2005年度長崎県予算案への中田県議の反対討論
(05年3月18日 本会議)

 第一号議案 平成17年度長崎県一般会計予算に反対する討論をおこないます。
 反対する理由は、今年もまた諫早湾干拓事業に29億8千7百万円、西彼杵道路整備に52億円、石木ダムの用地買収に10億9千7百万円、市町村合併支援に64億6千万円、誘致企業への補助金5億8千3百万円と大型開発や県民の利益に反する予算は大盤振舞で出しながら、県民の暮らしのための予算はおおいに切り縮められているからであります。そのため、教育や福祉の分野で、県民の切実な願いに応えることができず、全国水準から大きく立ち遅れた状態になっています。
 教育の分野では、少人数学級への取り組みが他県に比べたいへん遅れています。文部科学省がきめている40人学級を、県の取り組みで学級の生徒数を減らし、どの子にも行き届いた教育をおこなう少人数学級は、いま最も重要な課題として各県で取り組まれています。ところが本県では、小学校・中学校あわせて600校のうち、研究指定校として国の費用による少人数学級がわずかに12校で行われているにすぎません。よその県では何年も前から、県の費用による少人数学級が進められ、実施している県は35県になりました。
 一番進んだ福島県では小・中学校全学年で30人学級、長野県では小学校全学年で30人学級、山形県では小学校全学年で33人学級になっています。九州をみても、宮崎県が小学1年と2年の全クラスで30人学級、大分県が小学校1年生で30人、熊本県、鹿児島県、沖縄県が小学1年と2年で条件付きで35人学級です。佐賀県の古川知事も2005年度から小学1年と2年で35人学級を実施します。いまや国の費用による研究指定校のみで、少人数学級に県の費用を出していないのは、長崎県と福岡県だけとなり、立ち遅れは歴然としています。
 先に実施した県では少人数学級による教育効果がはっきりと確認されています。一昨年、昨年と重大事件を起こした長崎県でこそ、一人ひとりの子どもに行き届いた教育がおこなえる少人数学級がいちばん必要になっています。
 県下八市の教育長会も昨年と今年続けて「40人学級を下まわる学級編成・30人学級の早期実現を図ること」と県教育長に要望書をだしています。かつて教育予算は久保県政のころ全予算の32%、高田県政で26%でしたが、金子県政8年間の平均は22%です。久保県政の割合まで10%もどせば700億円、高田県政の割合まで4%もどしても280億円でてきて、他県のように県の費用を使った少人数学級づくりがすぐできます。早急に実施すべきであります。
 福祉の面では、乳幼児医療費助成の年齢拡大が提案されていますが、現物給付への改善は見送られています。県下八市の市長会は、今県がおこなっている償還払い方式は「制度本来の趣旨が生かされたものになっていない。より住民にとって利用しやすい現物給付方式を導入すること」と求めています。制度本来の趣旨とは、たとえ病院代の用意がなくても子どもを病院にかけることができるようにすることで、いま子育て支援に一番求められているところです。すでに全国では全面実施が22県、一部実施が9県になっている現物給付を、是非、本県でも実施すべきであります。また市町村国保への県の補助金が、滋賀県4億9千万円、奈良県4億7千万円、群馬県4億7千万円、岐阜県3億5千万円と出しているのに、長崎県は制度ができて以来5年間1千万円のままです。他県並に大幅増額の改善をつよく求めて予算に反対する討論といたします。