「しんぶん赤旗」2023/6/29

「長崎被爆地域拡大協議会」が緊急要請

 国の指定地域外で原爆被害に遭い、被爆者と認められていない長崎の「被爆体験者」の問題で、厚生労働省が7月にも長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館に所蔵された被爆体験記の調査を開始することを受け、「長崎被爆地域拡大協議会」(峰松巳会長)は27日、県と市に緊急要請を行いました。

厚労省の調査は、原爆投下後の「被爆体験者」がいた区域での雨や灰、燃えかすなどの降下状況を明らかにするためで、県、市が要望していたもの。

要請書では、雨や灰の調査に加え、歯茎出血、下痢など人体への影響や、川や池の水を飲むなどした生活状況の調査も国へ要請するよう求めています。

さらに、新年度から被爆体験者事業に7種のがんが加わったが、「甲状腺がん」など原爆被害によるがんは適用除外で、「がんに苦しむ患者を分断するもの」として即刻改善すべきと指摘。国に対し、「被擾体験者」にただちに被爆者健康手帳を交付することを強く要請してほしいとしています。

県の担当者は「スピード感をもって調査を終了するよう国に要請する」と答えました。

市への要請で、旧古賀村で被爆した松下明則さん(84)は「当時、集落にある水くみ場から燃えかすが溜まった水をくみ、野菜を食べた。内部被爆が心配」だと語り、山本誠一事務局長は「会員は病気の人がほとんど。もう時間がない。解決を急いでほしい」と訴えました。