「しんぶん赤旗」2017/12/16
「養生所」保存賛否で住民投票
長崎市議会が否決

 長崎市議会本会議は14日、市立仁田佐古小学校の新校舎建設予定地で出土した、長崎大学医学部の源流とされる「小島養生所」などの遺構の完全保存の賛否を問う住民投票条例案を賛成7、反対31で否決しました。

 住民投票を求めていたのは「養生所等遺跡の完全保存を実現する市民の会」で「遺跡は『出島』と同等の価値があり、全面的に学術調査をしてその価値を明らかにし保存するべき」としています。

 全国からも日本医師会、九州考古学会、長崎大学医学部などから遺跡の完全保存を求める声が続々と届いています。しかし、長崎市は遺跡についてはその一部のみを展示。他の部分は埋め戻し、校舎を建設するとしています。

 賛成討論で日本共産党の中西敦信市議は「市文化財審議会も『残すべき価値がある』と評価しており、住民投票の実施は至極当然のこと」と訴えました。

 「市民の会」の鮫島和夫代表世話人は「市は当初から、関係する会議に文化財担当者を出席させず、史跡の重要性についての認識を持っていなかった」と指摘。「今後は、可決された新校舎を建設する議案に付けられた『遺跡の保存と活用に当たっては、関係者の意見を聴取し、これまで出された意見も尊重しすすめること』との付帯決議の履行と、公開討論会などを求めていきたい」と語りました。