「しんぶん赤旗」2010/1/8
日本の基地はいま たたかいの現場から
日米の攻撃能力を大増強 長崎・佐世保基地

 長崎県佐世保市には、米軍墓地と、海上自衛隊墓地、日本版海兵隊″とよばれる西部方面隊普通科連隊の陸上自衛隊基地が置かれています。これらの基地は、今までも増強され続けてきました。
 その特徴は@アメリカの世界戦略を支える巨大な補給基地A沖縄・岩国の海兵隊部隊と一体になった戦争出撃基地B日米共同作戦基地−です。
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  民主党政権の新しい「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」は、新たに「即応性、機動性、柔軟性、持続性」を重視した「動的防衛力の構築」を打ち出しました。今後5年間で約23兆5000億円の軍事費を投入することを計画するなど「自衛隊が海外に迅速かつ持続的に展開する能力を増強することを公然とめざしています。佐世保基地はこれらの方針に沿って、一段と強化されよとしています。

 日本版海兵隊″基地、相浦(あいのうら)駐屯地では早くも南西諸島配備・展開に備えるかのような激しい訓練を日常的に行っています。 
 昨年10月21日の日米合同委員会は、日本の思いやり予算的170億円を費やし、6年の月日をかけ完成させた510bの米軍専用岸壁を含む約5.8ヘクタールの埋め立て地を米軍に提供することを決めました。 
 米軍の喜びようは想像を超えるものでした。この供用開始を記念し、日米安保改定50周年をつけ加えた式典に佐世保市長、市議会議長らを招待。一般市民には米軍基地と強襲揚陸艦エセックスを開放して見学させるほどでした。

 来年度にはアメリカ本国では唯一海外配備しているLCAC(エア・クッション型揚陸艇)の新しい墓地を完成させようとしています。250億円の資金と6年間の年月を投入して、現在配備隻数をほぼ倍加する12隻の収容ができるようになります。
 LCACとは、海も陸も走行できる強襲上陸用舟艇です。海兵隊員や戦車などを、一気に目的地点に輸送することが可能になります。
 今までおいていた崎辺地区のLCAC跡地には、今度は新防衛大綱が打ち出した潜水艦配備隻数増加をにらんで潜水艦基地誘致の動きが始まりました。横須賀市(神奈川
県)、呉市(広島県)にひきつぎ第3の海上自衛隊潜水艦基地を米軍跡地につくろうというのです。米軍も海自もその攻撃的能力を大増強させようというのです。

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 さらに、米海軍の前細弾薬庫を針尾に移転集約させ、約6ヘクタールの海を埋め立て、大型戦闘艦船も輸送艦船もゆったり接岸できる水深の深い岸壁と、どんな種類の弾薬類も貯蔵可能な保管庫をもち合わせた巨大な弾薬庫建設計画が進行中です。完成まで20年かけ、どんなに低く見積もっても1000億円はかかるという大工事です。
 不足する米軍家族住宅建設拡充のために、市道やハウステンボス駐車場用地を提供した整地工事も進行中です。

 これらの基地増強は、97%の市民が賛同した「市民はその総意をもって港を永久に平和港として育成することを宣言」(1950年1月)した平和宣言に真っ向から反するものであり、大きな反撃が起こることは間違いありません。
             (日本共産党佐世保市議 山下千秋)