◆48000名の県民署名で「私学助成大幅増額と30人以下学級を請願」が提出され、日本共産党・中田県議が
     紹介議員になり、西村県議が賛成討論を行いました。

  
私学助成大幅増額と30人以下学級の実現を求める請願

                   請願人 長崎の私学助成をすすめる会
                            会長  大石 千枝子 
                        長崎のゆたかな高校教育をめざす会
                            代表世話人 佐久間 洋子
                      紹介議員  中田 晋介

 全国的に続く不況のもと、長崎県でも学費滞納による中途退学者の増加が深刻な問題になってきており、2000年度から実施された緊急な助成制度をさらに充実することが必要になっています。また、子どもの教育にかかわる父母の負担の経済的負担を軽減することは、ますます重要な課題となっており、特に私立の学校や幼稚園における授業料などの父母負担は大きく、私学助成の大幅な増額が望まれます。
 さらに長崎県でも「いじめ」の問題や登校拒否、過密な受験競争、「学級崩壊」などさまざまな教育問題をかかえています。私たちはこうした背景をふまえ、「学校五日制」や「子ども(児童)の権利条約」が時代の潮流となるなかで、すべての子どもが、ひとりの人間として尊重され、個性と能力を最大限に発揮できるような教育を求めて努力してきました。そのためには、すべての学校でゆきとどいた教育環境をつくることが大切であり、子どもたちの心のゆとりをつくるための学級規模の縮小や教職員の多忙を解消するための定数増が必要です。
 すでに周知のとおり今春、参議院において、第七次教職員定数改善計画にもとづく「標準法の一部改正案」が可決成立しました。その結果、都道府県独自で「少人数学級」の実現が可能となり、また県の同意が得られれば、市町村独自のでも「少人数学級」が可能になりました。例えば、今年度から秋田、新潟、広島、愛媛、鹿児島で小学校の低学年を中心に「少人数学級」が実施され、また、京都、大阪、山形、千葉、兵庫、の五府県では特別の事情がある場合は「少人数学級」の実施が可能になりました。さらに、八月末、山形県知事が全国ではじめて県内の全公立小中学校での「30人学級」実施の意向を表明するなど「少人数学級」実現の施策は急速に広がりを見せています。30人(少人数)学級を国に求める意見書が、11月28日現在、全国で1625自治体(49%)県内で17自治体(21%)で採択されています。このことは画期的なことであり、少人数学級実現を求める声は切実なものとなっています。
 私立学校も公教育の一翼を担っており、私学教育を充実させることは長崎県の教育の発展にとって欠くことのできない課題であり、県民の大きな期待と関心事になっています。公私立を問わず、「教育は公費で」というのが憲法で保障された教育の機会均等の権利を実現することになります。2001年度の県内私立高校の初年度納付金(入学金+施設整備費+授業料)の平均は55万8千円を超え、公立高校の4・7倍に達し、公私間の格差はむしろ拡大し、私立高校や幼稚園に子どもを通わせている父母の教育費負担はもはや限界に達しています。
 長崎県における2001年度の私学関係予算を見ると、県独自の予算の上積みで私立高校生一人あたり282,746円(国基準は266,650円)と前年度当初予算に比べて11,679円の増額となっています。この額は国基準の増加額8,450円を上回っており県当局のご努力の賜と深く感謝いたしております。しかし、全国では27都道府県出一人当たりの補助金が30万円を超えており、長崎県は全国平均(302,380円)を下回っています。県当局の更なるご理解をいただきたいところです。 また、今後、現行の40人学級のまま推移すると、少子化の進行により全県的に小中高校の統廃合が急速に進行するものと思われます。生徒減少の著しい地域でも地域の文化・経済にとってなくてはならない学校を維持・存続するためにも30人以下学級の実現や複式学級の解消が必要です。さらにまた、障害児教育においては、義務教育を終えた障害児が自立するためにも、希望するすべての生徒が義務教育終了後の教育が受けられるよう、養護学校後頭部のなお一層の拡充が求められています。以上の趣旨については、県当局にも日頃より理解を深めていただいているところですが、なお一層のご理解と早急な具体化が望まれます。
 よって、次の各事項がすみやかに実現されますよう要請いたします。
                             記
 1、長崎県の私学助成を増額し、経常費の二分の一の助成実現を目指してください。
 2、公私立を問わず、学級規模の縮小をさらに進めてください。とりわけ、生徒減少の著しい地域・学校については、小中  高30人以下学級を実現するとともに、複式学級を解消してください。
 3、父母負担を軽減するために、次の措置を講じるなど、県の教育予算を拡充してください。
   (1)私立学校の入学金に対する補助
   (2)小中学校の教材費無償化
   (3)通学費補助制度の拡充
   (4)公立学校の経常経費の増額
 4、国に対して、私学助成の大幅増額と小中高30人学級の実現をはたらきかけてください。
 5、希望するすべての子どもに高校教育を保障してください。障害児にゆきとどいた教育を保障するために、障害児学級、  障害児学高等部の増設や通常学級の教育条件を整備してください。
 6、教職員の多忙を解消し、ゆとりを持って子どもとふれあえるよう、すべての学校の教職員をふやしてください。 
 7、長期不況下の子どもの就学保障のために公立・私立の児童・生徒に授業料減免制度や奨学金制度などを拡充してく ださい。



◆中田議員の請願紹介討論
 請願第7号「私学助成大幅増額と30人以下学級の実現を求める請願」の紹介議員・中田晋介でございます。ご審議の上、ぜひご採択いただきますようよろしくお願いいたします。
 まず、私学助成の大幅増額ですが、今県下の高校にまなぶ生徒は7割が県立で、3割が私立高校に学んでいます。長崎市内では私立が5割にのぼっています。請願書にも述べてありますように、いずれも同じおおやけの教育をになうものであり、憲法が保障する「教育の機会均等」の立場から、その教育条件は同じであるべきですが、その父母負担には大きな格差があります。
 本年度の県内私立高校生の年間に学校に納める初年度校納金は、55万8085円で県立高校の11万4750円の4・86倍になっています。なぜそうなるかといえば、生徒一人当たりの公費負担が、昨年度決算で、県立の場合117万7126円なのに、私立高校生への補助金は27万1405円と4・3分の1しかないからであります。同じ県民のこどもたちが受ける教育でのこの格差は一日も早く解消しなければならないと思います。
 本年度の私学助成は一人当たり28万2746円にふえておりますが、それでも全国平均の30万2380円の93・5%であります。ぜひ、私学助成を増額してどのこども逹も同じ条件で高校教育がうけられるよう改善をお願いするものであります。
 30人以下学級づくりについては、国会で法律が改正され、都道府県や市町村の独自の判断で、少人数学級が可能になりました。山形県知事が全国で始めて県内の全公立小中学校での30人学級実施の意向を表明し注目を集めていますが、ほかにもまづ小学校低学年からの少人数学校づくりが請願にもありますように秋田、新潟、広島、愛媛、鹿児島などで始まっています。
 本県の場合、小中学校で1300人の教職員の採用で、30人学級が実施でき約110億円必要だと試算されています。ほかに高校は試算が難しいがおおよそ350人以上ということであります。大きな予算のようにみえますが、それだけ教育効果の面でも雇用拡大の面でも一石二鳥の効果は大きいものがあります。ふりかえってみますと県の予算全体の中に占める教育費の割合は、「教育県長崎」をかかげた久保知事の時代、1975年の37%をピークにへりつづけ、今年は20・9%にへっています。高田知事の4期16年の年平均25%にくらべても4%、金額にして380億円へっています。その一部を元に戻し、計画的にとりくめば実現できます。48034名の署名を添えての本請願をぜひご採択いただきますようお願いいたします。


◆西村議員の賛成討論
私はこの請願を採択するべきとの立場で討論いたします。
 県の私学助成は年々増額の努力がされていますが、しかし初年度入学でも私立の場合の初年度納入金は、95年が4.77倍、96年が4.66倍、97年が4.77倍、98年が4.85倍、2000年が4.87倍と公立との格差が増えつづけ、今年度が4.86倍とわずかにストップがかっりましたが、なお大きな父母負担となっています。
 しかも、長引く不況のもとで授業料の滞納も増加し、ある私立高校の場合、全体の9割近くが1ヵ月から4ヵ月以上の滞納者がいるという状況です。友人との良き思い出になる修学旅行も経済的な理由で参加できない生徒が増加し、平成12年度では例年の2倍以上の生徒が参加できておらず、県外への私立大学の推薦を断るせいとも増えているということです。
 ぜひ、厳しい財政の中でも県立高校との格差是正のために私学助成の増額になお一層の努力をお願いしたいと思います。
 また、少人数学級ですが請願者や紹介議員の方からも紹介がありましたが、学級規模の構成は都道府県の権限に委ねられたことで、全国的にも少人数学級に県が足を踏み出すところがますます広がっています。埼玉県の志木市では来年度から小学校低学年に25人学級を実施することを決意し、県にその実現のための財政援助を求めましたが、埼玉県は他の市町村からも要望が強いことから学級規模の見直しをするといっています。志木市の市長は「子供にとってその学級は1回きりです。行政の都合で先延ばしするのではなく、出来るときに実施すべきだ」「行き届いた学級運営は40人学級は物理的に無理であり、不登校やいじめ、学級崩壊に要因の一つにもなっています」といっています。
  財政負担を理由にしますが、先程、紹介議員が言われたように予算を少し見直すだけでも十分可能であります。一気にでなくても、小学校の低学年から段階的に進めることも含め、検討すべきと思います。
 是非請願7号「私学助成の大幅大幅増額と30人以下学級の早期実現を求める請願」を本委員会で採択をしていただきますよう、意見を申し上げます。よろしくお願いいたします。
「私学助成大幅増額と30人以下学級を請願」と二人の議員の討論