「しんぶん赤旗」 2009/6/11
長崎の女性史を研究する
         葛西よう子さん
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 長崎に生きた女性の掘り起こしがライフワークです。「長崎女性史研究会」の一員でもあります。

 今、取り組んでいるのは、明治にアメリカに留学し、彫刻家でもあった長崎でも無名の女性です。

 夫は片山潜とも親交のあった社会思想家です。

歴史から見えてきたもの

 わずかな手掛かりから、文献を求めて国会図書館、東京大学図書館へ。

 女性が働いていた学校、生家はもちろん、漠然とした場所しかわからない墓地まで、ありとあらゆる手掛かりを求め、探し歩きます。

 少しずつ明らかになる生きいきとした女性の姿。インタビューの日、「やっと昨日、お孫さんが見つかった」と。

 その過程が「おもしろくてしょうがない。探偵と同じ」と笑います。わくわく感が伝わってきます。「現場に行かなきゃだめ。現物を見ると周りが見えてくる」。10年、20年と追いかけるその探究心に敬服します。

 高校で長い間、歴史を教えてきました。今、長崎大学の非常勤講師として平和講座を担当。従軍慰安婦、靖国など「女性と平和、戦争」について学生たちに語ります。

 高校退職後、県立図書館に通い、明治時代に長崎で発行された新聞の女性に関する記事を全部読み、書き写しました。ほぼ毎日、朝9時から夕方5時まで。それでも4年半かかったと言います。

 その資料は、「こんなになった」と50a程の高さを示します。そこから見えてきたものは女性が戦争賛美に流される過程でした。14日に開かれる長崎県母親大会。講師としてそこを語ります。