「しんぶん赤旗」2015/12/09
実態に基づき是正を
長崎被爆地域拡大協議会が要請
 原爆投下の爆心地から12キロ以内で被爆しながら被爆者とは認められず、被爆者健康手帳をもらえない「被爆体験者」―。長崎被爆地域拡大協議会が8日、原爆被害の実態に基づいた被爆地域の是正拡大を求めて、国会内で厚生労働省に要請しました。日本共産党の田村貴昭、真島省三、赤嶺政賢の各衆院議員が同席しました。

 同協議会の山本誠一事務局長(80)が、放射線の専門家など研究者4人と協力して作成した報告書を提示。しかし、拡大に科学的根拠を求めてきた厚労省は検討する姿勢を示さず、「検討することを検討する」などと回答を保留しました。

 また、米国が原爆投下直後に作成した原爆被害の調査報告書について、同協議会は6年前の要請から厚労省に見解を求めていましたが、「手元にはあるが、ざっと目を通しただけ」などと答えるにとどまり、いずれも後日文書で回答するとしています。

 佐藤郁雄副会長(80)は「本来ならば国が調査、検討すべきことを被爆当事者に求めておいて、施策に反映させるために『検討する』とも言えないのか」と、厚労省の姿勢を批判しました。津村国弘理事(72)は「実情をまったくかえりみず、一度決めたことを続けていくのはなぜか。科学的知見を行政に生かして被害者を救済することが行政当局の仕事ではないのか」と訴えました。

 要請後の報告会で田村議員は「国会でとりあげないといけない問題だ。必ず追及する」と決意を表明しました。