「議会と自治体」誌 第149号 2010年9月号掲載記事
聞いて 寄って うちのまち
長与みかんと
体験ペーロンのまち

●長崎・長与町
                     党長崎・長与町議 河野籠二

 長与町は長崎県の南西部、長崎市の中心部から北側わずか10キロに位置し、面積28平方キロbの町を横断するJRには4つの駅があります。通勤、通学に便利で、自然が多く残されていることなどから、長崎市のベッドタウンとして発展し、現在の人口は4万2千人を超えています。

 町の主な産業は、2百年余の歴史を誇る長与みかんです。長崎では伊木力みかんが有名ですが、長与みかんも糖度が高く、北陸地方まで出荷されています。
 しかし、生産者の高齢化や担い手不足で、年々生産量も減り、こうしたみかん山が、宅地開発の場所となつています。

 長崎県は市町村合併を全国でもっともすすめた県で、79市町村が21市町に、町は71から7町までに激減しました。
 長与町にも、合併協議会が設置され、合併協議がなされましたが、議会で否決し、単独の道を選択しました。

 人口が増加傾向にあり、財政的にも安定していることもあり、住民の意見も、単独町を望む声が多くありました。現在では、合併した周辺自治体から、「長与町は、合併しなくてよかった」と言われることもあります。
 しかし、住宅だけの町では、町財政の危倶がある″という声もあり、合併の火種が消えたわけではありません。これからも単独で存在できる、町民が主人公になれる行政運営が、もっと必要になってきます。

 長与町には、人を呼べる観光資源はありませんが、4月から9月にかけて、波静かな大村湾で、長崎の夏の風物詩の一つであるペーロン船を利用しての、体験ペーロンが盛んになつてぎています。

 ペーロン船は中国から由来したものです。明暦元年(1655年)、長崎港に碇泊中の唐船が暴風雨に襲われて難破し、多くの溺死者を出しました。そこで、長崎在留の唐人たちが、海神の怒りを鎮めようと、端舟(はしけ)を借り集めて、長崎港で競漕(きょうそう)したことがはじまりといわれています。

 太鼓とドラの音に合わせ、26人のこぎ手が擢で船をこいで、競争します。小学校、中学校の学校対抗の大会が開かれ、町の大会には婦人チーム、職場、商工会、高校生、大学生など多くのチームが参加してにぎわいます。
 修学旅行の体験ペーロンも大変人気で、申し込みの数も増えているようです。大会がおこなわれる大村湾は、大河バラマ「龍馬伝」のロケ地にもなっでいます。

 長崎は「龍馬伝」観光にわいています。龍馬役の福山雅治さんが撮影した長与町のJR「本川内駅」の写真が福山さんの写真展で展示され、小さな山奥の駅ですが、福山ファンもたびたび訪れています。     (かわの・たつじ)