「しんぶん赤旗」2019/3/10
追悼平和祈念館 「女性たちの原爆」開催
  長崎で被爆した女性たちの、女性であるが故の苦しみ、怒り、平和への思いをつづった手記を紹介する企画展「女性たちの原爆」が、長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で開催されています。今年12月25日まで、入館無料。

 同館では、毎年テーマを変え企画展を開催。9回目となる今年は、被爆したことで、結婚や子育てに大変な苦労を強いられた体験を持つ5人の女性の手記と資料を中心に、同館が公開している手書きの手記も展示しています。

 32歳で被爆した故山田セモさんは、原爆後1週間目に夫らしき死骸に出会い「ああこれだと思った時には、自分の骨もばらばらになった感じ」と記しています。7歳と2歳の子どもを連れ、家をなくしたその後の暮らしについて「生活とはいえない。ただ生きてきた、かろうじて生きてきたのだと思う」と、手記からはその苦難がにじみ出ています。

 松本美智穂さんの手記には、眉間に大ケガをし、軍医から「お嫁さんのもらい手はなかよ」と叱りつけるように言われ、涙をこらえたとつづっています。コンプレックスがいつもつきまとい「私の青春には何一つ楽しい思い出はない。戦争が憎い。絶対反対です」と記しています。

 企画展を担当する神徳孝子さんは「原爆によって人生を狂わされ、苦労を背負ってきた女性たちのことを、多くの人たちに知ってもらえたら」と語りました。