「しんぶん赤旗」2010/9/4
土曜 人とき

本当の「被爆者援護法」めざして
長崎原爆被災者協議会事務局長 
山田拓民さん(79歳)


 現行の被爆者援護法は何があって、何が欠けているのか、みんなで一緒に考える学習会(4日と10月2日)を企画、準備しています。

 7月、長崎地裁は原爆症認定集団訴訟の第二次訴訟で「熱傷瘢痕(ねっしょうはんこん)を原爆症と認めず」との判決を出しました。

 「放射線」を原爆症認定の判断の材料にしていますが、被害は放射線だけでなく、熱線も爆風も、さらに心に受けた傷も様々な健康障害をもたらしています。

 にもかかわらず、今の法律では被害には対処できません。

 「被爆から65年、被爆者は高齢化しています。今こそ原爆によって生じるすべての被害に対応できる法律をつくらなければならない」と話します。

 長崎で爆弾が炸裂した時、長崎市鳴滝にあった県立長崎中学校の2階にいました。2年生で14歳でした。

 建物が燃え盛り崩れ落ちた駅前を避け、金毘羅山越えに自宅にたどり着きました。母、姉、2人の弟の無事を喜びましたが6日後には、この4人の遺体を自らの手で焼くことに。生き残った父親さえ失いました。

 自身の被爆体験を基に創作集『あの日鬼になった』を今年8月9日に発行しました。

 4枚の火葬許可証を手に少年が鬼の形相で肉親4人の遺体を焼く…。そのことを話すとあふれでる涙が止まりません。

      (長崎県・西村学通信員)