市町村合併問題についての中田県議の質疑10月1日県議会総務委員会
(質問・中田県議)
市町村合併について質問いたします。今年6月16日総務省が、各県がつくった市町村合併推進要綱の組み合わせパターンにに基づいて、市町村数を現在の3200から1140に減らした場合地方財政がどうなるか試算したら、全市町村の年間歳出総額54兆円を4兆円減らすことができる。その削減効果が最も大きいのは、職員や議員、首長の数を削減することによる人件費のカットだという試算を発表したのはごぞんじだと思いますが、市町村合併が進めば全体としてそうなるんですね。
(答弁・松尾太一市町村合併推進室長)
そういう試算があった事実は承知しております。内容の細部をくわしくは知り得ておりません。
(質問)
合併すれば地方自治体の予算が削れるんです。だから小泉内閣の骨太方針でも「速やかな市町村の再編」をかかげ「国からの補助金や地方交付税、あるいは地方財政計画により財源を手当てする歳出の範囲・水準を縮小する」とかかげています。すでに来年度予算でも地方交付税の一兆円削減がいわれています。
これは、地方分権をいうなら地方税財源をふやせという地方自治体の要求に反するのではありませんか。昨年5月全国市町村会が決議した「市町村合併のあり方に関する意見」でも「地方分権の観点から地方税財源の必要かつ十分な措置」や「地方交付税の適正な水準の確保と維持」を求めているのに反すると思いますがどうですか。
(答弁)
たしかに合併の背景に国と地方の苦しい財政事情があります。しかし、合併は地方交付税を減らすためにやっているのではなくて、人口が減り、少子高齢化が進む中で分権型地方政治の基盤を強化する方策としてすすめているものであります。市町村合併は地方分権に反するものとは思っておりません。
(質問)
合併で歳出規模が小さくなり、職員数、議員数が減ることによるデメリットは大きなものがあります。県下それぞれの地域の合併研究会の報告書でもハッキリでています。昨年7月の下五島地域研究会の報告書では「行政区域が拡大することにより、きめ細かなサービスの提供ができなくなる恐れがある」「議員が減り住民意見の吸収力の低下につながるおそれがある」「役場や公共施設が遠くなり不便が生じる」「中心部だけがよくなり、周辺部は取り残されるおそれがある」とあげており、今年三月長崎市と西彼杵郡の合併を検討した長崎地域広域行政研究会の報告書では「役場が支所となることで住民サービスが低下するおそれがある。住民の声が届きにくくなる」「地域のことに精通した職員が減少する」「地域づくり町づくりの予算が減少し、地区のイベント・伝統行事が減少する恐れがある」「各種公共施設が統廃合され利用が不便になる」としています。これは、市町村合併がもたらす基本的なデメリットであり、なんらかの対処策で解決できるものではありません。この点、県民への情報提供が非常に重要で、それをぬきにして期限をきって合併を急ぐようなことは絶対に行ってはなりません。県はどうお考えですか。
(答弁)
いまあげられたデメリットについては、昨年だしました県の合併推進要綱でも取り上げ、対応策は基本的にはお示ししてあります。区域が広くなる行政の対応は地域審議会をつくって対処いたしますし、地域格差がおこらないよう合併時の市町村建設計画のなかでしっかり協議して決めていきます。役場が遠くなり不便になるという点は情報技術の導入でカバーしていきます。
(質問)
はじめにいいましたように、全体として市町村の予算が減るんですよ。職員も少なくなる中で、合併で広くなった区域の行政サービスがどうして維持できます
か。これらのデメリットは解決できるはずがありませんし、これまでの合併の実例をみてもこうした不安は現実になっています。今回の合併は、国の地方への支出を削減し住民に大きなデメリットをもたらします。県として合併に取り組む際、この点の十分な情報を県民に提供するべきであり、けっして強制することのないよう強く求めておきます。