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長崎市間の瀬地区に「黒い雨」は降った
被爆指定地域拡大めざす
被爆地域の指定外とされたため、被爆者として認められず、被爆者健康手帳の交付も受けられないなど、行政から切り捨てられてきた「被爆者」が、長崎市にはいます。新たな科学的知見を国につきつけ、被爆地域の拡大をめざす動きを取材しました。(長崎県・村ア利幸)
被爆地域指定への可能性が期待されているのは、長崎市東部・間の瀬地区。「黒い雨」が降った地域です。
原爆投下直後、広島では広範囲に黒い雨が降ったとされますが、長崎では西山地区にのみ降ったとされてきました。国は1974年に時津・長与などを含め、原爆被爆地は爆心地から南北に約12キロ、東西に約7キロと指定しました。
間の瀬地区は、爆心地の北東に約7・5キロ離れた山間部の集落です。当時320人の住民がいました。間の瀬地区について国は、「新たな科学的知見が見られない」との理由で被爆地の指定外とされました。これは「科学的根拠のない被爆地域指定」と住民から批判の声が高まり、現在もその是正を求める被爆地域拡大の運動が続いています。
県保険医協会は、間の瀬地区で原爆投下直後に雨が降り、住民から脱毛の症状が見られたという調査結果を6月14日に発表しました。
放射性降下物を含んだ「黒い雨」により、5割以上の住民が脱毛していた事実も聞き取り調査でわかりました。
裏付け調査も動き出しました。広島大学原爆放射線医科学研究所の星正治教授、長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科の高辻俊宏准教授、長崎県保険医協会の本田孝也副会長らは7月9日、10日、長崎市西山地区と間の瀬地区の土壌調査を行いました。プルトニウムの有無などを専門機関で調査する目的での土壌採取です。
星教授は「プルトニウムが検出されれば、脱毛の原因がわかり、被爆地域拡大の運動を前進させる一歩となります」と語りました。
分析結果が出るのは半年後。被爆地域拡大協議会の峰松巳会長は「住民の証言から『黒い雨』が降った事実は動きません。今回の土壌調査でその証拠が出ることを確信しています」と期待を寄せています。
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