西村県議の日本共産党の意見書の提案理由を述べ、自民・公明・民主・社民による議運共同提案の「農水省見直し案に同意し水門開放に絶対反対の決議」に反対する討論
私は、日本共産党の意見書案の提案理由をのべ、議運提案の決議案に反対の立場で討論をおこないます。
いま何より切実に求められているのは、深刻な被害が続く有明海をどうやってもとの豊かな海に戻すのかということです。だからこそ、事業再評価第三者委員会は「事業の見直し」を答申したのです。
委員会の答申は「環境への真摯かつ一層の配慮を条件に事業を見直されたい」としており、失われた干潟の浄化能力の評価、事業と有明海で起こっている異変との因果関係の解明に関心を示し、これまでの事業が環境への配慮に欠けていたという反省のもとに、事業の抜本的な見直しを求めています。
それが「水門開放は行わない」「干潟の再生も行わない」という農水省の見直し案は、事業再評価第三者委員会の議論と答申をまったくないがしろにするものであり許されません。
議運の共同提案は、第一に排水門の開門調査絶対反対をかかげていますが、すでに、ノリ不作等対策調査検討委員会が9月20日の中間まとめで「調整池内の干潟の浄化能力の評価、調整池内の水質や浮泥の周辺環境及び赤潮発生等への影響改善の解明のため」水門を開けて調査が必要だと述べ、二か月程度の短期調査と数年かけた中期調査が検討され、19日にも結論が出されようとしています。このなかで、開聞絶対反対というのは、有明海の漁業被害の原因解明を妨害するものであります。
また、防災機能の効果を強調していますが、これは、旧堤防のかさあげや樋門の整備、排水ポンプや水路の整備をおこなうことで十分可能であり、干潟の再生と背後地防災は十分両立が可能であります。
また、決議案は、営農計画の早期実現を求めていますが、現在県下には、干拓で造成される農地の8・5倍5900ヘクタールの農地が耕作されず遊休農地となっています。そのうち優良な8分の1を活用するだけで干拓農地の造成は必要なくなります。
今回の見直し案では、費用対効果で法律が求める要件を失い、同時に造成農地価格の値上がりが避けられません。造成農地が半分になれば、農水省の計算でも作物生産効果と国土造成効果が半分になり、費用対効果は0・82となり、費用が効果を大きく上回り、土地改良法第二条に違反します。しかも、農地が半分になれば農地価格は倍になり、それを引き下げるために新たな税金投入となれば、農水省の失敗のつけを国民に押しつけることになり、このようなことは絶対に許されません。
干潟と有明海再生への道を閉ざし、法律が求める要件を失った本事業は断じて行うべきではありません。日本共産党の意見書案へのご賛同をお願いし、共同提案の決議案に反対する討論を終わります。
(12月12日 本会議)