諌早湾干拓事業推進の口実にされている「防災効果」が、大水害で被害を出した諌早市街地には及ばないことを、長崎県が初めて認めました。
3月9日、県議会の農林水産委員会で日本共産党の中田晋介議員は
▼「知事や干拓推進派は、539人の死者を出した諌早大水害を引き合いに出して、『水害をなくして安心できる諌早をつくるのが干拓事業。だから工事中断に反対』といっている。
▼しかし、堤防による調整池が洪水対策にまったく役立たないことは、1999年7月23日の豪雨で本名川が氾濫寸前となり、諌早市民全体に避難勧告が出され、多数の家屋が浸水した事実が証明している。
▼本名川の洪水対策は、川幅を広げる河川改修事業として国土省が行っているが、調整池の役割は(洪水防止策の中に)まったく入っていないではないか。
と追及しました。
これに対して、県農林部の国弘実諌早湾干拓担当参事監は「干拓周辺の低平地の排水対策に効果があるが、大水害当時の市街地には効果はない」とこたえました。
中田議員は、「これ以後諌早水害を引き合いに出すのはやめよ。干拓周辺の低平地の対策は、同じ地形の佐賀県で現に行われている方法で十分対応できる。防災口実の干拓推進は成り立たない。ただちに工事を中止して抜本的に見直せ」と要求しました。
*詳しいやりとりは、後日掲載します。
また、3月10日付の朝日新聞は長崎面で、「県は九日、諫早湾干拓事業の防災効果が諫早市街地にまで及ばないと、事実上認めた。同日開かれた県議会農林水産委員会で、県農林部の国弘実・参事監が質問に答えた。
委員会では、「(一九五七年の)諫早大水害のような大雨になっても大丈夫というが、大水害で被害の大きかった市街地に対し、本当に効果があるのか」との質問があった。
国弘参事監は『低平地への効果はあるが、大水害当時の市街地には効果がないとみている』と答え、市街地には事実上効果がないと認めた。しかし、『今では低平地にも住宅が立ち並び、市街地は広がっており、そこには効果がある』と反論。『泥のたい積がなくなって、排水がよくなるなど、当時の市街地にも間接的な効果はある。市民からも評価されていると思う』と説明した」と報じています。
「防災効果」は諌早市街地には及ばない 中田議員の質問に県が認める