「しんぶん赤旗」2018/10/19

国営諫早湾干拓事業、営農者訴訟
国は営農者を支援する対策を

 国営諫早湾干拓事業の干拓農地(長崎県諫早市)に入植する農業生産法人2社が、調整池があることで起こる冷害やそこに飛来する野鳥による農作物への食害を受けたとして、農地を管理する県農業振興公社と国、県を相手に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が16日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)でありました。訴訟では同時に潮受け堤防排水門の開門も求めています。

 今回の裁判で基本的な双方の言い分が出揃いましたが、開門訴訟の原告漁民が補助参加している件について、被告国側が異議を唱える意見書を提出しており、原告営農者側が次回期日の12月11日までに再反論します。

 裁判終了後の報告集会で裁判に補助参加している堀良一弁護士は、「国はカモの食害や、冷害などは発生していないと主張し、仮にそのようなことで経営上の問題が生じたとしてもそれは営農者の自主努力の問題だと言い放っている。けしからん内容だ」と指摘。「ひとつずつきちんとしたデータや科学的見地で明らかにし、反論していきたい」と今後の方針について述べました。

 原告の松尾公春さんは、「冬場は雲仙岳と同じくらいに気温が下がり、レタスが寒さで凍傷にかかる。出荷する時はきれいだがお客さんの所に着いてから崩れてしまう」とその厳しさを語り、「国は公共事業でつくった農地に責任を持って、営農者を支援する対策をとるべきだ」と訴えました。