「しんぶん赤旗」2022/12/10

協和商工過労自死裁判で証人尋問

 長崎県佐世保市の食品卸売会社「協和商工」に勤務していた男性=当時 ( 25 )=が2 0 1 7年に自殺したのは過重な業務が原因だとして、遺族が同社に対し謝罪と損害賠償を求めた訴訟の証人尋問が5日、長崎地裁(古川大吾裁判長 )でありました。

 男性の親友や元同僚、元上司らが証言。すさまじい労働実態が浮き彫りになり、会社側の「長時間労働はなかった」との主張が虚偽だということが明らかになりました。

 会社にはタイムカードがなく、男性の直属上司は午前 6時に出勤していたのに、出勤簿には午前 8時半と記載していたと証言。管理職でありながら、当時は何ら疑問を感じていなかったと述べ、法律を守る意識が会社側に全くなかったことがわかりました。

 元同僚は、1日40〜50件の電話対応や、荷物を積んでいるトラックから離れられないため昼の休憩時間もきちんと取れなかったと証言。男性に頼まれ夜間の配送を手伝っていたという親友は、男性が午前4〜 5時に出勤していたこともあったと証言し、休憩時間など全て合わせると時間外労働は100時間を優に超えることがはっきりしました。

 弁論後の報告集会で原告である母親は、「息子の働き方が目に浮かぶようだった。こんな職場で命を落としたことが悔しい」と語りました。