2001年3月定例県議会・文教委員会
県立大学問題についての論議
文教委員会での質問と答弁の全文を紹介します。
(西村委員)
いま、お二人の方から、県立大学の問題でずっと質問がありましたが、私もこの事で問題意識を持っておりますので、質問をしたいと思います。
まず、私は文教委員会は初めてでこれまでの議論の経過も承知していませんので、「大学の自治」を県当局がどのように認識しておられるのか、このことを確認しておきたいのですが。
(奥田学事振興課長)
お尋ねの「大学の自治」につきましては、成文化された規定はございませんが、憲法22条の「学問の自由」の中に含まれていると解されておりまして、最高裁判決も「大学の自治」が、この「学問の自由」で保障されていると解しているようでございます。そして「大学の自治」の範囲として、学長、教授、その他の研究者の人事がこれ、一つでございます。それから、教育研究の自治、これが二つ目でございます。それから、三つ目が施設及び学生の管理の自治というのがございます。この点が大学の自治の範囲であろうと私ども思っております。特に、人事につきましては,教育公務員特例法により、具体的に規定があるということでございます。ただ、「大学の自治」に対しての私どもの考え方のお尋ねでございますけれども、あくまでも「大学の自治」と申しますと、「学問の自由」を守るために認められている制度であります。ただ、これは絶対的な完全自治を意味するものではないんじゃないかと。おのずから限界があるんじゃないかと考えております。
例えば、条例の制定、改廃あるいは予算の調整、執行等については、設置者、私どもの方にその権限があるものと、私どもは理解をいたしております。
(西村委員)
私もちょっと「大学の自治」について調べてみたんですが、これは寺坂昌男氏が「日本教育法学会編の教育法学辞典」の中で示されていますが、大学の自治権の内包として、今日ほぼ全世界的に認められているということで、一般常識になっているものとして、先程言われた教員の人事に関する推薦・任命・免職権、それから学長、学部長などの管理職者の選出権、学科過程ですね、カリキュラムの編成並びに科目担当教師の決定に関する権限、学則・内規など学内諸規則の制定権、それから学位資格の審査・認定権・授与権、それから6番目に大学施設の管理権、7番目に学生の処分権などがあると。そのほかにも、財産自主権、入学者選抜権などが加えられるというふうにあるんです。その中でも、さっき言われたように教授や教員の人事権や学則・学科過程の編成権など、もうこれはヨーロッパなどでも、大学自治権の中核をなすものと考えられてきたというふうに規定されていますが、このように理解してよろしのですね。
(奥田学事振興課長)
一般的に言われている「大学の自治」「学問の自由」といわれるものと、それからいろんな学者の見解があるわけでありまして、そういう学者の見解も私どもは承知をいたしているところでごさいます。
(西村委員)
では、学科過程、カリキュラムの編成などについては、「大学の自治」の範囲に入るのか、入らないのか。ちょっとここを確認したいんですが。
(奥田学事振興課長)
カリキュラムの改編については、原則的には「大学の自治」の範囲内であると、私ども思っておりますが、大学の設置条例にもとづく設置理念というものがあるわけでありまして、そういったものに関連するようなカリキュラムの改編ということになりますと、そこは、「大学の自治」ばかりじゃないんじゃないかなと。設置者の立場からもそこは検討する必要があるんじゃないかなと、私どもは思っております。
(西村委員)
先ほど、質問の中で、大学側が「長崎県立大学の将来計画に関する見解」ということでそちらにご相談があって、カリキュラムはこういう形でやりたいと。経済学科と流通学科については問題ないが、人間科学科は非常に問題があるというご指摘がありましたですよね。その点についてですが、大学審議会が今、大学のあり方について提言していますが、広い視野を持った人材の育成ということを強調していますよね。その中に、「今後、各大学において、特定の分野に偏らない、広い視野を持った学際的な人材を育成するためには、学部や学科の枠を越えた、横断的な教育課程を編成して提供したり、学生が所属している学部や学科の域を越えて授業を選択し、履行できる仕組みを整備充実したりする必要がある」と言うふうにされていますよね。先ほど、懇話会をつくるということについて、ちょっと行き過ぎじゃないかという質問に対して、先取りをしてやっていくんだと言う御答弁がございましたが、今後の大学のあり方として、大学審議会の方向としてこういう方向を目指しなさいと言うことが示されているわけですよね。ということであれば、教養過程はこれは充実することが必要ではありませんか。教養科目は必要ないんだ、そこを自分たちは求めてはいないんだということで、いま(大学側と)協議をさらにすすめるようにしているとの御答弁のようでしたが、私はこれは基本的には「大学の自治」に反する問題であって、将来を展望して、今後の大学のあり方について、大学側が何年もかかって研究もして、そして県にもご相談をしながらやってきた内容ですよね。大学をよりいいものにしていこうということで、熱心に研究もされて、協議も重ねてやられてきたものについて、なぜそれがだめという形になるのかということは、ちょっと解せないんですよね。
私は実は、自民党のほうからも提言が出ていることもあり、学長にお会いしたいとお願いして、学長と副学長に会っていただいて、お話もるる疑問の点についてもお聞かせいただいたんですが、そこでそうした大学の意向なども持っているんだということで、非常に前向きに取り組んでいこうという、大学をいい大学にしようという意欲を非常に感じたんですよね。ですから、その辺については、大学に自治の問題として、大いにやらせていいのではないかと思うんですが、それになぜクレームがつくのか、ちょっとお尋ねしたいんです。
(奥田学事振興課長)
ちょっと、過去のいきさつをちょっと、説明させて頂きますが、大学設置基準というのがございまして、平成2年度以前でありますと、大学の卒業要件として、教養が48単位以上、それから専門が76単位以上、合計の124単位以上というようなことで規定があったわけですね。これが、平成3年の大学設置基準の改正で、この、いま申し上げた教養と専門の縛りを無くして、124単位以上という要件のみに改正がなされております。そのときの改正の趣旨、文部省からの通知が出ておりますが、個々の大学が、その教育理念、目的に基づき、学術の進展や、社会の要請に適切に対応しつつ、特色ある教育研究を展開しようという、そういう趣旨の通知になっております。それで、これを踏まえまして、よその大学では、教育過程の見直しを進めておりまして、いろんな改革をやられておりますが、県立大学の方ではほとんどその見直しがなされず、現在に至っているというのが現状であります。それで、私どもがいつも申し上げるように、一般教養と専門の比率、他大学に比べて、一般教養の比率が高いわけですけれども、それとまた、最近一般教養の重視というようなことで、答申の中にもそういう一般教養の復活というようなことが言われておるわけでありますけれども、ただ、私どもは昨今の厳しい就職状況とか、そういったやつも考えますと、実社会で即戦力となる人材育成、これが求められているわけでありまして、私どもは、経済学部として専門教育の充実を図ることが重要ではないかというようなことで、大学の方にも、私どもの考え方をお伝えをしております。そういう中で、いま、大学の方から上がってきておりますのは、先ほども説明しましたように、一般教養の充実というようなことで上がってきたものですから、それについては、私どもの考え方を申し上げていると、そういう状況でございます。
それから、一つ、人間科学コースなんですが、経済学課と流通学科、両方にまたがるコースの設定については、これはもうその学部、学科の根幹にかかわることですから、此れについて、両学科共通の人間科学コースを中間に設けるということ自体は、非常にこれは、学科自体の独自性がなくなり、非常に問題ですよという話は、文部科学省の方からも聞いております。そういうことで、大学の方にもその話はさせていただいております。
(西村委員)
じゃあ、その人間科学コースについては、たとえば独立した形でやったりとかいうふうにするべきと考えておられるわけですか。必要ないと思われるわけですか。
(奥田学事振興課長)
人間科学コースの中身も種々問題があります。現時点ではね。それと、学科と独立をして、そのコース制を立ち上げるという自体が、これはもう両学科とは別に、人間科学コースを独立して立ち上げるということには、これはもう何も思っておりません。
(西村委員)
大学が、教授会や皆さんと一緒に協議し、そうした方向でやろうと、やっぱり今後は、そういう先を見通した方向での大学のあり方を追求していこうという形で決められたことについて、しかもカリキュラムを自分たちの自治権においてつくっていくわけですから、そういうことについて、もっと自由に、大学の意向というものを尊重し、活かしていくというやり方も、私は是非、柔軟な方法でして差し上げていただきたいということを、要望として付け加えたいと思うんですね。ここはまた今後、大学側と協議をされるんでしょうから、一応、この点についてはここでとどめたいと思いますが、もう一つ、先ほど自民党の方(朝永委員)からの(質問に対して)、自民党の提言の9点にわたっては、自分たちが問題意識を持っている内容だというふうに言われましたですよね。ということは、自民党の提言と同じ立場で大学を見ているというふうに理解してよろしいわけですか。
(横田総務部理事)
ここにも述べられています9点が、特に掲げられているわけですが、私どもは、この間の大学の改革に取り組む姿勢として、各大学で行われる、いろいろと種々検討されている内容についてはもっと多岐にわたっておりますが、やはり本県の大学にあっては、この辺をもう少し、いま一度見直しをしてみる必要があるのはないかというふうなことでは、私どもも検討する価値があるのではないかというふうに思っているわけでございます。すべて、これだけに限定して問題いうわけではございません。そういうふうに私どもは認識しております。今後、どうするかというにはやはり、検討していく必要があるというふうにおもいます。
(西村委員)
大学に対して、同じような立場で問題意識を持っておられるという認識があるようですけれども。就職率の低迷が先ほどから非常に問題にされていましたですよね。資料もいただきましたが、確かに大学の就職率は、経済の落ち込みもある中で落ち込んできている。経済学部という学部自体も、いま非常に就職難にさらされているというのが全国的な傾向でもあると思いますが、平成11年度63.4%ということが議会で問題になりましたけれど、その後の就職率は改善されていないのか。もっと落ち込んで来ているわけですか。
(奥田学事振興課長)
この平成13年度の1月末での就職率というものを見ておりますが、内定率が57、1%でございます。昨年、前年同期が50、9%でありますので、若干向上はしております。
(西村委員)
大学側にお尋ねしましたが、このことが議会でも非常に問題になったことで、就職のことについては、大学側も心を痛めておられるわけですよね。だからこそ学長を中心にした就職に対する特別委員会をつくって、真剣に対応していこうということで、非常に前向きな姿勢で取り組んで行こうとしているのを感じましたし、そうした取り組みのなかで、今年度は就職率も67、5%だと、2月時点での就職率になっているというお話もあったんですよ。ですから、そういう意味では、努力されていることについては、私はもう少し評価をしていかんといかぬのじゃないかというふうに思うんですが。これまで私、本会議での議論をずっとお聞きしていて、まあ、黙って聞いていたら、ひどい大学だなと。答弁も一緒にかみ合っていくわけですから、何か非常にひどい大学だという印象を県民に与えると思うんです。しかし、県北では高等教育の中心として大きな役割を果たさなければならないし、皆さんの期待の場所でもあるわけですから、そういう意味では、県当局としてももっと大学の実情をよく把握しながら、そういう努力の面については、「大学はこういう努力をしているんだ」ということを、答弁のなかでもきちんと私は言うべきだと思うんですよ。余りにも悪い印象を与えるような答弁が出過ぎるんじゃないかという感じを私自身受けてまいりましたが、その点については、なにか同じ考えでいるからそういう答弁になっていくのかもしれませんが、しかし、大学のいい面を見ていって、それを伸ばしていこうという思いがあったら、ああいう答弁は出てこないんじゃないかと思うんですよ。その点について、どのようにご認識を、大学がそんなに悪いところばかりなのかと、いいとこをあげたらどこがあるのか、ちょっと挙げてみてもらえませんか。さっきから悪いところばかりですからね。
(横田総務部理事)
西村委員が、県民に対し、あるいは学生に対してそういう不安を与えることのないように努力すべきじゃないかという点については、私も全く同感でございます。ただ、就職率につきましては、それはいろんな公立大学の比較したデーターもございますが、いわゆる何と比較するかというのがやはり肝要かと思います。そういう意味では、おなじ経済学部系で、しかも伝統ある学校という中で比較しますと、低位にあると、これは否めない事実でありますので、日本の、いわば西の端にあるとは申しましても、そういうのを見ても、もっと努力をしてほしいというのが、我々の期待であるというふうに、期待をしているところでありまして、そういう意味では、私どもはやはり大学についてももっと努力して欲しいというものをお願いしているということでございます。
この、今年の就職率が前年同期に比べてよくなっているというデーターを課長もご披露いたしましたが、最終的にはまだどうなているかというのは確定しておりませんでしたので、私も本会議での答弁の際には、手持ちがございませんでしたので、差し控えさせていただいたわけですが、これもやはりほかの大学はどうかという点での比較も必要かと思っております。ただ、昨年よりも同期でみれば好転をしているというのは明るい数値だなと期待をしているところでございます。
(西村委員)
大学の努力が伝わらない、だから、あの大学は閉鎖的な大学だということが、本会議の質問の中で出るわけですよね。誰の意見も受け付けない、閉鎖的だということが、ある議員さんの質問のなかで言われましたよね。私、メモしていますから、議事録を後で見てください。そういう質問が出たことについて、何らそれを答弁の中で否定されないということは、私は問題だと思うんですよ。教員の欠員の問題についても、(大学側が)努力をされていないように非常に感じますよね、あの答弁は。大学側は何の努力もなさっておられないわけですか。もうずっと欠員が続いて、過去5年間ずっと欠員が続いてきていると。大学側の努力は全くなくて、そんな状態になっているという印象を強く与えますけれど、大学側の努力というのは全然ないわけですか。
(横田総務部長)
トータルとしての欠員が、6名ないし7人続いているのは、これは事実でございます。私どもとしては、その欠員の状況、中身をお聞きしたときに、大学の不開校につながっていると、これはやはり、開校した以上は、やはり専門教育に力を注ぐべき大学の使命として、もっと努力をすべきじゃないかという点で、大学側に注文を申し上げているわけでございます。退職される方もございます。また採用努力もしていただいております。そういう面ではトータルとしての欠員はございますが、分野ごとにはそれぞれ、非常勤でまかなったりして、努力をしていただいておりますが残念ながら、大学院については、不開校問題が継続しているという点で、もっと努力してほしいと。そういう努力を私どもはやはり求めていくべきだというふうに思っております。
(西村委員)
その事についても、私は大学側にお尋ねしてみました。平成13年度からは新任の教員も、今、既に4人を確保されているというお話でしたし、大学院の不開校、開校されていないものについても一人は確保し、もう一人は学部の方の採用ができたことで、見通しが立っていますよということでしたよ。そういうことはご存じないわけですか。私は、答弁でそういうのがあっていいと思うんですよね。
(横田総務理事)
議会では、やはり質問があったことに対してお答えするというのが私どもの立場でございますので、その限りで努力をしているつもりでございます。そういういい大学になるように、あるいは県民から信頼される大学になるようにというのは、質問があった際には、私も努めて答弁をさせていただいているつもりでございます。
(西村委員)
答弁の内容は、質問者に同調する答弁にしか、私には受け取れないような、多くの人たちがそう受けとめておられると思うんですよ。だから、大学についてのさまざまな・・、私は一度ここで言おうと思っていましたが、あそこの大学の生徒たちは、偏差値が低いということについて質問があったら「確かに低い」ということを言われましたよね。覚えておられるでしょう。そういうようなこと言うことは(発言するものあり)、他にあの大学の印象を非常に悪くするし、学内にいる大学の先生に至っても、希望をもってやろうとしている先生たちにも、やる気をなくさせるというより、学内の不団結をつくっていく要因にだってなりかねないと思うんですね。ですから、設置者としては、私は、余りにも不用意ではないかと思うんですけれど。もっと温かく大学を見る、さっき指摘した面は前進面でしょう、これは。大学の努力、努力が実ってきているわけでしょう。そういうふうにはとらえませんか。これは努力ではないんですか。
(横田総務部理事)
本会議の答弁については、私も偏差値に触れた点はございますが、これは思い起こしますと、大学のレベルについてどうかというような質問であったようでございますので、私は一つの、直接の大学の、先生のレベルはどうかということでございましたけれども、私はそれについては、それぞれの学会での評価でございますので、私どもは客観的なデータはございませんので、わかりません。したがって、それについては、学生の尺度から、学生の希望する尺度からみれば、これは偏差値というのは受験雑誌に載っておりますし、そういう意味で、例えばこういうふうな数値にはなっておりますと申し上げたわけですが、その点、非常に不安を与えたという点があれば、今後十分それは注意をして、心してまいりたいと思います。その点は、ご心配をおかけた点については、私も至らなかったというふうに思います。(発言するものあり)
ただ、私どもも就職率については、私どもも常々からどうなっているかという点で、大分、大学側に強く要請をしてまいりました。その結果として、大学側も積極的に取り組みをいただいたという経過はございます。
(西村委員)
大学側のそういう努力については、やはり今後、努力しなければならない面については、大学側も率直に受けとめて、だからこそそういう改善も図りながら、努力をされているわけですから、その点については明確に評価もするという形にしないと、悪いところだけ強調した形で答弁をするということは、非常に大学に悪い印象を与えますし、意図的な感じさえ受けますから、そういうことはなさらないようにぜひしていただきたいということを言っておきたいと思うんですね。
それともう一つお尋ねしますが、先ほど「大学の自治」について確認をさせていただきましたし、この間、入学式の問題については、先ほど「大学の自治」の範囲内だから、要請はするけれども、決めたことについては介入できないというのが、尊重するというのが立場ですよね。お願いはするが、大学の教授会で決めた、これは「大学の自治」の範囲内ということで、決めたことについては、それは尊重すると言うのが設置者の立場ですよね。そこをちょっと確認させてください。日の丸の掲揚の問題です。
(横田総務部理事)
これは、何回も答弁を申し上げておりますが、やはり、結果として大学での審議をされたことについては私どもは「大学の自治」問題であるというふうに受けとめております。
(西村委員)
そうすると、先ほどの御答弁は非常におかしいんじゃないですか。特段の配慮というのではなく、県がしてほしいんだという強い意思表示をするべきだということを言われたんですよね。それに対して、受けとめるような御答弁がありましたけれど、こういう事については、強制的になるから、大学の自治を逸脱する問題になると、自治に対する介入だからできないと御答弁なさるのが当たり前じゃないですか。(発言するものあり)
(横田総務部理事)
国旗・国家の取り扱いについては、総理大臣談話にございますような、そういう趣旨を大学側においても十分ご検討いただいて、善処いただきたいということで、私どもは、その国旗・国歌法が成立したこととあわせて、その後、大学側に設置者としての気持ちを伝えておるところでございます。
(西村委員)
国旗・国歌法が成立した時の状況はよく承知だと思うんですよね。この論議は、国民の中に賛否両論ある、もっと国民的討論が必要だという状況の中で成立されていきましたけれど、その時、文部大臣の答弁とか文部省の教育局長の答弁だとか、小渕首相の答弁のなかとか、明確に、この問題ははっきり示されれいると思うんですよ。小渕首相(当時)の答弁では「政府としては、今回の法制化に当たり、国旗の掲揚等に対し、義務づけを行うことは考えておらず、したがって、国民の生活に何らの影響や変化が生ずることとはならない」ということを言っておりますし、君が代の問題でも歌いたくないという「児童がいる場合に、無理強いしてこれを斉唱させるというようなことになりました場合には、やはりこの憲法で言われる内心に立ち入らないということにかかわってくる」ということを、文部省の当時の辻村哲夫初等中等教育局長が答えておられますね。るるこういう形で、これが法としてできたとしても、国民に義務づけるものでもないし、強制するものでもないということが、はっきりと国会討論のなかで明確に示されている。だから、県当局としても「絶対揚げなさいよ」ということは、その大学の自治に介入する形になるからということで「特段のご配慮をお願いしたい」という言い方になるんだと思うんですよね。設置者としては、そういう要望をなさるでしょうけれども、しかし、大学の教授会の中で、自分たちの権限でそれを受けて、協議をして、こういう方向で行こうという形で、確たる学問の研究の信念を持って決められたことについては、これは介入しないというのが、「大学の自治」を守っていくという上で、設置者として節度を持っていかなきゃならない大事なところではないかと思うんですね。私は、この点は非常に大事なところだから、ぜひ御答弁をいただきたいんですよ。
(奥田学事振興課長)
確かに、委員が言われるとおりに、平成11年8月9日付けで国旗及び国歌に関する法律というのは成立しておりまして、確かに、今回の ? ついては、国旗の掲揚や国歌の斉唱等に関して、新たに義務を課するような規定はなく、法制化後においても、現行の運用に変更が生じることはないと、そういうことをたしか私どもも聞いております。そしてまた、内閣総理大臣の談話にも、新たな義務を課することはないと言うようなことは明記をしております。だから、そういうやつを踏まえまして、あくもでも私どもは、判断は、最終的の判断は、大学の自主的な判断にゆだねると、それはもう何回も申し上げておりますが、それは私ども設置者の立場としては、そういう内閣総理大臣のまた後段の談話の中身があるわけであります。自国の国旗を大切にしてください、あるいは他国の、よその、外国の国旗も大切にというような談話の趣旨があるわけでございます。そういう後段を踏まえて、私どもは設置者としての意向は伝えてまいりたいと、そういうことで申し上げております。
(西村委員)
私ども県会議員にしても、権の職員の皆さん方にしても、法のもとで物事をすすめていかなければならない、法律や法というものは守らなければならない立場にあると思うんですね。そういう意味では、そうした法律、先ほども言われたように、その後も日本の国旗・国歌として認めていかなければ、ぜひ馴染んでもらいたいという動きはあります。これは談話なんですよね。法律じゃないし、義務付けでもないんですよね。強制もしませんという、先ほど言った基本的な国会論議がその根底にあるわけですから、その点では、ぜひそこをわきまえた行政を行っていただきたいということを、強く、もう一度求めておきます。先ほどは、それは認識をしておられるという御答弁だったので、そのように受けとめていきますけれども、よろしいですかね。(横田理事うなずく)よろしいですね。
それと、先ほど、自民党の皆さん方が、それぞれ自分たちの立場で提言をなさっておられる、大学の改革などについて、やっぱり、よりよい、県民に親しまれる大学になって貰いたいという、そういうお考えでそれぞれ考えの違いはありますが、提言をされていると言うことについては、大学側がどう受けとめているか。この点もお聞きしたんです、私。そしたら、「大学の改革とかについて、必要なことは真摯に受けとめていきたい」と、そうしなければいけないというふうに思っていますと。しかし、そういう改革だとか、大学のいろんな改善するべき点だとかいうことと、「大学の自治」に対する問題は別問題。だから、県議会の論戦を踏まえて、私たちが、大学側がですよ、大学側が「大学の自治」に対する介入だといっているのは、先ほど申し上げた、日の丸・君が代について、大学が自治権でもってきめたことについて、繰り返し繰り返し論議がされる、このことについては、もう自治を尊重するという立場に立っていない、法的なものについて、全然、何というか、理解を示していただいていないということで、「介入ではないか」と言っているわけで、別に対立しようという思いでやられているんじゃなくて、基本的なところでの違いがあると思うんですね。
ここに、自民党の提言の中にありますけれども、最後のところの、学長を専任するときに、民間の者を入れるとかの人事権の問題ですよね。大学の人事権に対して、民間の者を入れたりしてほしいとかいう提言がありますよね。この最後のところで出てきますけれども。しかも、それだけじゃなくて、特例法の見直しというのがありますよね。4項目のところに。改革の提案のとこですけれど、4のところで、大学教員人事制度の見直しというのがありまして、そのため教育公務員特例法の見直しというところまで言及しているんですよね。これは、いまの法治国家のもとで、これは自民党がそういう事をやってもらいたいという提言とは思いますけれども、ここまで言及をして、しかも、人事の問題なんかについて、学長の選考を見直すべきだとか、人事問題に外部有識者による審査を行うべきとかいうことにまで言及するのは、これは「大学の自治」に対する介入にはなりませんか。その点についてのご認識をお尋ねしたいんですよ。ここまで言及するということは、私は「大学の自治」に対する介入ではないかと、この辺については良くないと思うんですが、どうなんでしょうか。
(奥田学事振興課長)
私どもは、先般うけました自民党からの提言については、一つのご意見であるというふうなことでとらまえております。その具体的な扱い、検討の中身については、これから進めてまいりたいと思います。
(西村委員)
これから検討をしていくという御答弁ですが、この部分、いま、私が申しました所についてもご検討なさるわけですか。この部分については、県が関知しない部分じゃないですか。一応、提言は提言として受けとめたとして、これは法的には、いま、自分たちがどうこう言う立場にはないわけだし、これは「大学の自治」に関する問題だということで、設置者としてはそういう立場に立つべきじゃないんですか。ここまで検討されるんですか。
(奥田学事振興課長)
失礼しました。確かに、自民党提案の中の学長選考関係か、人事の関係、触れられておりますけれども、確かに現行法では学長の選考につきましても、教育公務員特例法で、これは大学の協議会、あるいは評議会を設置をしない大学、これは佐世保の県立大学ですが、そこにあっては教授会の? を基づき、学長の定める基準により、評議会を行うこととなっております。現行法ではそういう規定になっておりますので、私ども、そこらあたりがどういう研究の仕方になるのか、先ほど「検討」と申し上げましたけれど、そういう提言がありましたので、その中身については私どもも研究をさせて頂きたいと、そうつもりで申し上げておりますので、ご理解を頂きたいと思います。
(西村委員)
そこがおかしいと、私はおかしいと思うんですよ。大学のそれぞれの自主的な立場で、教授会のなかにその協議会を置いて、そこで人選のかれこれもやろうということを、自主的にそこが決めるなら、大学が決めるなら、それは問題ありませんよ。しかし、大学の、これはまさに自治にかかわる問題でしょう。そこについて、県として、よそがやっているから、そういう方法を持ち込もうとかいうことについて、協議をしていきたい、検討していきたいということについては、まさにこれは憲法違反の範疇になってくるんじゃありませんか。
(奥田学事振興課長)
今、申し上げたように、法的には教育公務員特例法で、評議会ないし教授会に最終的な権限が与えられておりますが、ただ、その選考過程においては外部の意見を何らかの形で反映させること自体は、その大学の自治を侵すことにならないんじゃないかなと。最終的判断は、それは大学の方でされるわけでありますので、例えばの話なんですが、最終的な判断は、決めるのは現行の教育公務員特例法の中で、最終的に大学が判断することになると思いますので、例えばの話ですね、そのことをもって、即「大学の自治」に反するということは言えないんじゃないかなと思っております。
(西村委員)
非常に重要な発言だと思うんですよ、私は。先ほどこうした就職の問題だとか、授業のコマ数の問題とか、そういう事について、一定の問題意識を持っているということで、自民党と全く同じなんですかといったら、そういう認識を持っていると言われたんだけれども、それだけじゃなくて、大学の改革の中で、人事権そのもの、言ってみれば大学固有の自治権の問題についてまで、あなた方は自民党さんと全く同じ立場でおられるわけですよね、そしたら。今の発言は、まさにそういうことなんですよ。自民党と同じ立場で県は、そういう形の見直しなどもできるならやっていきたいし、検討もしたいということを今、言われたと思いますが、非常に問題発言じゃありませんか。
(横田総務部理事)
課長が申し上げた趣旨は、今の特例法の考え方について、ご説明をしていると思いますが、自民党の党の提言は提言としまして、そういうふうなものが、今の法律で果してどうなるのか、あるいはそういう教授選考方法について、今後の検討材料になりゃせぬかという意味で、研究課題としてと考えているというふうなことでございまして、その辺は非常に私どもも、「大学の自治」と密接に関連した重要な課題であるという認識については、代わりございません。そういう意味で・・・。
(西村委員)
もう、これは押し問答になっていきますから、一応納めたいと思いますけれども、今、自民党政府のもとで、まさに教育の根幹にかかわる基本法、教育基本法も変えていこうという動きが出ています。これまで何度もそういう動きがありましたけれど、国民世論のもとで、それが、彼らのもくろみがうまくいかずにきたわけだけれども。また、長崎県の学事振興のところで、今、そういうことを提言に沿ってやっていこうということは、まさにそうした流れにのって、「大学の自治」そのものまでも破壊していくような動きになりかねないと思うんですよ。だから私は、この点については厳しく今後もこの問題について見ていきたいと思いますけれども、そういうことは、一切やってはならないし、「大学の自治」そのものについて、一番最初に確認しましたけれど、この点については、私どもは守る立場でありますという、そういう答弁があってしかるべきと思うんですけれど、何かそれが、今、まさに足かせ、手かせになっているから、これもなんとかつっぽいで、大学を自分たちの思いのままにならないかというもくろみがあるんじゃないかというふうに取れる発言でありますので、その点については、そういう思いがあるんじゃないですか。
(横田総務部理事)
繰り返すようでございますけれども、「大学の自治」の一つの具現的な形として、今、教育公務員法の特例法が或る分けでございます。私ども、地方公共団体としては、そういう法律のもとで、それに従って運営、あるいは行政執行していく立場にございます。ただ、いわゆる「大学の自治」の学長、あるいは人事のあり方については、諸外国でもいろんな形があるわけでございますので、やはりそういう中で、今後、どういう風な大学運営のあり方がいいかという中での、一つの検討課題として提起がされているものというふうに受けとめております。
(西村委員)
その答弁では、もうちょっと納得しませんけれども、これは今後にゆずりたいと思います。もう一つお尋ねしたいと思いますが、先ほど委員の方から就職率のことで質問があって、その中で、ぜひ人的、本当に就職率をうんと上げいく対策をとるには、人的配置をして上げるという努力は、設置者としても大いにやるべきじゃないかという、積極的な提案がされたと思うんですね。私はそれは大いに賛成だと思うんですね。大学側とも、この就職の問題を話をしているときに、職員組合の方からも、ぜひ就職あっせんのための人的配置もしてもらえないだろうかという要望が、この間ずっと出されているけど、なかなかそれに応えられずにいるんだということも言われていたんですよ。就職率が大いに上がっていくという、大学のこれからの展望が開けていくということになれば、私は安い投資だと思いますが、この点については、今後、ご検討いただけるんでしょうか。先ほど質問もあっておりましたけれど。
(横田総務部理事)
先ほど、朝永委員からご質問があった際にお答えした通りでございます。
(西村委員)
どういう通りですか。もう一度お願いします。
(横田総務部理事)
県立大学のみならず、各大学で、就職対策についてはいろいろな形で取り組みがなされております。そういう取り組みを参考にしながら、私どももこの1年間、大学当局ともやり取りをしてまいりました。その中で、実現できているもの、実現できていないものものもございますけれども、いろんな角度から、今後、引き続き、真剣に検討していきたいというふうなことでございます。
(西村委員)
ぜひ、そうしたことも含めながら、今後の検討課題として頂きたいと思います。
それで、今、県立大学、いろんな形で注目を、こうした県議会で論議になっているということで注目を浴びていますけれど、大学のなかでも、社会的な貢献という面では具体的に大きな成果も上げているということを、私ちょっとお聞きしてびっくりしたんですね。そういうのは県議会のなかでは全く論議にもならないし、報告もありませんので、あんまり成果もない大学のような印象を受けてきたんですけれども。私、何も知りませんでしたから、そういう印象を受けてきたんですけれども、情報ネットワークという郵政省の事業に公募されて、全国の公募のなかから県立大学が取っているんですね。しかも、東京大学や県立シーボルト大学と連携して、今後、そうした情報ネットワークの研究を進めていくということをやっているわけですが、私はこれは非常に積極的な面ではないかと思うんですよね。余りそういうことが表に出ていませんけれど、その点は余り評価される内容じゃないんでしょうか。それとも大いに評価すべき内容なんでしょうか。
(奥田学事振興課長)
いま、委員がお話のギガについては、ギガビットネットワークの利活用の研究開発費のことで、佐世保の県立大学取り組んでいる事業でございます。今、ギガビットネットワークが全国的に拡大されてきておりまして、長崎県には平成12年8月に、今、長崎大学までネットワークが延長されております。このギガビットネットワークを活用してのいろいろな研究の募集を、これは通信放送機構タオと言うんですが、郵政省の許可法人、通信放送機構の事業で、全国から公募をしまして、そこで佐世保の県立大学がネットワーク教育システムの研究開発というようなことで、遠隔のいろんな授業をしたり、離れたところでの大学と大学を結んで遠隔授業をしたり、あるいはそういったもろもろの、遠隔授業に関してのいろんな法体系の研究とか、そういったものをテーマに上げまして応募をしておりましたところ、昨年、これが採用になりまして、私どもも平成12年度1200万の受託研究事業というようなことで予算化しております。これは、3ヵ年の事業になるわけで、平成12年度、14年度まで事業は続きます。そういうようなことで、平成13年度は私どもは2000万円の予算を計上いたしておるところでございます。先ほども委員がお話になりましたように、こういう情報化の取り組みというのは、これはもう大事なことでございますので、私ども大いに評価をしているところでございます。
(西村委員)
終わりたいと思いますけれども、ぜひそうした積極面については大いに支援をして頂きながら、大学の今後の、地域に対してのさまざまな貢献、また交流とかに活かしていただきたいし、ひいては大学が名を上げていく大きなメリットにもなってくると思いますので、その事を要望いたしまして終わります。