2004年度長崎県予算案の特徴と問題
2004年2月 日本共産党県議 中田晋介
[1]一般会計総額7535億3800万円。
前年当初予算に比べて309億4600万円、3.9 %の減。4年連続の減額編成。
[2]「三位一体の改革」により国からの支出が大幅に削減され、本県の財政危機がいっそう深刻になった。
地方交付税が2318億5千万円で130億円の減。臨時財政対策債が323億9千万円で89億6千万円の減。あわせて7.7
%の減。国庫支出金も1605億4千万円で131億円7.6 %の減。いっぽう地方への税源移譲分としての地方譲与税、地方特
例交付金は84億9千万円で41億2千万円の増。さしひき国からの支出が309億4千万円も減らされた。
不況のもと県税収入も887億円で前年比1.5 %減と回復せず、借金を増やしながらたくわえた基金も底をつく事態となった。
[3]収入の13・9%は借金、支出の14・5%が借金払い 借金残高は県民一人当たり68万6千円。
借金収入である県債は1048億円で、収入に占める割合は13.9%過去2番目に大きい。県債残高は04年度末で1兆413億
円に達する見込みで、県当初予算の16.5か月分。県民一人当たり68万6千円、4人家族で274万4千円の借金。
借金払いに当てる公債費は1091億3千万円で予算に占める割合は14.5%で過去最高となった。
それでも足りない財源不足額362億円は、県の貯金である財政調整基金、県債管理基金、退職基金を過去最高の362億円取
り崩して当てるが、年度末の基金残高は72億円に減る見通しとなった。
公債費が一般財源に占める割合で財政悪化の状況を示す[公債費負担比率]が2002年度決算で本県は23・7になった。危険ラ
インとされる20をはるかに超え、全国平均の21・7を超える全国でも最悪のクラスになった。
[4]公共事業費
1230億7千万円で10.6%減ったが国直轄事業負担金87億2千万円と合わせると、生活福祉費677億円 のちょうど倍。国政の「公共事業に50兆円、社会保障に20兆円」という逆だちした使い方が県でもおこなわれている。
主な大型開発・大企業優遇予算
●諫早湾干拓 29億9900万円
●女神大橋整備費 86億円
(公共事業49億6300万円 県単独事業36億3700万円)
●西彼杵道路整備費 64億円
(江上バイパス36億円うち第二西海橋29億5千万円、小迎バイパス28億円)
●街路浦上川線整備費 36億3900万円
(公共事業30億円 県単独事業6億3900万円)
●出島常磐アーバン開発19億4400万円
(誘致企業に貸し付けるため港湾特別会計から用地を買いとる)
●佐世保ニューテクノパーク造成費 5億4400万円
●誘致企業への補助金 6億3900万円
県民の利益に反する予算
◆市町村合併支援事業費78億4700万円
(合併支援交付金48億4700万円、支援基金積立金30億円)
◆県立高校改革推進費 1247万円
(県立高校の再編・廃止統合など)
◆使用料・手数料値上げ3件 4012万円
(県立高校授業料30年連続値上げで全日制・月額9400円に)
◆人件費削減
人件費は2200億9400万円、賃下げなどにより前年比76億3千万円3.3%の減。行政改革で今後5千人の本庁職員を5年間で300人6%減らす方針。養護施設の給食業務の民間委託などが提案されている。
[5]暮らしの予算 生活福祉費は予算に占める割合が9%、環境保健費3・8%、教育費22・2%で合計35%と低下。
久保県政のころ50%台、高田県政で40%台を使っていたのに比べて大きく減っている。国保助成、福祉医療、介護保険助成、教育面で目だった改善は無い。
○私学助成費 82億6千万円(前年比1億9200万円減)
○学童保育助成費 2億9600万円 (
2800万円減)
○こども医療福祉センター建設費 13億4300万円
(諫早の整肢療育園の建て替え)
○離島へき地医療支援センター設置費 3500万円
(大村国立病院内に離島の病院への医師派遣センターを新設)
○緊急地域雇用創出事業 21億3860億円
○中小企業向け小規模改修事業 5億円