことが証明されています。
本年度、県下には加配の教員が539人配置され、少人数学級に173人、習熟度別とティーム・テイーチングに366人となっています。来年度以降、弊害の多い習熟度別授業をやめて、教育効果が大きい少人数学級を増やしていただくよう要望いたします。
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