第92号議案 長崎市に香焼、伊王島、高島、野母崎、三和、外海の西彼杵郡6町が編入する「市町の廃置分合について」ならびに、第93号議案 諫早市と西彼杵郡多良見町と森山、飯盛、高来、小長井の北高来郡4町が合併する「市町の廃置分合に
ついて」の両議案に反対の討論をいたします。
いま、全国で政府がすすめている市町村合併は、その地域の住民の自発的な意志にもとづくものではありません。都道府県を通じてなかば強制的におしつけているものであり、反対であります。「合併しなければ交付税を減らしてやっていけなくなるぞ」とおどし、「合併特例債があるうちにいそげ」と期限をきった押しつけで、長年つちかってきたふるさとの町や村をなくしていくやりかたは、全国町村会もくりかえし反対を表明しており、ただちに中止すべきであります。
政府がすすめる今回の市町村合併のねらいは、自治体リストラをすすめ、将来的に国から地方への財政支出の大幅な削減をはかりつつ、大型開発をより効率的に進められる体制づくりにあります。総務省は、現在3300の市町村を政府の目標どおりに合併で1000に減らせば、地方財政への国の支出は4兆円から5兆円削減できると試算しています。合併後の一時期は、現在の交付税が保障され特例債で借金ができても、結局は大幅に削減されていきます。そのしわよせをいちばん強く受けるのは人件費であり、福祉や医療・教育などの市町村独自の住民サービスであります。
例として長崎地域の財政シュミレーションをみると、合併効果は244億円とされていますが、その半分以上の128億円は人件費削減です。編入で増える6町の職員数500人に見合う数の職員が10年間で削減される計画です。これでは長崎市が、6町編入で外海町神の浦から野母崎樺島まで広がった範囲の市民に行き届いた住民サービスができるはずがありません。そうなれば、中心部が重視されまず周辺部が切り捨てられるのは、これまでの状況を見ても明らかであります。今、長崎市では、周辺部
にある支所が行政改革の対象にされ職員数が減らされ続けています。三重地区にあった市立の診療所がなくなりました。数ある市立保育所のなかでまず茂木と福田の保育所が民間委譲とされています。いずれもあとから市に編入された周辺部でおこっています。
しかも、この財政シュミレーションには特例債の自己負担の返済がはじまり、地方交付税が削減されたのちのいちばん被害が出る時期の財政計画が示されておりません。そうなれば、市民全体への住民サービスがいっそう低下せざるを得ません。
わが党は、住民の意志にもとづいて市町村を適切な規模にしていくことに、一律に反対するものではありません。しかし、このような重大な被害をもたらす編入合併について、長崎市では投票による住民の意思表示を求めるどころか、市による市民への説明会すら開かれていません。こうした合併は進めるべきではないという立場で両議案に反対致します。議員各位のご賛同をお願い致します。
04年6月22日県議会本会議
中田晋介県議の「市町村合併議案」反対討論