核兵器廃絶市民講座                           2016/7/9
「世界の核兵器の現状と近代化計画」  
 核兵器廃絶市民講座が、「長崎原爆の日」の1ヶ月前となる9日、「世界の核兵器の現状と近代化計画」をテーマにアルカス佐世保で開催されました。

 今回の講師である冨塚明RECNA(レクナ)(長崎大学核兵器廃絶研究センター)准教授は、「日本では北朝鮮の弾道ミサイルの発射は報道されるが、その陰で核保有国が核兵器の近代化を進め、弾道ミサイルテストを繰り返していることはほとんど報道されない。」とし、核保有国のミサイルテストの実態や核兵器近代化計画を詳細な資料を示し告発しました。

 冨塚准教授によると核兵器廃絶を求める人々の声、日本被団協をはじめとした被爆者の「被爆の実相」を知らせる運動などにより「世界の核弾頭は約7万発に膨れ上がった後、現在1万5千発」程に減っている。しかし一方、米ロなど核保有国は昨年だけで30回近くの核弾頭搭載可能なミサイルの発射実験を行い、小型化や精度の向上など核兵器の近代化を続け、危険性は増大している。さらに米は「2080年までは核抑止力を維持する」として、「核兵器の近代化計画のため今後25年間で1兆ドルにも上る予算をつぎ込もうとしている。」と指摘し、今年日本被団協が呼びかけた国際署名について「(平均年齢80歳を超えた)被爆者が(いわば)自らの命と引きかえに始めたわけです。」「朝鮮戦争での米の核攻撃を阻止したと言われているストックホルムアッピールが5億(筆の署名が集まった)と言われている。それに匹敵するか、上回る署名を被爆者が最後の力を振り絞って集めようとしている。そういう中で被爆県の私たちはどうしなければいけないのか。」日本政府が言っている「核保有国も納得するような核兵器廃絶の道を(段階的に)探るなど悠長な」情勢ではないとして「皆さんと一緒に力を合わせていきたい。」と結びました。

 講演後の質疑の中で、雲仙市から参加した被爆者の方は「この講座は(私にとって)非常に支えになっている。レクナへの期待は大きい。」「(今日の講義を)長崎の県議会市議会でも是非して下さい」などと強く要望していました。

 市民講座は今年度6回予定され、今回は2回目。次回は9月10日(土)「核兵器廃絶に向けて非核兵器国の役割」のテーマで講師は中村桂子同准教授。主催は核兵器廃絶長崎連絡協議会、詳細は同事務局
(095-819-2252)かRECNAホームページを参照して下さい。