1.校長による給食費流用問題の主な経過
06年2月24日 育友会役員会から市教委への文書で事件が発覚
2月27日 市教委の調査に対し、校長が給食費の一時的私費流用を認める供述
3月 6日 市教委が県教委へ同校長の処分内申を提出。県は更に調査を要請。
3月 7日 市教委が県教委へ書き直した供述書、通帳のコピ−を提出。
校長は7日付で退職願を提出。
3月 9日 市教委が県教委へ校長の退職内申を提出。
3月15日 県教委は、校長の普通退職を発令。
3月31日 校長は退職。のちに県は退職金を支給。
2.教職員人事の仕組み
・教職員の採用、異動、処分、退職などを決める任免権は県教育委員会が持っている。
・教職員の日常の勤務にたいする管理監督権は市教育委員会が持っている。
・県教委が教職員の異動、処分、退職などを決める時は、市教委の内申に基づいて行う。
本事件では、当該校長について6日に処分内申が出され、つづいてその調査中の9日に退職内申が出されるという、二つの異なる内申が出される事態が発生した。
市教委は「校長から退職願が出たので、留め置く訳にはいかないので県に提出したもので、判断するのは県教委。校長は処分内申どおり処分されるべきであった。」と主張し、 県教委は「後から出された退職内申が市教委の最終判断と受け取り、これを尊重して普通退職にした」と主張し「市教委に第一義的責任がある」と県議会で答弁している。
いずれも書類のやり取りだけで、双方の責任ある者同志の協議確認は一切していない。
3.監査委員の意見
県民から「校長に退職金を返還させる措置をとれ」と請求する監査請求がだされた。
県監査委員は、8月28日監査結果を決定。退職金返還請求については「懲戒処分に該当する証明がいまだ不明確」として棄却した。
しかし、県教委の普通退職発令については以下のように厳しく批判した。
〔監査委員の意見〕
「県教委は、先に提出された処分内申と、その後提出された相反する退職内申のどちらが市教委の最終的な判断であるかの確認をしていない。さらに3月15日の人事異動内示・普通退職の際にも処分内申の取り扱いを双方とも確認していない。
このような状況下で行われた本県普通退職発令は、教育行政のありようが問われる遺憾な事態といわざるを得ない。今後は、本県教育行政に対する県民の信頼を損ねることのないよう、県教委は市教委と相互に連携を深めつつ教育行政の推進にあたられたい。
県教委としては、本事案について引き続き事実確認を行い、その結果によっては、関係者と法的手段を含む対応について協議のうえ、適切に措置されるよう望むものである。」
なお、監査で請求を棄却された県民は住民訴訟を起こしており、今後法廷で事実の解明が行われる。
4.日本共産党の質問で明らかにした
「県教委の三つのウソ」
1.県教委は「後から出された退職内申を、市教委の最終判断として重く見て尊重し、普通 退職とした」と繰り返し説明してきた。
しかし、市教委は校長退職の5日前の3月27日、県教委に対して、校長の処分を求める立場を文書で表明しており、市教委の最終判断が退職内申ではないことは、県教委にはわかっていた。わかりながら「退職内申が市教委の最終判断」と主張して、市教委 に責任を転化し、県議会をだましてきたことは重大。
2.処分なしの普通退職が、県教委の判断に基づくものであることを表明した県教育長名の公文書が出てきた。
処分を求める市教委の問い合わせに対して、県教育長が4月7日に 回答した文書で、「県教育委員会といたしましては、当該校長が定年まで9年を残して自ら職を辞するということを重く受けとめ、当該校長から提出された退職願を受理し、 人事発令を行ったところです。」と明記している。
これは、自ら申し出た退職に処分の意味も持たせながら、処分なしでことを納める依願退職というやり方です。校長の犯罪という教育界の不祥事を県民の目から隠すために県教委が、校長が出した退職願に飛びついて普通退職にしていた事は明らかです。
県教委が、自らの判断で普通退職にしながら、事件が表面化すると、市教委の責任に転化してウソを重ねる態度は、全く卑劣で絶対に許されない。
3.県教委は、「まだわからない」「証拠がない」と言いつづけているが、校長の犯罪は市教委が提出した証拠で十分明らかになっている。
下記の表の通り、校長が供述した私費流用の期日・金額と、郵便貯金通帳の引き出し記録や給食出納簿の支出記録の期日・金額がピッタリ合致している。校長の犯罪は証拠で十分裏付けられている。ただちに法的措置が必要。
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