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特別記事へ 「しんぶん赤旗」2007/3/8
:激戦区を行く
 長崎県議選 長崎市区(定数14)
諌早干拓より医療・福祉に

 定数十四を十六人で争う少数激戦もようの長崎県議選の長崎市区。中田晋介県議の後をうけ、合併によって広がった長崎市を連日駆けまわるのが日本共産党の堀江ひとみ候補(47)=長崎市議=です。
    
 堀江ひとみ候補(47)懇談会で語る堀江候補と牧山市議候補(左)

 就学前の乳幼児医療費助成制度で、長崎市は四月から窓口払いのいらない制度に切り替えます。ところが県は「来年四月からこれまでの二分の一補助を三分の一に減らし約一億円削る計画」です。堀江市議の質問で二日、明らかになりました。

 翌三日、「県はなぜ子育て支援の充実を求める父母の努力に水をさすのか。県民の税金は諌早干拓より子どもの医療や福祉、暮らしに」|。議会報告車「ひとみカー」からの堀江候補の訴えに熱が入ります。団地の窓から手をふる人、ベビーカーを押す若い女性から「がんばって」の声も。訴えは二時間で十一カ所にのぼりました。

 四日、初夏を思わせる陽気のなかを市南部の大浦地域で四十数件を訪ねました。通りには日本共産党の「憲法九条守れ」のポスター、党首を大写しした公明党、自民党ポスター、後援会看板が並んでいます。地元後援会のハンドマイク宣伝の横を、初老の男性が「裏金はひどか」といって通り過ぎました。追って話を聞くと「自民党と公明党が選挙で訪ねてきた」と。激しいつばぜり合いになっています。

 石段を登りつめた家の庭先で出合った林田勉さんが堀江候補に訴えました。「退職金を食いつぶす毎日で心細いですよ」「県議会でも自民党と民主党はいっしょ、共産党にがんばってもらうしかない」
 昼食もそこそこに後援会員宅での小集会に急ぎます。牧山隆市議候補(党市医療福祉部長)も駆けつけました。

 「病院のケースワーカーとして働き、病院代が払えず病院にいけない患者さんをたくさん見てきました。『金の切れ目が命の切れ目』という政治は許せない」と、政治家として自らの原点を語る堀江候補の話に参加者はじっと聞き入ります。

 「干拓農地を買い取るのに五十三億円もカネを注ぎ、一方でわずかな敬老祝金は全廃、国保税への補助金も削る」|。話が県政に及んだとき、じっと聞いていた女性がつぶやきました。「ここまで働きずくめでがんばってきた年寄りに(政治は)ごくろうさんの気持ちもないのかね」
 「戦争も戦後の混乱も、高度成長も体験した」と前置きした元社会保険労務士の男性は、「今の人生ステージは坂道を転げ落ちるようだ」と言います。公明党が持ち出した定率減税廃止による住民税増税が国保から家賃にまで影響していると訴え、「公明党はやっぱり増税戦犯」と付け加えました。
 堀江候補の話をうなずきながら聞いていた久保和子さんは、「歯切れがよくて頼もしい。弱者の気持ちがわかる人」と期待を寄せました。

     ◇
 県議選・長崎市区。定数は十四のままなのに地域は旧長崎市に合併七町が加わり衆院一区より広くなりました。自民は前回の共倒れから候補者を四人にしぼり、民主は交代する三人を含め四人を公認。公明、社民は前回と同じ。無所属候補も前回一位など有力で「だれが落ちてもおかしくない」様相です。

 判明しただけで四億円もの県庁裏金。諌早干拓農地リースのための五十三億円の違法支出。
 一方で二十億円もの県民税増税。県立高校授業料など二百四十六件にのぼる使用料・手数料の値上げ。その裏には、議会中に百四万円(四年間)の税金を使った知事と自民、民主・社民党県議との飲み食いが。
 県民犠牲の知事提案に何でも賛成のオール与党県議会、いま県議のあり方が問われています。