2011年2月11日 しんぶん赤旗
ひと
 「よみがえれ!有明海訴訟」を支援する全国の会事務局長
  岩井 三樹 (いわいみき)さん (69)

 歴史的な勝利判決から2カ月。各地での勝利報告集会への参加、政府交渉で弁護団とともに上京と、多忙な日々が続いています。
 有明海沿岸4県の漁民が諫早湾潮受け堤防の開門を求めた訴訟で昨年12月6日、福岡高裁は国に開門を命じました。菅政権は上告を断念し判決が確定。「宝の海」を再生させる道が現実にひらけたのでした。

 「みなさん、よかったですね」。判決を聞いて自然と出てきた言葉。漁民らをたずね歩き、原告が追加を重ね約2500人に達した、それまでの日々がよみがえりました。
 「漁民でただ一人、原告になった理事が、理事会で攻撃され差別にあっても、『裁判にかかわって良かった』と、がんでなくなる直前に話してくれました。本人を前に、ボロボロ泣いてしまいました」。

 出身は長崎です。長崎民医連を定年で退職、県社会保障推進協議会事務局長を務めていました。弁護団から「裁判に向け4県の住民運動をまとめる人が必要だから」と請われてこの道に。「漁民のたたかいに勇気づけられ、学ばされました。」 有明海再生に向け、これからが大事。菅政権が約束した開門調査の実現は待っ
たなし。湾内の長崎県漁民が開門を求めた裁判は3月の判決を前に、和解の方向
が検討されています。
 妻と娘、2人の孫を残して佐賀市暮らし。「自宅に戻っても食事は自分がつく
ります」と笑います。単身生活が続きそうです。
   文・写真  平川明宏