市町村合併について  
                        2000年10月3日 県議会総務委員会
        質問・中田晋介県議   答弁・松尾太一市町村合併推進室長

(質問 中田県議) 質問を分かりやすく簡潔にするために、資料を配らせていただきます。県の市町村合併推進要綱についての質問ですが、いまお配りした資料の上段のグラフは、県が作りました市町村合併推進要綱の31ページのグラフをそのまま写したものでございます。これを見ますと、市町村が合併すると地方交付税が合併前の合計より減る。それを合併特例法で10年間は全額保障するが、10年経ったら減りはじめて、15年目以降は一つの自治体分に減って、歳出全体も減る。こういうことを示していると思いますが、そのとおりでしょうか。

(答弁 松尾市町村合併推進室長)中田議員おたずねのこのグラフの見方ですが、合併しますと前より大きな自治体が新たに存在するという形になりますので、規模のメリットといいましょうか、経済効果がでてくることになりまして、歳出自体は同じ行政サービスを行うのであれば、交付税の措置を少なくてすむというような意味合いになろうかと思います。行政水準が下がらずにある程度標準的な財政をまかなえるという意味で交付税は縮小するという形になろうかと思います。

(中田県議)地方交付税が減って歳出全体が減れば、基準財政需要額も減って職員の数も減ると思います。県が合併要綱で示す13の合併パターンで合併した場合、それぞれどのくらい地方交付税が減るか、職員数がどのくらい減るか、示していただきたい。またこのグラフで、合併で減らされる交付税を「余剰財源」と表示しているが、今までその地域で受け取っていた交付税が削られれば、これまでの行政サービスの財源が削られる被害がでるのに、なんで余剰というのかうかがいたい。

(松尾市町村合併推進室長)まず表現の余剰財源のほうからお答えいたしますが、合併したことによって、財政の効率化がはかられ、行政サービスを低下しないで財源がまかなえるということで、交付税が入ってくる。ところが合併をすれば合併算定替えということで交付税が合併しなかった額を保障される。歳出の効率化をはかって交付税が落ちた額で本来的には交付されるのに、合併算定替えの適用をうけて前の合併しなかった額をもらえるという、その差の部分を、余剰といういい方で表している訳でございます。余剰という表現がふさわしいかどうかは別としまして、差し引きの剰余という形で表したものでございます。合併の13のモデル案をお示ししておりますけれども、それぞれの区域ごとに交付税なりの計算はしているかというお話でございますが、これは今例えば対馬地区の合併協議会で、対馬の未来の姿として、どういう施設を配置し、どういう行政サービスをやろうかと検討している最中に、その辺の具体的に今の計算額で交付税がどうだよという話をこちらから出すというのはちょっと、中身のいろんな形に応じて交付税の算定の方法等も変わってまいりますので、そのへんのあやもございまして、今のところそういう形での試算はいたしておりません。

(中田県議)私はこれを試算しようとすればできると思います。合併前の各町の税収も、地方交付税も、国庫補助金も、それに基づく基準財政需要額など、みんな分かっていますから、その辺を合わせればどうなるかということはでてきます。要綱のグラフで「減る」というだけでなく、「将来どのくらいに減るか」を示すべきだと求めますがどうですか。

(松尾市町村合併推進室長)たしかにおっしゃいますように、今の歳出構造をそのままずっと合体した形で続けるという仮定に立てば、それでアバウトな計算というのは可能でありましょうけれども、合併後の新しい市町村を建設しようとしているその自治体の中身におけるサービスの水準であるとか、いろんな施設の問題でございましても税収にいたしましても、いまあるものを足すだけで単純に分かるかと、そして歳入と歳出の需要の差としての交付税ということになりますと、制度の改善等もございましたら、必ずしも、その合体したものが新しい市町村の交付税予測を示すものかどうか疑問視する部分もございます。実際の対馬などの合併協議会での新しい建設計画の熟度に応じて、どういう需要が増え、どういう歳出がでてくるか、ケースケースに応じてフォローアップをしていきたいと思います。

(中田県議)しかし、この要綱の中には、総務費や議会費がこんなに減るなどと、現在の財政構造そのままで合併の利点であるかのようにあげています。あなた方は都合のいいところは現在の財政構造そのままであれこれいっているじゃありませんか。わたくしは地方交付税が減って歳出総額が減る。そして職員数が減るということが、合併が県民生活にもたらす被害のいちばん大きなものだと思います。それが要綱にはちょっとグラフでは書いてあるけれども、
どのくらい減るかは示さない。本文では一言の言及もない。これは正しくありません。将来的にいろんなファクターがあるにしても近似的にでも示すべきです。その点で分かりやすいのが、今お配りした資料の下段の表です。私は合
併して生まれる自治体と、同じくらいの人口の自治体では交付税や予算総額、職員数がどうなっているかと比較してみました。これでおおかたの傾向はハッキリと分かります。壱岐4町と同じ人口の長与町、対馬6町と同じ人口の島原市、比べるとごらんのように、地方交付税は3割になります。予算総額が半分、職員数も半分、議員の数が26〜27%というふうに減ります。地域には豊かさや税収の違いがありますから、この通りにはならないと思いますが、おおよその傾向としてこうなることは避けられません。人口は同じでも合併して面積は5倍、10倍と広くなるのに、半分の予算、半分の職員で対応しようとすれば、どう考えたって行政サービスの低下を招かざるをえません。要綱の31ページのグラフで「地方交付税と歳出が減る」というなら、どれだけ減るのか試算を示すなり、こうした類似の自治体の例を示すなりする責任があります。県に都合のいいようにばかりいって合併を進めるのではなく、県民の暮らしに最も影響があると思われるこういうことについても、きちんと示して県民に対して公正な取り組みをしてもらいたいと強く求めて終わります。