「小泉首相の靖国神社参拝中止を求める請願」の紹介議員・中田晋介です。ご審議のうえぜひ、採択していただきますようお願いいたします。
さきの戦争に対する政府の公式見解は、十年前の戦後50周年にだされた村山首相談話にはじまり、戦後60周年の今年、4月にインドネシアの首都ジャカルタで開かれたアジア・アフリカ首脳会議での小泉首相の演説で示されています。この会議で100カ国の政府代表をまえに小泉首相は「わが国はかつて植民地支配と侵略によって多くの国々とりわけアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた。こうした歴史の事実を謙虚に受け止め痛切なる反省と心からのお詫びの気持ちを常に心に刻む」と謝罪の演説を行いました。
あの戦争は、国策を誤った侵略だったというのが政府の見解です。その戦争を推進した責任者が戦犯として裁かれた東京裁判の判決を、日本はサンフランシスコ条約第11条で受け入れて国際社会に復帰しました。
靖国神社の立場はこれと正反対です。私、靖国神社の主張がどんなものか、そのホ−ムぺ−ジを見てみました。日本の戦争については「わが国の自存自衛のため、自由で平等な世界を達成するための避けえなかった戦いだった」「日本の独立をしっかり守り、平和な国としてアジアの国々とともに栄えていくための戦いだった」とほめたたえています。さらに「英霊の武勲を顕彰する使命をもつ」と書いてあります。小泉さんがいうような「戦没者への追悼」ではなくて、武勲即ち「いくさの手柄」を明らかにし讃える所です。ですから、戦犯についても「連合軍の形ばかりの裁判によって一方的に戦争犯罪人という濡れ衣を着せられ無残にも命をたたれた方々で、靖国神社では『昭和殉難者』とお呼びして、すべて神様としておまつりしています」と書いてあります。A級戦犯の東条英機も写真をかかげて祀られています。
このように、靖国神社は、日本が起こした戦争を正しい戦争とほめたたえる所であり、その立場を参拝する人だけでなく、ホ−ムペ−ジにアクセスすればだれでも見ることができ、「あの戦争は正しかった」と世界に向かって発信する基地になっています。
これは、だれが考えても政府の立場とは両立しません。小泉首相が「あの戦争は悪かった、損害と苦痛をあたえてすまなかった」と詫びながら、一方で、その戦争は正しかったといい、戦犯を神様としてまつる靖国神社に参拝するのでは「反省とお詫びは本当か、戦争美化にお墨付きを与えるのか」とアジア諸国の怒りを買うのは当然です。
首脳会談で中国の胡錦濤首席は「反省を行動で示してほしい」と求め、韓国の廬武絃大統領は「靖国神社には過去の戦争を誇り栄光であるかのように展示してあると聞く。過去の戦争を美化する国が大きな経済力と軍事力をもつことに隣の国民は不安を持つ」と参拝の中止を強く求めています。
いま参拝中止をもとめる国民世論は60%に達し、6月18日の長崎新聞の本県関係国会議員アンケ−トでは、参拝に反対する議員が谷川、高木、山田、犬塚の4人にたいし、賛成は田浦議員ただ一人でした。あとは回答留保で、9人の本県国会議員中参拝賛成は一人だけであります。さらに、参拝反対は、中国で86%、韓国で82%に達しています。海一つへだてたお隣同士で日中、日韓の友好を強く望む本県として、その一番の障害になっている、首相の靖国参拝を中止するよう求める本請願をぜひご採択くださいますようお願いして、請願の紹介といたします。