「しんぶん赤旗」2016/07/28
一方的に石木ダム工事試み
反対住民とにらみ合い

 反対地権者109人が国に事業認定取り消しの行政訴訟中である石木ダム取付道路建設現場入口で、25日長崎県職員ら十数人が工事再開のため訪れ、工事を認めない住民とにらみ合いになりました。
裁判長が「現地を見たい」として反対地権者13世帯約60人が暮らすダム建設予定地を視察することを表明した裁判が、今まさに進行中であるにもかかわらず、県は一方的に工事再開を強行しようと試みました。

 同じ日「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が世界文化遺産登録の国内候補に再選出されたと報じられました。長崎新聞は禁教のもとで潜伏キリシタンの文化的伝統について「弾圧や迫害に耐え、監視の目を逃れ、時に欺きながら魂の自由を守り抜いた人々の知恵と勇気の営み」と表現しましたが、弾圧し迫害した時の権力者と時代こそ違え、同じ過ちを繰り返そうとする県当局は、県民の目にどのように映るのでしょうか。

 県職員らは10分程の対峙の後「また来ます」として引き揚げましたが、建設に反対する住民は、「60人もの人が住んでいるところを強制収用しようという」県当局の工事強行の動きに今後も警戒をしています。

石木ダムとは
長崎県東彼杵郡川棚町川原(こうばる)川棚川の支流・石木川にダム建設の計画が持ち上がってから、半世紀。目的は水不足解消や洪水対策ですが、専門家によって必要性はないとわかりました。しかし反対地権者13世帯の土地と家屋の強制収用に必要な手続きは、残すところ県収用委員会の裁決のみとなり、現在長崎地裁で事業認定取消訴訟の審理と同佐世保支部で工事差止仮処分の審尋が行われています