「しんぶん赤旗」2015/02/25
ひと
ダム反対を訴える
石木川まもり隊代表

松本美智恵(まつもと・みちえ)さん(63)
 「私たちが伝えることで、多くの人が税金はこんな使い方をされているんだと実感できると思うんです」と穏やかな口調で話します。

 長崎県と佐世保市が利水と治水を名目に、川棚(かわたな)町・石木(いしき)川に建設を計画している石木ダム。人口減少傾向の佐世保市の過大な水需要予測、河川改修をすれば防げる川棚川の洪水、多様な生態系の破壊、そして、人権問題。「戦後70年、60人も住んでいるところを強制収用したという事例はないのでは。こんなことを許したら、私たちの人権も奪われかねません」と話します。

 横浜で教員をした後、結婚して埼玉に移り住み、2008年夏、佐世保市に引っ越してきて、石木ダムのことを知りました。

 「水問題を考える市民の会」ができ、その最初の集会で聞いた2人の若い住民が「必要のないダムのために私たちのふるさとが奪われようとしている」とのべ、衝撃を受けました。こんなに「自分たちのふるさとを守りたい」と訴えているのに、佐世保市民として知らん顔はできない、との思いで、09年7月、「石木川まもり隊」をつくり、ホームページを立ち上げ、石木ダムのことを市民に知らせるなどの活動を始めました。

 「建設予定地は、夏にホタルが飛び交い、貴重な淡水魚もいる美しい場所です。活動を後押ししたのは住民の思い。声を上げることで世論が変わっていく。あきらめず、自分のこととして支えたい」と語ります。
 文・写真 村ア 利幸