「しんぶん赤旗」2019/5/29
ノーモア・ヒバクシャ訴訟判決 2人は認定3人棄却
 原爆症の認定申請を国が認めなかったのは違法だとして、長崎市で被爆した男女5人が処分の取り消しを求めた訴訟の判決が27日、長崎地裁であり、武田瑞佳裁判長は男女2人の主張を認め、却下処分を取り消しました。一方残る3人の訴えは退けました。

 勝訴したのは心筋梗塞の男性(故人)と甲状腺機能低下症の女性(74)で、男性については原爆投下後、放射性降下物が付着したイモやカボチャを食べたことなどにより、下痢や発熱などの急性症状がなかったとしても相応の量の被爆をしたと認めました。

 判決後の記者会見で「長崎原爆症認定訴訟弁護団」の原章夫弁護士は「原告らは被爆時まだ幼く、具体的な証拠を出せない場合が多い。急性症状がなくても被爆を認めたことは、被爆者の具体的な状況に即した判断」と述べ「国の機械的な被曝線量の評価についての誤りを弾劾する判決」だと語りました。

 慢性肝炎の女性(81)については原爆症の疾病には該当せず、舌がん、皮膚がんの原告については、手術後再発の危険がないとして却下したことについては「国の主張を安易に認めている」と厳しく批判しました。

 同席した長崎被災協の田中重光会長は「80歳を超えた被爆者が裁判をしなければ認められない。被爆者には時間がない、1日も早く認めてほしい」と訴えました。