◆憲法問題
〔答弁−金子知事〕
憲法9条についてのおたずねでございますが、現在国会において、衆議院に「日本国憲法にかんする調査特別委員会」が設置され、憲法改正について論議が行われております。憲法9条につきましても、今後の国会および国民レベルでの議論の推移を注視してまいりたいと考えております。
〔質問−中田県議〕
知事は、憲法問題は国会で論議があっているので、それを注視してまいりたいということでありますが、地方の首長としても意見をいっていいことではありませんか。憲法というのは、国民のくらしも、平和・安全も、そのいちばん大事なところを保障しているものであります。これがどうなるかということは、国民の暮らし、県民の将来を大きく左右するものであります。県民を代表する知事が、県民の利益を守る立場から意見を述べるのは当然ではありませんか。
特に知事選が目前であります。知事は議会で立候補表明をされましたが、県民にとって大事なこの問題で、いったい「憲法を守る知事なのか」「憲法を変える知事なのか」選ぶ県民の前に明確にする責任があると思います。 しかも今度の憲法改正は自民、民主のどちらを見ましても、日本の戦争に対する対応を根本から変えるものです。憲法9条の2項を削除するというのは、なるほど9条1項の「戦争放棄」「武力行使の放棄」というところは残りますが、削除される2項で「その目的を達するために戦力を持たない。国の交戦権は認めない」とさだめてあるんです。ですから1項で、戦争をしない、2項で、戦争の手段を持たないとして、このふたつがあってはじめて憲法9条の平和主義というものが発揮できるんです。手段がなければ戦争はできない。こうして9条2項が戦争放棄の目的を達成する保障になっているんです。それを削除しようという案がでている、平和の願いが強い被爆県の知事としてノ−という態度を示すべきではありませんか。
〔答弁−金子知事〕
県民の考えはいろいろあります。県民の代表であればそういった大きな問題、とくに憲法問題にはかえってコメントしないほうがいいんじゃないでしょうか。私はそう思っています。そういう立場で8年間つらぬいてきましたから今回もそういたします。議員のご期待に応えることができませんが、そこはご理解いただきたい。
〔質問−中田県議〕
憲法という県民の平和・安全にとっても、くらしにとっても、いちばん大事な問題で態度を表明されな い知事と確認しておきます。
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〔答弁−金子知事〕
在日米軍再編の中間報告については、佐世保の米軍基地を抱える本県としまして、重大な関心を持って見守っているところであります。なお、中間報告の中には、佐世保基地についての記載はされておりませんが、中間報告については十分地元の意見を反映されるよう、渉外知事会を通じて国に要望を行っております。海軍遠征攻撃軍に関しましては、米海軍の即応性や機動性を高めるものと聞いておりますが、外務省によりますと「部隊編成の一形態」と理解しており、基地機能の強化につながるものではないと考えているとのことでございます。また、前畑弾薬庫の移転返還につきましては、針尾弾薬庫に移転集約するのが最も現実的な対応との、佐世保市長の判断を尊重していくこととしております。
現在、国において針尾弾薬庫周辺の各種調査が実施されているところでありますが、それらの調査をふまえ、今後国において基本的な構想がまとめられるものと期待しているところであります。県としましては、佐世保市と一体となって引き続き、国に対し要望していくとともに、適切に対応してまいりたいと考えております。
〔質問−中田県議〕
佐世保米軍基地の「海軍遠征攻撃軍」を、知事は単なる「部隊編成の一形態」といわれるが、そんな甘いものではありません。
在日米海軍が強化再編成の二つの柱にしているのが、一つは、横須賀を母港とする「空母打撃群」という攻撃部隊、もう一つが佐世保を母港としている「海軍遠征攻撃軍」という部隊なんです。いずれもイラク攻撃の最先頭に立ちました。日本においているアメリカ海軍の海外攻撃の最先頭にたつ殴り込み部隊です。この二つの部隊は今回の米軍再編の中間報告には書かれていません。それは、再編を先取りする形で2003年に進められ、既にイラク戦争で実施されているからです。海兵隊2000人を乗せた強襲揚陸艦エセックスとイ−ジス駆逐艦、原子力潜水艦で編成されて、現地に派遣されています。
こういう「海軍遠征攻撃軍」をアメリカが本国以外で置いているのは、佐世保だけなんです。ファル−ジャ攻撃では、このエセックスの攻撃軍は、50人の戦死者を出しています。それほど危険な攻撃の先頭に立っている。そういう部隊の発進基地に佐世保がされている。それを「部隊編成の一形態」といって黙っていていいのか。
今回、神奈川県知事はキャンプ座間に米陸軍司令部が来ることについて、世界に向けて攻めていく陸軍の司令部が来ることには反対だといい、市長もみんな反対しているではありませんか。同じことが海軍では佐世保で実施されているんですよ。そういう認識を持って、被爆県民と一緒に反対の声を上げるのが長崎県知事の責任ではありませんか。よその県の知事は、これだけみんな反対の声をあげているのに、金子知事は「部隊編成の一形態」と聞かされて黙っているのですか。
〔答弁−金子知事〕
ほかの知事さんは、全部直接的に関係がある方でしょ。佐世保の場合は、船の交替です。従来いた船の交替っていうことです。議員のいうようにするのは難しいですよ。もともと基地を認めているものと、認めていないものは違いますから。私は安保条約で基地を認めていますから。認めた上で話をしていますから、一形態というとり方を私はしております。議員があげた知事はみんな直接関係がある方で、福岡県の知事は別のいいかたをしている。それもあげていただいたほうがいい。
〔質問−中田県議〕
知事、問題は佐世保で行われている米海軍の再編強化をどう見るかということです。ほかの知事は関係あるが、自分は関係ないようにいわれるが、金子知事も関係大ありなんですよ。
長崎県の佐世保が米海軍再編の二本柱のひとつの基地になっている。イラク戦争に先頭に立って攻めていってたくさんの戦死者を出している。当然その何十倍ものイラクの人々を殺傷しているんですよ。これが、なんで安保条約がいう日本の防衛と関係がありますか。もう安保条約第5条のいう「日本の防衛」とも、6条のいう「極東の安全平和」もはるかにこえた範囲に、佐世保から米軍が出ていって戦争をやっている。
これが、なんで長崎県の知事に関係がないんですか。そういう変化が佐世保で2003年から進められイラク戦争で実行されている。それを許すのかと聞いているんです。答えてください。
〔答弁−金子知事〕
関係ないとはいっていません。ほかの知事さんは大きく基地が変わる。座間なんか陸軍司令部を持って来るっていうんですから。佐世保は古くなった船を新しい船に変えただけで、中身的には外務省に問い合わせたところ「一形態と理解している」ということなんです。おそらく議員以外のかたは議員のようには理解していないと思います。ぜひ取り方の違いだとご理解いただきたい。
〔質問−中田県議〕
いまの在日米軍の再編は、全部、日本の基地を足場にして海外に攻めていく体制づくりです。海軍も陸軍も空軍も、全部「遠征軍」なんです。佐世保が、その海軍の「遠征軍」の母港にされて、強化が2003年から始まって、2005年にはイラク侵略戦争の先頭に立った。こういうものを平和の県、被爆県に置いてほしくないという表明を、ほかの県の知事と一緒にすべきだ、とつよく求めたのですが、答えがありません。答えられない知事だと理解しておきます。
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〔答弁−立石教育長〕
近年の核家族化や急速な少子化の影響もありまして、さらに携帯電話やインタ−ネットなどIT情報化が進むなかで、人と人とのきずなというものが大変希薄化しております。孤立化した人間関係の中で家庭や地域社会の教育力というものが著しく低下をしてきております。また子どもたちの社会性や道徳心の低下もたいへん憂慮すべき状況にあります。このことは個人の自由や権利のみが、あまりにも強調されてきた大人社会全体の風潮というものもございましょうし、子どもたちがまわりの人たちや社会とのかかわりのなかで、自分を磨いていくという機会が減少していることと深く関係していると考えております。こうした環境の中で育った子どもたちをお預かりする学校や教師には、子どもたちを守り育てる最後の砦として、これまで以上に大きな期待が寄せられていることを自覚する必要があると存じております。
また同時に、子どもたちを守り、いつくしむという点だけではなくて、社会の荒波に立ち向かい乗り越えていくための力を子どもたちの中につちかっていくということも、学校や教師の重要な役割となってきていると考えております。教育をめぐりますこうした様々な課題、新しい要請に対処するためには、学校を中心とした制度改革や施策の充実と同時に、知事の緊急アピ−ルや、県議会の非常事態宣言においても触れられておりますように、家庭における幼児教育の見直しをはじめ、社会全体で子どもたちをはぐくんでいくということが強く求められていると存じます。
私は、子どもたちを育てる上で、小さなことでもいいから一人一人の目標を持たせ、それを達成させることによって物事をなし遂げる喜びと自分に対する自信を持たせることが大切だというふうに考えています。また逆に失敗することから学び、努力することの大切さを身につけてほしい、というふうに考えております。このためには子どもたちの人間としての土台、人間としての基礎基本、例えば人間としてやっていいことと、いけないことをハッキリと身につけさせる。そして社会や共同体のル−ル・規範をしっかりと守っていく。そして人間としての生活習慣・リズムをきちっと自分の中に築きあげる。他人を思いやり、社会や他人のために尽くす。そのために自分が忍耐し我慢することも覚える。こうしたことを徹底的に鍛え上げ、生活面だけでなく、学習の面でも教えるべきことは、徹底して教え込むということも重要と考えております。集団の中で切磋琢磨をすることによって社会性をつちかい、困難に挫けないたくましさや忍耐力を身につけ、その中から子どもたち一人一人がもつ個性や可能性を引き出し、最大限に伸ばしていくことこそ教育の使命だと考えております。
この間、本県において進めてまいりました、高校入学者選抜制度の改善、総合学科高校の設置、県立高校の再編整備事業、中高一貫校の新設などの改革は、児童生徒数が急速に減少するなかで、子どもたちの多様な個性や、進路希望に的確に対応し、また、今日の子どもたちがかかえる様々な課題を、学校と教師が子どもたちとともに悩み、ともに解決していくためには、どういった教育活動を実践し、どういった制度を整える必要があるか、と真剣に検討した結果出てきたものであり、こうした改革に取り組むことは、私たちに課せられた責務であると考えております。このたび小中学校の特定の学年に少人数学級の導入を目指しておりますのも、まさに子どもたち一人一人に向き合い、その抱える問題を共有し、ともに解決していきたいとの思いから進めているものでございます。今後とも、子どもたちや保護者のみなさま、県民の期待に応えて21世。紀を生き抜くたくましい人材、郷土愛に燃える人材を育てるため全力を傾けてまいりたいと考えております。
〔質問−中田県議〕
いろんな問題を解決するために教育改革を進めてきた、それを進めるのが自分の責務だ、という教育長の答弁でありますが、そういって進めた本県の改革が、教育における競争を一層激化し、子どもたちのストレスを増やして今日の深刻な問題を生んだのではないか。
その点を、国連が子どもの権利条約にもとづいて、繰り返し勧告しているのではありませんか。高校入試の総合選抜制度が廃止になりました。長崎市でみると、北の北陽台から南の南高まで全地域で競い合って、入ったところに遠距離通学を強いられています。それぞれの高校に序列格差もできます。その中で子どもたちは中学の頃から、より激しい競争をせざるをえなくなっています。
身近なところにあった小規模高校を、次々に6つも廃校にしました。みんな、地元に古くからある高校を残してほしい、中学からの進学希望者がこれだけあるから、と訴える請願が県議会にまでだされましたが、つぶしてしまいました。結局、激しい競争をさせて、遠くの学校に通学を強いているではありませんか。子どもたちのストレスを貴方たちが増したのは事実じゃありませんか。
また小学校でまで習熟度別授業をおこなっています。私、長崎市内の小学校に授業参観にいった保護者からいわれました。「算数の授業で、できる子のクラスは授業が活発だったが、おくれている子のクラスは元気がなかった。小学校からできる子できない子と分けられたら、子どもたちの心がどんなに傷つくだろうか。できる子もできない子もみんな一緒にいて、お互い学び合い協力し合う、そういう教育の中でこそ、すべての子どもが育っていくんじゃないか」という声をきましたよ。
できる子を集めてどんどん伸ばせば、そんな子は優越感を持って、さらに激しく競争する。できないと言われた子は劣等感を持ち、学ぶ内容も低いところで固定されて、格差はますます開いていくんじゃありませんか。習熟度別授業で格差がなくなったという話はきいたことがありません。私はこういう競争を激しくし、子どもたちの心を傷つけるような長崎の教育を、国連の委員会が「高度に競争的な教育で子どもたちにストレスがかかり、登校拒否や自殺まで引き起こしている」と指摘し、その改善を勧告していると思います。
長崎でも子どもの自殺が6人も続いたではありませんか。私は、その点を根本から見直す必要がある、といっているんです。そうお考えになりませんか。
〔答弁−立石教育長〕
過度に競争的というお言葉をお使いになりますが、それがどういった局面を指し、どういったことなのか、なかなか私には理解できません。
人間にとって最も基本的な資質は、向上心だと私は思います。もっと快適な生活がしたいとか、もっとおいしいものを食べたいとか、もっといろんなことを知りたい、もっと早く走りたい、もっと美しい絵をかきたいとか、障害を持った子どもたちでも、言葉を話したいとか動き回りたいとか、向上心を持って努力をしているわけでございます。そのために人間は努力をし競い合って、その結果として上達し進歩してきたわけでございます。
その努力に対して、われわれは称賛をするわけでございまして、いま議員がおっしゃるような過度に競争的ということの意味合いがなんなのかということについては、なかなか難しいと考えております。
〔質問−中田県議〕
教育長には、国連から二度にわたって日本の教育が厳しい勧告を受けたことの意味がわからないんでしょうか。高校入試の総合選抜を廃止したこと、身近な県立高校を6つもつぶしたことが過度の競争をつよめ、子どもたちに高度のストレスを与えている。県の教育は国連の勧告の逆をやっているとして、根本から改めるよう強く要求しておきます。
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〔答弁−山崎福祉保健部長〕
被爆体験者精神影響調査等研究事業についてお答えさせていただきます。 県といたしましては、旧受給者証所持者の中から、多くの被爆体験者が事業の対象外となったことは、大きな問題であると認識しており、国に対して次の点を要望したところであります。第一点は、スクリ−ニング検査の運用を早急に改善すること。第二点は、精神科医による診断を従来どおり3年に一回とすること。第三点は、事業実施に必要な財源を確保すること。の三点が要望の主な内容であります。なお、長崎市においても同様の内容で要望を行っているところでございます。
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〔答弁−金子知事〕
路面電車は、路線バスや鉄道とともに重要な公共交通機関であると考えております。長崎市の路面電車の北部延伸については、長崎市が設置した「路面電車北部延伸検討協議会」では、自動車から路面電車への転換は少なく、交通渋滞緩和という観点からは、路面電車延伸のみでは効果が低いと報告されております。国道206号を拡幅して、路面電車を赤迫から滑石まで延伸させるには、長崎市の試算によりますと約300億円と多額の費用を要する事業であります。
また、沿道に多くの支障物件があること、バス事業者との競合、軌道事業者の新たな投資などさまざまな厳しい課題もあります。そのため道路としての事業化は困難であります。県としては長崎市北部の当面の交通渋滞対策は、市とともに公共交通機関の利用促進、道路の運用面での対策など、ソフト面での対策の検討を進めてまいりたいと考えております。
〔質問−中田県議〕
電車の北部延伸については、県は消極的で長崎市は積極的なんですね。市は、市北部の渋滞を緩和し、環境に配慮した高齢者・障害者にやさしい街づくりを進めるために、路面電車の北部延伸が必要不可欠であるといっています。私ども長崎市選出の県議にも市長から繰り返し要請があっています。
県も参加した2002年度の「路面電車北部延伸検討協議会」でも、北部地域での交通渋滞が深刻化しており、早急な渋滞緩和策が必要で、公共交通全体の利用者をふやすために、電車の北部延伸が必要だ。九州運輸局の住民アンケ−ト調査では、電車が延伸されれば利用するという回答が、住民の9割から寄せられるなど要望は高い、ぜひ、北部延伸をと求めています。この滑石・横尾の住宅団地を開発したのは県で、数万人の住宅地になっていますから、ぜひ、県の責任で電車の北部延伸を推進するよう求めておきます。
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〔答弁−金子知事〕
当該地区は、県営圃場整備事業等により整備された優良農地であることから、佐世保市において農業振興法の規定にもとづく農用地区域に設定され、農業用地として維持保全をはかっていくこととされております。
このような農用地区域内の農地を、他の用途に転用する場合は、あらかじめ農用地区域の除外手続きが必要であり、法に定められた一定の要件を満たす場合にのみ可能となるほか、県知事の同意を要することとなります。また、あわせて農地法にもとづく国の農地転用の許可も必要となってまいりますが、その際も、公共事業を完了した農地は良好な営農条件を備えた優良農地として厳しく転用が制限されているところであります。
おたずねの大型店進出にともなう農用地区域除外手続きについては、すでに事業者から市に対し、申し出が行われたところであり、現在、市においては「農用地区域から除外できる状況にはない」との見解が示されるとともに、当該施設の進出について広く市民の意見を求めるため公聴委員会が開催されているところであります。県といたしましても優良農用地の確保をはかることは、農業振興をはかるうえでの基本であり大変重要であると考えており、農振法の主旨を踏まえ適正に判断してまいりたいと存じます。
佐世保市の中心商店街においては、よさこい佐世保まつりや、きらきらフェステイバルといった市民参加型のイベントを開催するなど、集客のため日々努力されているところでありますが、消費の低迷や人口減少などにより、売り上げが減少するなど厳しい状況が続いております。
そういうなかで、仮に新たに大型店が出店した場合には、地元の商店街への影響は少なからずあるものと考えております。現在国においては街づくり三法の見直しが行われているところであり、また福島県においては「商業まちづくり推進に関する条例」が制定されたところであります。
県としては今後、来年の通常国会に向けて見直しが進められている街づくり三法の改正内容や、福島県の条例なども参考にして、県議会、有識者、市町村等のご意見もいただきながら、消費者ニ−ズに対応した商業機能の充実や、大型店の適正立地および中心市街地の活性化をはかるためには、どのような手法によることが適切なのか、検討して参りたいと考えております。
小売商業調整特別措置法については「中小小売商業者がかかわる、紛争解決のための緊急避難的な措置をさだめたものであり、大規模店舗の出店調整を行う法律ではない」と国の見解が示されております。県としては中小小売商団体から出店計画の内容に関する調査等の申し出があれば、その段階で対応したいと考えております。
〔質問−中田県議〕
大型店出店規制については、佐世保市長がいま手続きをしているということですが、ひとごとではないんですね。この地域は農業振興地域として、県営事業として34ヘクタ−ルの圃場整備事業をやったところです。事業費7億8200万円の農地整備と、11億2170万円の排水対策事業がおこなわれた地域です。事業の財源は、国が9億5千万円、県が5億1千万円、市が3億5800万円と、あと地元の農民のみなさんが負担しています。
こうして、県がつくった優良農地を知事が確保するのは、当然の責務ではありませんか。大型店の用地に転用するなんていうのは、とんでもない話です。いま、ハッキリだめだと表明すべきではありませんか。佐世保市長にゲタをあずけるんじゃなくて、知事が「県が、多額の税金を注ぎ込んでつくった優良農地を、そういうことに転用は絶対できない」と、ひとこといえば、この計画は止まるじゃありませんか。
条例をつくった福島県でも、おなじジャスコが、市街化調整区域に7万7千平方メ−トルの東日本最大の大型店出店を計画しました。これに対して、知事が都市計画区域への編入をことわり、地域の反対運動も起こって計画を断念においこんでいます。知事が表明すれば長崎県でも計画を止めることができます。先程、知事は、農振法の農地転用には、知事の同意が要るといわれましたが「そんな同意はしない」と、ここでハッキリいってください。
〔答弁−金子知事〕
何事にも手続きがあるでしょう。手続きを無視してやるわけにはいきません。無視してやった時には私が出先からなんといわれますか。県は何でも勝手にやってしまう、といわれる。
やっぱり民主主義なんですから、一つ一つの段階で、どういう結論が出たかを判断していわんと、もし仮に、私がそういうことを言ったということになると、大変な騒ぎになるでしょう。いつも民主主義を大事にせろという人が、こんどは県が頭ごしに言えというのは、私にはちょっと理解できないんですよ。
〔質問−中田県議〕
理解できるようにお話しますが、最初にこの地区を優良農地として保全しようとしたのは、県であり市なんですよ。19億円の税金を注ぎ込んで農地整備と排水対策をやって優良農地をつくったのが県で、農用地に指定して保全しているのが市長なんです。知事と市長が、ここは必要な農用地だと決めたのが先なんです。
そこにこんな殴り込みのような超大型店の出店計画をたてるジャスコのほうが非常識じゃありませんか。だから、これだけ国の金、県の金、市の金をつぎこんだ農地だから「農用地振興法の主旨にしたがって、転用を認めるわけにはいかん」といっていいじゃありませんか。
そのひとことがなぜ言えないんですか。もし、なんらかの理由で市長が認めたら、その後知事が認められないといったら、それこそ混乱が大きいんじゃありませんか。
〔答弁−金子知事〕
手続きがそうなっているんですよ。部長から答えなさい、手続き論を。
〔答弁−中村農林部長〕
知事からも答弁申し上げましたように、今回の農地を転用いたしまして商業用施設の用地として使うには一定の手続きが必要でございます。ひとつは農振法上の手続きとして農用地区域から除外をしなければなりません。この手続きにつきましては役割がさだめられておりまして、その除外については、まず地元の市町村が、これを決める。そのあとで、知事にたいして同意が求められますので、その前に知事がこうあるべきだというのは好ましくない。
現在広く市民の意見を聞くため公聴委員会が開催されています。その意味で地元の市町村の自主性を大いに尊重すべきであろうと、私ども考えておりまして、重大な関心を持って経過を見守ってまいりたいと考えているところでございます。
〔質問−中田県議〕
私は違った考えをもちます。第一に、この地域は多額の国費、県費、市費をつぎこんで、優良農地として県が作り上げた県民の財産ですから、市長に対しても、開発にゆだねることはできないとハッキリいうべきです。
第二に重要なのは、経済四団体の要望書がいっているように、今でも佐世保市は、市南部に出店した多くの大型店の影響で中心商店街が非常に苦しんでいる。これは知事もいわれたではありませんか。年々客足が減っています。そこへ今度はそれに倍する大型店が北部にできたらどうなるか。なんとか、これから守ってほしいという、この声に知事がこたえるかどうかということなんです。
知事に要望がきてるんですよ。だから、あらゆる方策をとって知事がこれに応える。なんとか、そういう巨大店の無謀な出店から既存の商店街を守っていくべきです。
福島県で知事がストップをかけたように、やれるんです。あるいは小売商業調整特別措置法では、小売商団体がこれができたら自分たちはつぶれてしまうと、緊急避難的に求めて知事に訴えをだせば、知事は調査して調整もできるし、規模縮小や開店延期の指導もできるんです。
あるいは福島県のように条例をつくるなどして、あらゆる手をつくして要望にこたえていく。そして既存の商店街を守っていくことこそ求められています。部長がいうように経過を見守っていくのではなく、物事の道理として、県民の財産を守る立場から、こんな計画には同意できないと知事が表明するように強く求めて、時間がきましたから質問を終わります。 トップへ
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