長崎県総合計画に反対討論
(05年7月12日本会議)
日本共産党を代表して「ながさき夢・元気づくりプラン長崎県総合計画後期5か年計画」に反対する討論を行います。これは、今後5年間の県政の基本方針を示すものであります求めてきた次のような事業が、そのまま盛り込まれています。
第一に、「諫早湾干拓事業、新幹線長崎ル−ト、西彼杵地域高規格道路」などの大型公共事業の推進。第二に、すでに様々な問題点が明らかになっている「全国に先駆けた市町村合併の推進」。第三に、外部委託や指定管理者制度による県の業務の民間への開放と県職員の削減、教員への勤務評価制度の導入などであります。これらが計画どおり実施されれば、県民ならびに県で働く職員、教員の利益を大きく損なうものであり、その推進に反対いたします。
なかでも、諫早湾干拓事業は、工事再開を許した福岡高裁決定でも「諫早湾干拓工事と有明海の漁業環境の悪化との関連性は否定できない」として「政府は、中長期開門調査を含めた有明海の漁業環境の悪化に対する調査研究を実施すべき責務を有明海の漁民に対して一般的に負っている」と指摘しています。
昨日は、島原市議会が漁民から提出された「中長期開門調査の実施を求める請願」を採択しています。佐賀地裁・福岡高裁と繰り返された司法判断も、有明海の漁業環境の悪化に苦しむ漁民の声も、無視して、中長期開門調査をしないまま事業を推進することは絶対に許されません。
つぎに、本計画には、いま県民から強く求められており早急に実現しなければならない次のような課題が欠落しています。
第一に、佐世保大久保小学校事件の対策として県教育委員会がかかげた「少人数学級編成」の早急な実施。第二に、せっかく対象年齢が拡大された乳幼児医療費助成で、県民の窓口払いをなくす現物給付への改善。第三に、長年わずか1000万円に据え置かれている市町村国保事業への県補助金の増額。第四に、被爆地長崎県の反核・平和の課題として、佐世保米軍基地の撤去、長崎港への米艦船の入港を禁止する取り組みなどがありません。 とくに、「少人数学級」については、学力向上と生活指導面で教育効果が大きく、早くから、多くの県で県単独事業として取り組まれてきました。長崎県は「少人数学級の教育効果はわからない。切磋琢磨させるには40人学級が妥当」といって、少人数学級を県単独事業ではまったく実施せず、国の補助による研究指定校わずか12校で実施するのみでした。しかし、重大事件があいつぐなか、ついに県教育委員会も、大久保小事件の対策として「子ども一人ひとりに目が行き届く学校教育環境の整備」の第一に「少人数学級編成の研究」とはじめてかかげました。昨年度、県下の研究指定校での少人数学級実施の成果として「明るく落ち着きのある学級経営が可能となった」「教師にゆとりが生まれ、きめ細かな個別指導が可能となった」「児童生徒間のトラブルの早期発見・早期対応が可能となった」など事件再発の防止に最も有効なことが明らかになりました。
金子知事の任期もわずかになりましたが、これだけの事件を重ねながら、少人数学級に県単独事業としてまったく手を付けなかった数少ない県のひとつとならないよう、早急な実施を求めます。
以上、かかげた内容にも、欠けている部分にも重大な問題がある本計画に反対いたします。