「しんぶん赤旗」2023/7/19

三菱長崎造船じん肺第4陣訴訟」判決

 三菱重工業長崎造船所で働いていた元下請け従業員らが、同社が防じん対策などの安全対策を怠ったため粉じんに暴露し、じん肺になったとして、三菱重工業に対して損害賠償と謝罪を求めた「三菱長崎造船じん肺第4陣訴訟」(2019年提訴)の判決が18日、長崎地裁でありました。

天川博義裁判長(松永晋介裁判長代読)は、原告2人について三菱重工の責任を認め、合わせて約1500万円余りの支払いを命じる判決を出しました。

3人の原告は溶接や防熱作業などに従事しており、判決では、3人がいずれも、同社の粉じんに暴露する劣悪な労働環境下で就労していたと認めるとともに、造船所構内での粉じん作業従事者に対する安全配慮義務違反があったとしました。

 一方、提訴後に死亡した原告1人に対しては、じん肺に罹患していると認めながら、損害賠償請求は消滅時効が成立しているとして請求を棄却しました。

 判決後の報告集会で訴えを棄却された原告の次女(62)=遺族原告=は「本工労働者よりも過酷な環境の中で仕事をしてきたのに、認められないというのは差別としか受け取りようがない。悔しくて父親に報告ができない」と涙をこらえ訴えました。

 原告団と弁護団は、「判決で改めて厳しく三菱重工の責任が認められた」としましたが、原告1人の訴えが棄却されたことなどから、控訴する意向との声明を発表しました。