「しんぶん赤旗」2016/09/06
諫早湾干拓事業・開門めぐる第8回和解協議
農・魚・防災共存の段階的開門による協議を

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門をめぐる開門差し止め訴訟の第8回和解協議が6日、長崎地裁(松葉佐隆之裁判長)で開かれました。

 第7回和解協議で長崎地裁は国に対し、開門なしの「有明海振興基金」に対し、4県自治体と4県漁業団体に意向を聞き取るよう指示していました。結果は、長崎県を除き、佐賀・福岡・熊本の各自治体と沿岸4県の漁業者団体においては基金案を受託しない事を明確にしています。

 しかし、国は、開門とは切り離して農水省・4県自治体・4県漁業団体等の「有明海漁場環境改善連絡協議会」で基金案を継続議論するとし、長崎地裁も「国の基金案が成案になるまで待ちたい」との意向を示しました。次々回期日11月1日に国が基金の成案を地裁に示す予定。

 和解協議を受けての報告集会で堀良一弁護士は「最終的には基金案ができれば国はこれは開門に変わる基金案であると言い出すだろう。長崎県以外は同意していないこの基金案は、事実上暗礁に乗り上げており、裁判所は開門なしの基金案がダメなら、開門しても被害対策を検討するべき」と述べ、「国が基金の成案を出すまでの2カ月が最後の熾烈な争いになる。世論の力を広げ、漁民を励まして農・魚・防災共存の段階的開門による協議を求めていこう」と訴えました。