「しんぶん赤旗」2011/8/20
土曜 人とき
工芸品を作って施設などに贈る
長崎市在住 山口勇さん(84)
 ビーズに糸を通して作った愛嬌(あいきょう)のあるオランダ人形、竹と紙のこよりで作った宝船など、多彩な工芸品を作り、「恵の丘・長崎原爆ホーム」などの施設に贈っています。

 長崎被爆地域拡大連絡会世話人として活動を続けてきました。じっとしていられない性分。工芸品作りは趣味と生きがいを兼ねています。

 長崎県諫早市生まれ。1942年に中国・瀋陽(しんよう)に兵隊として渡りました。1958年に日本へ引き揚げるまで暮らした中国では周囲の善意にずい分助けられ、助け合いの精神が培われたといいます。

 被爆地域拡大の活動から、つながりを広げるためにも工芸品を贈るボランティアを始めました。2004年に「恵の丘」に初めて工芸品を贈ったとき、「男の人から贈り物をされたのは初めて」と施設の女性から言われ、うれしいような照れくさいような気持ちになりました。

 「個人の勝ち負けではなく、思いやりの気持ちを持ち、相手のことを考えることが大事」。今の若い人に伝えたいことです。
(長崎県・村ア利幸)