「新幹線長崎ル−ト建設の中止を求める請願」の紹介討論
( 06.3.20 総務委員会 中田晋介県議)
2月の知事選挙では、県民の暮らしも県の財政もこんなに苦しいときに、多額の税金をつぎ込んで長崎新幹線の建設を急ぐべきかどうか、ということが大きな焦点になりました。一月に長崎新聞がおこなった知事選アンケ−トでは、新幹線長崎ル−トが「必要」と答えた県民は36.6%にとどまり、「不要」と答えた県民が44.8%で、「不要」という回答が「必要」を大きく上回りました。
また、朝日新聞の世論調査では「白紙にもどして議論をすべき」という答えが40%でいちばん多く、「建設反対」の16%をあわせると56%に達し、「計画どおり進めるべきだ」の37%を、これも大きく上回っています。
新幹線長崎ル−トの着工直前の時期に、繰り返して明確に示されたこの県民の意思表示は、重大であり尊重しなければなりません。知事が、真に「県民主役の県政」を進めようとするのであれば、この県民の声を無視して新幹線建設を推進することはできないはずであります。もし、知事がいうように、県民への説明不足で招いた事態というのなら、しゃにむに着工を急ぐ今の態度をやめて、まず県民に十分に説明を尽くす努力こそされなければなりません。
いま県の財政は大変深刻な状況で、7200億円の当初予算に対して、借金残高は1兆700億円でざっと18ヵ月分。収入の17.4%が借金で、支出の17.1%が借金払い、という状況です。こういうときに、総工費2700億円、うち県民負担が312億円で、毎年およそ30億円という県費負担に耐えられるはずがありません。
それだけかけてうまれる効果は果してどんなものでしょうか。国土交通省の正式発表で長崎−博多間が現在の特急かもめで1時間47分の所要時間が、新幹線のス−パ−特急では1時間24分といいますから、短縮されるのはわずか23分です。1分間の短縮に110億円もかかります。しかも、今と同じく博多で山陽新幹線に乗り換えなければなりません。また料金も現在の特急料金から新幹線料金へとはね上がります。
県民は、このような新幹線建設がもたらす問題点を知っているからこそ、反対し、白紙に戻して議論をやり直すよう求めているのであります。
今の県の財政状況で、おかねは、県民の暮らしや福祉・教育を優先的に使うという立場にたって、新幹線長崎ル−トの建設は中止するよう求める請願であります。ぜひご採択くださいますようお願いいたします。なお、請願人にかわって深町孝郎さんから、直接請願の主旨を説明したいと希望されておりますので、お取り計らいを、どうぞよろしくお願いいたします。
※自民・公明・民主・社民の各党は、意見をいわずに反対し不採択にしました。