「しんぶん赤旗」2018/12/5
「諫早湾干拓事業を問い直す」シンポジウム
 「よみがえれ!有明海訴訟」を支援する長崎の会など4団体は1日、長崎市内で「諫早湾干拓事業を問い直す」と題したシンポジウムを開きました。約100人が参加しました。

 森下浩史・元長崎大学教授、「よみがえれ!有明訴訟」の馬奈木昭雄弁護団長、宮入興一・長崎大学名誉教授の各氏がそれぞれの立場から発言しました。

 森下氏は干拓事業による有明海の環境悪化について解説。馬奈木弁護士は、福岡高裁が漁民の漁業権は年で切れると判決を出した問題にふれ「今国会では漁業法の改悪が審議され国民が持っている権利は否定し、国、行政が握るということが着々とすすめられている」と警鐘を鳴らしました。

 公共事業のあり方について発言した宮入氏は、同事業は深刻な漁業被害を生み周辺地域の破壊と衰退をもたらしたが、農水省は環境の価値や漁業被害などについては完全に度外視している。これらを再計算すると費用対効果はわずか0.19となり「大欠陥事業であったことは明白である」と指摘しました。

 宮入氏は有明海の環境再生のためには、漁民、農民、住民を含む市民らが意識的に共同し広げていくことが重要だとのべ、その最初の手がかりこそ干拓事業の開門調査に他ならないと語りました。

 干拓農地の営農者が国や県などを相手に起こした裁判について、堀良一弁護士が詳しく説明しました。