●30人学級の実現を
第一に、いま全国的に広がっている「三十人学級の実現」を長崎県でも行うよう求めて質問いたします。
いま、子どもを取り巻く状況は深刻です。楽しいはずの学校がある日突然苦痛な場所になり、登校拒否を起こすのです。私が出会ったある母親の子どもさんは、小学校二年生で転校してきて、前の学校より算数がかなり進んでいたため、勉強が厳しくなり学校に行けなくなった。またある女の子はアトピーがひどく、友達に異質な目で見られ、学校がストレスになり行けなくなったなど、私達の廻りでは沢山の不登校やいじめで親も子も苦しんでいます。
いま何より求められていることは、学校が子どもたちにとって学んで楽しい場、人間として大切にされる場にすることです。そのためには、一人一人の子どもに先生の目が届き、きめ細かな指導と援助のもとで、子どもたちが学び知ることの喜びや自らが人間として大切にされていることが実感できる教育環境をつくること、基礎学力をしっかりと身につけさせることが切実に求められています。
全国では、こうした父母や教師の願いにこたえ、昨年行われた法改正を積極的にいかして、県独自で三十人学級や少人数学級に踏み出したところが全国で22道県、4割を越えています。
私は先日、山形県と福島県に調査にいってまいりました。
山形県は33人学級を今年度小学校3年生まで、来年は4・5年生、再来年は6年生までと、3ヵ年で全小学校で実施する計画で、今年度は7億円2500万円の予算です。
また、福島県は小学校1年生と中学校1年生で30人学級を実施し、来年度は小学校2年生まで行います。今年度の予算は、18億円の予算です。両県とも公共事業を大幅に見直し、事業の凍結、延期、中止で財源の確保を行っています。
これによって、山形県は新たに106人の常勤講師と少人数授業のために184人の非常勤講師、福島県は約409人の常勤講師で、雇用拡大にもつながっています。
実施して2ヵ月ちょっとですが、両県とも「一人一人に目がとどき、個々に応じたていねいな指導ができる」「つまずきの早期発見ができる」「教室がゆったりし、教師も子どもも精神的なゆとりができた」など教育効果がすでに上がっていると評価されています。 山形の高橋知事は「公共事業は何年ストップしても待ってくれるが、子どもの教育機会は一度しかない」という考えで、予算の重点を教育おいています。福島県の佐藤知事は今年の年頭所感で「新世紀を担う人づくりを進めていくため、あらゆる社会構造の基盤となる教育について、少人数教育など新世紀にふさわしい改革を重視した施策に、厳しい財政環境だが、県が主体的に取り組んでいく」と語っています。いずれも公共事業を縮小してでも人づくりをという点では共通しています。このように、30人学級の実現は、山形県でも福島県でも、知事が先頭になって進めてきています。
県民の強い願いとなっている30人学級の実現に知事はどうこたえられるのか。お尋ねいたします。
●多良見町の県立病院の存続を
第二に成人病センター多良見病院の存続についてお尋ねいたします。
一昨年12月20日、県議会が日本共産党の反対のなか、賛成多数で採択した「行財政改革に関する意見書」には、3つの県立病院のなかで、成人病センター多良見病院を「結核病棟の確保については配慮しつつ、民間又は他の機関への委譲について検討すること」としています。昨年の2月8日に「長崎県行政システム改革大綱」が発表されました。そこでは、多良見病院は「結核病床の確保に配慮しつつ民間または他の機関への委譲も含めてあり方を検討」と微妙に表現を変え、民間委譲だけでなく県立として残すことにも含みを持たせた表現になっています。
ところが、県の諮問をうけて検討を続けてきた「長崎県立病院運営検討懇話会」(会長・斉藤寛長崎大学医学部名誉教授)が7回の会議の結果、19日に知事に報告書を提出されましたが、「多良見病院は、一般病床の経営を民間に委譲し、結核病床は民間委譲か他の県立病院に統合」と多良見町から県立病院を無くす方向での提言がされました。
多良見町民は新聞報道で、大変ショックを受けています。
多良見病院は、かって喜々津村の時代に村有地を当時厚生省に無償提供し、しかも村民が何日も奉仕作業を行い、死亡者を出すという尊い犠牲を払ってまで結核病棟の建設のために貢献してきた歴史があります。
また再び55年の建て替えでは、県が諫早に移そうとしたのを町民挙げて県央医療の中核拠点として残してもらうため土地を提供し、県立成人病センター多良病院が現地に拡張建設された経過があるように、多良見町民は県立病院があることへの誇りと愛着を持っており、県立病院の廃止どころか充実して存続してくれることを切望しています。
また、小泉内閣の下で医療改悪が進み、お金がなければ病院にもかかれないような事態が起こってきています。こういう時代こそ、県民の健康と福祉の増進に、県立病院が果たす役割はますます重要です。
成人病センター多良見病院は地理的にも諫早市と長崎市の中間に位置し、交通の便もよく、県立病院として県央地区の中核的役割を担う事が可能な条件に置かれています。
検討会の議論の中でも出されたように、「肺結核を取り巻く他の呼吸器疾患に対するセンター的な機能を持たせ」権威ある地位を築けば、大きな役割を担う事にもなります。
積極的な改善を行い、多良見町に県立病院を残すよう知事に強く求めます。
●西海橋回りの佐世−保長崎間の直通バスを
第三に西海橋まわりの長崎── 佐世保直通バス路線の復活を求めて質問いたします。 昨年4月から長崎
佐世保間、大瀬戸−佐世保間の直通バスが廃止され、西彼町、琴海町、西海町、大瀬戸町などの町民のみなさんに様々な困難が生まれ、特にお年寄りの病院通いや学生の通学に多大な影響が出ており、県民の足をまもるという観点から直通バスの復活をするよう求めました。しかし、未だに改善されていません。
学生の間からは「長崎までの通学に、朝30分早く自宅をでらねばならなくなった」「通学時間帯のバスが減り、早く起きて家族に送ってもらわなければならない」お年寄りは「長崎の病院に行くのに、30分以上も長く乗らねばならなくなって、トイレの我慢が出来ず、時津や赤迫で一度下りて、乗り換えて行かねばならない」など深刻な被害が続いています。琴海町では老人会長、自治会長、町議、バス利用の住民などが一緒になって、直通バス復活の運動を進めています。
当時、佐世保に路線権を持つ西肥バスが赤字路線を理由に、長崎−佐世保間の「直通バスの廃止を決めたことで、県営バスや長崎バス3社での協議の結果、全部の直通バスを廃止してしまいました。
今年の2月から、それぞれのバス路線のエリアをきめた需給調整規制が廃止され、どこででも自由に路線バスの運行が出来るようになったにもかかわらず、県営バスも長崎バスも直通バスを走らせようとはしません。
規制緩和は、結局もうける路線は走るが、もうけにならない路線は容赦なく切り捨てて撤退してしまうという道をより一層強くしました。
利便性の高い地域との格差を無くし、過疎地帯の住民の足を守もる手だてを取らなければ、もっとも弱い立場のお年寄りや子どもの足を守ることは出来ませんし、地域の経済や文化のも望めません。
県は、住民の切実な願いに耳をかし、早急に対策をとるべきではありませんか。直通バスを復活することを強く求めます。
●長崎港も非核神戸方式を
第4に核兵器積載可能な艦船の入港に反対し、非核「神戸方式」での対応を求めます。
米海軍イージス艦が県民の強い反対の声や知事の「入港を回避してほしい」という再三の申し入れにもかかわらず、長崎港への入港を強行しました。
アメリカのブッシュ政権は核実験を繰り返し、今年1月は「核体制の見直し報告」を行い、核兵器を通常兵器と同じように使うという戦略まで打ち出しました。そこでは、核保有国中国、ロシアのほかに、イラク、北朝鮮、シリア、リビア、イランの核を持たない7ヵ国までを対象にした、核兵器使用計画をつくることを指示し、世界の核兵器廃絶の流れに逆らっています。
そんな中に、アフガニスタンの戦争に参加し、核兵器を積んだ可能性さえあるミサイル艦が被爆地長崎に強引に入港したことは、核廃絶と平和を願う長崎県民への挑戦であり、絶対に許せません。
ある被爆者の方が私に「とにかく腹が立つ。知事にせよ、市長にせよ、表敬訪問を断る事態なのにあえて入港してきたことは、核兵器を振りかざした感じがしてたまらない」と怒りを語られました。胸が締めつけられる思いです。
知事も「メルマガ長崎県」でこのような被爆県民の立場にたって、外務省に2度出向いて入港回避を求められたこと、しかし、地位協定により「たとえ港湾を管理する県でも、入港を拒否することでき」なかったと残念な思いを語られ、最後に「今後、再び、アメリカの艦船が長崎港へ入港がすることがないよう努力してまいります」と決意を述べておられます。
知事はこの県民にむけた決意を今後どう実現されるのですか。地位協定があろうとも、入港を拒否する構えがいま、何より必要ではありませんか。
私は、核兵器廃絶の県民の願いにこたえるために、知事が管理する港に核積載可能な艦船が入港を希望する場合、「核兵器をつんでいない」の証明書発行を義務づけた非核「神戸方式」での対応を強く求めます。
●公共事業受注企業からの政治献金の禁止を
最後に、国や県が発注する公共事業の受注企業からの政治献金の受け取りの中止について知事に質問いたします。
政治と企業が癒着して利権をあさる政治構造が、つぎつぎと明るみに出て国民の大きな怒りを呼んでいます。加藤紘一元自民党幹事長、井上参議院議長が辞任におい込まれ、円藤徳島県知事の逮捕につづいて、鈴木宗男衆議院議員がついに逮捕されました。
とくに、鈴木宗男議員の逮捕では「たとえ正規の企業献金として届けられたものであっても、企業の依頼を受けて便宜をはかった対価として受け取った献金はワイロになり、犯罪となる」と、企業献金のワイロ性がいっそう鮮明にされました。
かつて経済同友会の石原俊(とし)代表幹事が「株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治家に金を出せば必ず見返りを期待する」といったように、商法でも企業・会社は「営利を目的とする社団」と定められており、もしも、会社役員が見返りとしての利益を考えずに会社の金を支出すれば「その任務にそむき会社に損害を与えた」として背任罪に問われます。
本県でも、諫早湾干拓事業の受注企業から、知事にこの五年間に二千二百三十七万円が献金され、献金額は知事になって四倍に増えています。また県政最大の与党である自民党長崎県連には、干拓事業着工以来の十六年間に受注企業四十九社から七億一千万円の企業献金がなされています。この献金が、どんなことがあっても諫早湾干拓事業をつづけてもらいたいという要請をこめたものであり、また、あくまでも事業を進めてくれたことへの謝礼の意味を持つ献金であることは知事もわかっておられると思います。こうした、疑惑をよぶ公共事業受注企業からの政治献金の受け取りは、この際きっぱりと中止すべきではありませんか。知事のお考えはどうか質問いたします。
2002年6月県議会
西村貴恵子県議の一般質問
7月3日西村貴恵子県議が行った一般質問は以下の通りです。
◆30人学級の実現を ◆多良見町の県立病院の存続を
◆西海橋回りの佐世保長崎間の直通バスの復活を
◆長崎港も非核神戸方式を
◆公共事業受注企業からの政治献金の受けとり拒否を