「しんぶん赤旗」2019/1/30
「環境回復には開門」 諫干開門訴訟証人尋問
 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の即時開門を国に求めて、諫早市と雲仙市の漁業者が起こした訴訟の証人尋問が28日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)でありました。熊本県立大学・堤裕昭教授と熊本保健科学大学・橋徹教授は主尋問で、「有明海の環境を回復するには開門しかない」と主張しました。

 堤氏は潮受け堤防の閉め切りによって、有明海の特徴である西側と東側の潮流の速さが違うというバランスが崩れ、赤潮が大規模に発生するようになったことを解明。これが貧酸素水発生につながり、海底のエビ、カニなどの生物がほとんど死滅し漁業ができる状況ではなくなったと指摘しました。堤防閉め切りにより湾内のみならず、有明海全体の環境が悪化したことも明らかにしました。

 調整池の水質の調査を続ける橋氏は、閉め切りによって調整池が濁り、毒性が非常に強いアオコが大量に発生し、有明海にも広がっている実態を示しました。その上で「調整池の水質改善のために、毎年多額の税金がつぎ込まれているが、海水を導入すればアオコは死滅する。簡単なこと」と指摘。開門こそ解決の道だと証言しました。

 裁判終了後の報告集会で「よみがえれ!有明訴訟」の堀良一弁護士は「今日の尋問は、自然のメカニズムを科学の目で解明した画期的なものだった。今後の運動につなげていきたい」と呼びかけました。