2002年9月県議会
西村県議の対馬合併に反対討論
10月2日 本会議
第92号議案「市町の配置分合について」に反対の立場で討論を行います。
本議案は対馬6町を合併し、対馬市とするという特例法にもとづく本県最初の市町村合併議案であります。
これに反対する第一の理由は、一つの自治体としては、その区域があまりに広すぎることであります。
端から端までは82キロで、長崎市から松浦市までの距離に匹敵し、上対馬の比田勝から厳原までは、長崎市から佐世保市までの距離があります。
これでは、すみずみまで必要な行政サービスが行き届くようにするのは極めて困難であり、住民が市役所に行くだけでも大変です。
比田勝から厳原の市役所に行こうとすれば、バスで2時間35分、しかも片道3330円、往復6660円と時間も費用も大きな負担になります。その上、便数が午前中2便、午後2便と少なく、比田勝を朝一番の8時40分のバスで出発して、厳原に11時15分に着き、用事を済ませて午後1時45分の厳原発に乗って、比田勝に帰ってくるのは、何と午後4時20分、もう夕方という一日仕事になります。
これでは、住民が気軽に市役所に顔を出し、市役所から職員が住民を尋ねて交流するという、地方自治体が本来持つべき最も重要な条件が成り立ちません。
反対の第二の理由は、住民への行政サービスを担うべき職員が激減することであります。
新市建設計画によると合併時774人の一般職員は、10年後には562人に、112人・14%も減ります。これでは広くなった行政区域に対して、住民への行政サービスが低下することは避けられません。また、支所を強化して対応するという約束も守ることはできません。合併後は年々職員が減って支所の体制が弱体化せざるを得ないことは、過去の県内外の合併が繰り返し示しているところであり、住民の不便さが増大せざるをえません。
「新市計画」では、この職員の減少による人件費の削減額が10年間に90億円と試算し、「合併効果」といっていますが、それは逆で、一般職と特別職あわせて277人もの減少は、それだけ地域の雇用を減らして人口の減少を招き、地域経済への、取りかえしのつかない大きな損失を招くことになります。
第三に、これだけ重大な問題の決定に、直接住民の意思が問われていません。合併の是非を問う住民アンケートが、合併等調査研究会によって1999年に行われていますが、「市町村合併がすぐ必要」という人は24.5%と少なく、組み合わせでは「6町合併」は21%で、一番多いのが「郡単位に三町づつ合併」の26%、続く「近隣2町づつの合併」の25%についで第三位と少数でした。その後、新市計画の内容に関するアンケートが行われただけで、六町合併が直接住民
に問われたことはありません。
これほど重大な影響をもたらす市町村合併は直接住民投票によって決めるべきであり、それを欠いた議案には反対であります。