「しんぶん赤旗」2016/05/25

諫早湾干拓訴訟
和解協議で国が基金案

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)をめぐる開門差し止め訴訟で長崎地裁は23日、開門を求める漁業者側、開門に反対する干拓地営農者側と国側の3者による4回目の和解協議をおこないました。

 今回の協議で国側は、開門に変わる有明海再生策として国が全額資金を拠出する「有明海振興基金」(仮称)を創設し、沿岸4県と漁業団体などでつくる運営主体の裁量で漁場改善策をおこなうなどとする提案を示しました。

 開門を求める漁業者と弁護団の報告集会で馬奈木昭雄弁護団長は国側の提案について「国はこれまでの10年以上に及ぶ有明海再生事業の反省もなく、金だけ出してあとは地元に丸投げする無責任なもの」と厳しく指摘しました。次回6月13日の和解協議で、開門した場合の協議を求めることをあきらかにしました。漁業者からは「開門ぬきの和解には応じられない」という怒りの声とともに、「調整池からの排水が原因でヨコエビが大量に発生して魚を食べる被害が広がっている」という深刻な漁業被害の状況が語られました。