2002年度
 長崎県予算の特徴について
〔1〕
 これまで、二月の知事選直後の当初予算は義務的経費中心の「骨格予算」が提案されてきたが、今回は「現下のきびしい経  済情勢に対応するため」として本格的な通年予算として21日提案された。
  一般会計当初予算総額  8006億5204万円。前年度当初予算9545億2800万円にくらべて16・1%の減で過去最  大の減額。収入支出に計上されている雲仙岳対策基金1000億円をのぞいた実質収支でも6・3%の減額で、昨年の0・1%  減に続く、2年連続のマイナス予算
〔2〕
 財源不足額は県税収入の減少などで過去最高の790億円。財源特例債(借金)559億円と基金の取り崩し231億円で  補填した。(基金はのこり217億円)2002年度末の県債残高は9908億円で、前年より265億円増えて当初予算の1.2  倍になった。県民一人当たり64万9千円の借金は過去最高。 収入の13.2%が借金(県債)、支出の13.6%が借金払い(公債費)という借金財政。
  公債費が一般財源にしめる割合をしめす[公債費負担比率]2000年度で22・3と、危険ラインとされる20をはるかに超え、  全国でも最悪クラス。全国平均は99年度で17・3  県税収入は昨年比96億円9.1%の大幅減。地方交付税も小泉改革の影響で57億円2.2%の減。国庫支出金も145億円の減。
〔3〕
 公共事業費は、1453億円で前年に比べ9・5%減ったが生活福祉費の2倍。国の2001年度「景気対策」補正予算に連動  した二月臨時議会の公共事業上積み170億円を加えると、ちょうど昨年並みで生活福祉費の2・2倍となり、国政の「公共事  業に50兆円、社会保障に20兆円」という逆立ちした関係が県予算でも同じくあらわれている。
 
主な大型開発・大企業優遇予算
 ・諫早湾干拓29億2800万円
 ・女神大橋  87億8100万円
  公共事業29億円、道路・用地など県単独事業47億9000万円、国直轄負担金11億  円
 ・アーバン開発25億4200万円
  公共事業・道路緑地整備16億4700万円、臨海土地造成7億5000万円
 ・出島バイパス80億円
  公共事業・オランダ坂トンネル76億円  県単独4億円
 ・誘致企業補助金・貸付金
  13億4000万円に加え、「県外中小企業が県内に立地する際に資金を提供する社債  引き受け貸し 付け資金」3億円の制度を新設
〔4〕
 暮らしの予算は、生活福祉費9%(前年8.5%)  環境保健費3.5%(3.9%)  教育費
22.1%(20.9%)  計34.6% と構成比は若干ふえ  ているが、予算総額が減ったため各費目の予算額は減少している。福祉医療、国保、介護保険、教育などの施策での目立った改  善はない。
● 県民の要求を取り入れた予算
◇学童保育障害児受け入れ助成費 798万円
 国庫補助の対象とならない3人以下の障害児受け入れに県が半額補助新設
◇干潟の浄化機能・人口干潟研究費 1億2千万円
 小長井干潟と人口干潟実験装置による実証研究
◇緊急地域雇用創出特別交付金事業 20億3千万円  県事業12億5千万円
 私立幼稚園補助員、不法投棄監視員、教員補助員、複式学級支援など市町村への補  助7億8千万円
◇県内企業むけ小規模改修事業 
 県営住宅1億円  道路改修2億5千万円  教育施設改修1億円  県有施設改修1億円
◇私学助成費 
 昨年85億円を85億8千万円に増額
 
●県民に犠牲を押しつける予算
 ◆県立高校「改革」推進費1289万円
  総合選抜廃止、通学区拡大、中高一貫教育の導入
 ◆市町村合併推進費1億2700万円
  法定合併協議会交付金8600万円、任意合併協議会交付金1100万円、団体助成      300万円
◆県使用料・手数料の値上げ
   県立高校授業料・月額9100円が9200円に28年連続値上げなど1億2900万円の県  民負担増
◆敬老祝金を88歳と100歳だけへ削減
  経過措置がなくなり、この年齢の人しか受け取れなくなった
  
                 2002年3月16日 日本共産党長崎県議団