「しんぶん赤旗」2011/9/25
前知事親族会社の不透明な選考究明へ 
県議会が百条委員会設置

  自民党の金子原二郎参院議員(長崎県選挙区、前長崎県知事)と同党の谷川弥一衆院議員(比例代表ブロック)の親族が役員を務める企業が、諫早湾干拓農地に入植していた問題で、長崎県議会が百条委員会を設置しました。不透明な入植者決定選考を究明する動きに県民が注目しています。(長崎県・村ア利幸)
  県議会は9日、諫早湾干拓営農地への入植者決定選考について、調査権を持つ百条委員会の設置を決めました。賛成23(共産党、改革21、自由民主党、新生ながさき)、反対21(自民党・清風会、自民党・維新の会、公明党)、退席1(無所属)の小差でした。

 百条委員会設置の背景として、前知事の在職中の疑惑に対する県民の根強い解明要求に加え、今年のいっせい地方選後の自民党会派の分裂があります。

 百条委員会の提案者の一人、日本共産党の堀江ひとみ県議は、諫早湾干拓事業を舞台にした疑惑の徹底究明を一貫して要求してきました。採択では反金子・谷川派の議員が賛成に回り、設置が実現しました。

 問題の企業は、谷川議員の長男が代表取締役、その妻である金子前知事の長女が取締役を務めていた農業生産法人です。2008年に入植した農地は約32ヘクタール、干拓農地672ヘクタールの約5%に当たります。(写真は小江干拓地)

 法人が設立されたのは07年1月で、農業に従事したことのない企業でした。沿岸部から離れた一等地の干拓農地入植した事実が発覚すると、県民から「入植を目的に設立した企業ではないか」と批判の声が上がりました。親族は、問題が発覚した08年3月に企業の役員を辞任しています。

 国営諫早湾干拓事業は、事業費として国と県から2533億円もの巨費が投じられており、事業費は1ヘクタール当たり3億7700万円にも上ります。

 百条委員会設置について、堀江県議は「当時、県民から強く出された要望を県議会が真摯(しんし)に受け止めた形となりました。真相究明に向けて調査を求めていきたいです」と話しています。12日に開かれた第一回委員会では参考人として金子前知事を招くことも視野に審議を進めることを確認しています。