「しんぶん赤旗」総合地方版 2007/3/19
わが街 ふるさと
 海山の温泉、観光と農業結び
 長崎県雲仙市


奥中央が普賢岳 雲仙市は一昨年の十月、七つの町が合併してできたばかりのまちです。噴火で一躍有名になった雲仙普賢岳がそびえる島原半島の北西部に位置し、北に有明海、西に橘湾という二つの海に臨んでいます。
 
 日本最初の国立公園に指定された雲仙岳は、周りをぐるりと海に囲まれ、他の名山に負けないすばらしさを持っています。天気の良い日は足元に天草諸島を見下ろし、遠く煙を吐く阿蘇や九重、時には鹿児島の霧島まで見通すことができます。
 春は雲仙ツツジが山を彩り、夏は木々の緑葉、秋は赤や黄の紅葉、冬は真っ白な霧氷など四季を通じて目を楽しませてくれます。仁田峠まで登ると、噴火でできた日本で一番新しい山「平成新山」が目の前に迫ってきます。溶岩が盛り上がった山頂からは、いまだにガスが立ち上っています。
 火山には温泉がつきもので、山の雲仙温泉と、海の小浜温泉の二つがあり、最近は韓国や中国などからの客も増えています。

 また、雲仙市は県下でも有数の農業地帯です。全国的に有名な馬鈴薯をはじめ種々の農産物が生産されています。しかし、昨秋からの野菜の安値には多くの農家が泣かされ、生活できる農業政策への転換が痛切に求められます。
 そんな中、観光と農業を結びつけるグリーンツーリズムの取り組みが始まり、温泉に入って、カーネーション狩りやイチゴ狩り、ジャガイモ掘りなどを楽しむ企画が好評です。
 日本でここにしかない「雲仙こぶ高菜」と、橘湾岸でエタリと呼ぶカタクチイワシで作った「エタリの塩辛」が、スローフード国際協会が進めている「味の箱舟計画」〜絶滅の危機にある食材や種を守るプロジェクト〜にリストアップされました。
 昨年、イタリアで開かれた世界大会にも出品されましたが、ぜひ、素朴な味わいに触れてもらいたいものです。

 一見のどかなまちにも切実な要求が渦巻いています。それに応えきれるためにはどうしても複数議席が必要と痛感しています。
(上田篤市議)