「しんぶん赤旗」2010/3/12
長崎海上自衛隊大村基地 
普天間基地「移設」
 

 普天間基地の長崎県への移設案が持ち上がり、移設先とされている大村市では移設反対の動きが強まっています。(長崎県 原口一二美)

 隣町の町内会長もノー

 移設案は、普天間のヘリ部隊を海上自衛隊大村航空基地に、歩兵部隊を佐世保市の陸上自衛隊相浦駐屯地に移設。相浦の自衛隊は沖縄に移すというものです。

 「わたしたちは国のためにもう十分負担をしてきた。大きな犠牲を払ってきた」。大村航空基地に隣接する古賀島西町内会会長の川村勝信さん(73)は繰り返しその言葉を口にしました。

 同町内会役員班長会は1月、普天間基地の大村移設に「絶対反対」の決議をあげました。

 1923年、旧海軍はこの地域から住民を強制的に追い出し、基地をつくりました。戦後は海上自衛隊基地とされ、ヘリ騒音に悩まされてきました。

 川村さんは「100戸以上がふるさとを追われ、強制移転させられた。ここは90年も犠牲になっているんです」と語気を強めました。

 現在自衛隊が訓練をおこなっているのは基地と一体になった長崎空港(大村空港)A滑走路です。年間2万回の離発着訓練がおこなわれているといわれています。

 川村さんに話を聞いている間中、プロペラの回る音。ときにバリバリバリと激しい音で声が聞こえません。

 市の調査ではA滑走路からわずか90bの住宅(写真)では騒音が環境基準を超えています。川村さんは「米軍が来ればもっと騒音はひどくなる」と警戒します。

 同滑走路は今年4月、「騒音対策のため」に国交省から防衛省に移管されることになっています。一般の旅客機が使用する海上の長崎空港B滑走路は民間空港では米軍の利用数が全国一。

 大村基地は強襲揚陸艦が配備されている米軍佐世保基地から近く、米軍にとっては使い勝手のよい基地といえます。

 A滑走路の防衛省移管に基地強化の懸念が強まっていた矢先の移設問題。住民に不安が広がり、ほかの自治会でも反対決議を上げる動きが出ています。
 
 市議会も先月、臨時議会を開き、全会一致で移設反対を決議。松本崇市長もその議会で、騒音、事件・事故などが懸念されるとしてきっぱりと反対を表明しました。

 日本共産党の久野正義・大村市議は、「戦前、大村航空廠の空襲で多数の犠牲者がでました。長崎空港建設時、県知事も軍事利用しない誓約をしています。平和を乱す米軍基地化は許されません」と話しています。