「しんぶん赤旗」2023/6/17

保険医協会が首相と市長に抗議と要請

 国の指定地域外で原爆被害に遭い、被爆者と認められない長崎の「被爆体験者」の救済を求め、長崎県保険医協会(本田孝也会長)は15日、岸田文雄首相に抗議文、鈴木史郎・長崎市長に要請書を提出しました。

岸田首相への抗議文では、広島では「黒い雨」訴訟の高裁判決を受け、被爆未指定地域住民への被爆者健康手帳の交付が始まっているが、長崎は「雨が降ったという客観的資料がない」と救済の対象外にされていると批判。長崎の被爆体験者も速やかに救済するよう求めています。

 鈴木市長への要請書では、同会が作成、公開した、長崎の「黒い雨」降雨地点のデジタルマップを厚生労働省交渉の一助として活用し、住民の側に立った被爆対策を求めています。

長崎市で会見した本田氏は、1987年に「長崎県被爆者手帳友の会」が東長崎の矢上、古賀、飯盛の三地区で実施した実態調査の結果を紹介。約6割が「黒い雨にぬれた」と答えており、被爆体験者の集団訴訟に証拠として提出したと報告しました。

本田氏は「これで雨が降っていないと言えるのか。体験者たちは『今度こそ』と思い待っている。一日も早い救済を」と訴えました。