「しんぶん赤旗」2011/11/19
土曜人とき
「杢人の会」理事で九州大工塾の呼びかけ人
 長崎市在住 池上一則さん(45)

  土壁と木組みの住み心地の良い木造住宅をめざす長崎市の大工です。

 全国の大工有志でつくった「杢人(もくじん)の会」(本部・埼玉県)の理事で九州大工塾の呼びかけ人の1人です。九州での大工塾開催は初めての試み。

 木造住宅づくりの技術継承とともに、家づくりの持つ意味を考え、自らの大工像を探るのが目的です。19日の第1回を皮切りに来年2月にかけ計4回開きます。

科学の目で木造の良さ伝え
 「本物の建物を見てほしい」と言います。木造しかなかった当時の建築物のデータを検証し、科学の目で捉えた技術から木造の良さを訴えます。

 長崎市で生まれ育ちました。高校卒業後、横浜の防衛産業の会社に勤めましたが、戦闘機の部品など戦争のための物づくりに意味を見出せず、23歳で退社。

 25歳でなった大工は、大手住宅メーカーの請負仕事で使われる新建材に健康被害を与える素材が含まれており、嫌気がさしました。

 転機になったのは、知り合った大工仲間に導かれた循環型家づくりの勉強。新建材を使わず、解体時も廃棄物を抑える設計で、快適で環境に良い木造建築を志しました。

 心がけは「偏らないこと」。伝統工芸に携わる者は固執する余り偏りがちと、自らを戒めます。

 「大工塾でつながりを増やし、地元の大工仲間のグループをつくりたい」と意欲的です。
 (長崎県・村ア利幸)