いま行われるべき改革は、県政のムダをはぶき、県民の利益守ること
 行財政改革等特別委員会が提案した「行財政改革に関する意見書(案)」に反対する討論
               2000年12月20日県議会本会議   西村貴恵子

 行財政改革等特別委員会から提案された「行財政改革に関する意見書」案に反対の立場から討論をおこないます。
 いま、行われるべき改革は、県政のムダをはぶき、県民の利益の拡大をはかる方向ですすめるべきと思いますが、この意見書案は逆に県民の利益を損なうものとなっています。

 まず第一に県立病院、県営バスなどの公営企業について「独立行政法人や民営化、民間への委譲についても検討を行うべきである」としていますが、それでは、この分野を民間まかせにして、県としての責任を放棄することになります。
 県立病院には、地域の中核医療を受け持ち、採算面で困難な専門的高度な医療を県民に提供する使命があります。また、県営バスには、県民の生活路線を確保する立場から、更にきめ細かく県民の要請に応えていくべきであり、いずれも県が責任をおうべき役割は大きく、民営化や民間への委譲は行うべきではありません。

 第二に、県立の公共施設について「できるかぎり市町村にまかせるか、外部委託を推進する」として、県立特別養護老人ホーム「眉山」の民間委譲、県立コロニーなど福祉施設の民間委譲の可能性の検討をあげていますが、これまで県立として、この分野におけるモデル的な施設として力を入れてきた取り組みを放棄するものであります。
 また「福祉事務所と保健所の統合」「県立高校の再編統合」「消費生活センターの必要性の検討」などがあげられていますが、福祉事務所と保健所の機能は異なっており、それぞれの充実強化を図ることこそ必要です。生徒数の減少を理由に県立高校を減らす前に、学級定数を三十人以下に思い切って減らし、充実した授業が行えるようにすべきであります。消費生活センターはなくすどころか、いよいよ複雑になり増加している県民の消費者相談に一層適格に答えることができるよう強化すべきであります。

 第三に「職員定数のスリム化を図る」として、県の業務への「業務委託及び人材派遣方式の導入の検討」があげられています。これは、職員総数を減らして、より人件費が安い外部民間労働者でおきかえて費用の削減を図ろうとするもので、今でも毎日の残業が増えている職員の労働負担を重くし、ひいては県民への行政サービスの低下を招くものであります。

 第四に、県立大学の運営に関し、学外の意見をきく「運営諮問会議」が設置されたばかりなのに、さらに「知事の諮問機関を設置する」としていることは、現に、しつように日の丸掲示の強要が続いている情勢からみて、大学の自治に対する介入干渉を強める狙いがあるものとして反対であります。
 いま必要な改革は、耕作されない農地がたくさんありながら多額の税金を使う諫早湾干拓や、渋滞もないのにもう一本橋を架ける第二西海橋に70億円注ぎ込む計画など、公共事業のムダづかいをみなおし、諫早へのソニー誘致に補助金17億円、長崎の夢彩都に25億円の無利子融資など、大企業奉仕の優遇措置を見直して、県民生活にまわすことこそ急ぐべきであると提案いたしまして討論といたします。よろしくご賛同をお願いいたします。