「しんぶん赤旗」2015/02/01
大規模施設のための用地取得
長崎市議会否決⇒一転賛成
「市言いなり」批判噴出
市民「共産党の議席必要」
 熊本市、長崎市、福岡県久留米市など九州各地でMICE(マイス)と呼ばれる大規模会議や展示会などの施設の建設事業計画がすすんでいます。長崎市では、MICE計画での市の強引な進め方や市議会の対応に批判が高まっています。

 市は、「新幹線が開通し、観光客が訪れ、それに加えMICEでビジネス客などが新たに訪れるようになれば、長崎のまちは、さらに発展します。MICE施設は“未来の出島”なのです」とばら色に描きます。

 全体で200億円を超える事業ですが、経済波及効果や採算は不透明のままで、市民からは「市は説明不足だ」と批判の声があがっています。

 このMICE建設予定地であるJR長崎駅西側の土地を68億円で買い取る用地取得予算案をめぐり、日本共産党のいない市議会は混迷しました。

巨額の税金が
 昨年の9月定例会で市議会は「説明不足」などを理由に、MICE計画を所管する環境経済委員会と本会議で予算案を否決しました。そのため、市は11月定例会で、使用目的を「交流拠点施設」用地とし、所管も環境経済委から建設水道委員会に切り替えて再提案。市議会はMICE施設建設の是非についての十分な議論のないまま、建設水道委と本会議で賛成多数でw可決しました。

 「MICEにかかわらず、将来の利活用について十分検討すること」などとする付帯決議が付きましたが、市はあくまでMICEを念頭においているのは明らか。建設の是非など重要な議論を避け、予算案を通した議会の対応は重大です。

 日本共産党の中西あつのぶ前市議は「市は、市民にはMICEと説明する一方、議会には交流施設だとごまかすなど市民を愚弄(ぐろう)しています。市議会も一度否決したものを市の言うまま賛成した。そんな議会でチェック機能が果たせるのか」と慰問を投げかけます。

 同じく日本共産党の内田隆英前市議は「議会では、巨額の税金をつぎ込んでまで本当に必要な施設なのか、そんなお金があれば福祉充実に使うべきではないのか、といった議論がまったくありません」と指摘します。

空白克服へ全力
 日本共産党の議席がなく文字通り「オール与党」議会の長崎市。大型開発優先で福祉切りすて・市民負担増押し付けの市政運営に加え、市議会もくらしにかかわる市長提案議案にすべての会派が賛成しています。保守系の元議長も「共産党の議員がいないから議会が活発にならない。賛成討論ばかりで議会の体をなしていない」とこぼしています。

 市内で喫茶店を経営する庄司秀子さん(72)は、MICEについて「よくわからないまま進められ、駅前商店街の人たちも不安を口にしている」といいます。庄司さんは「今の市議会は、請願も紹介議員になってくれないし、市民の代表とはいえない」と憤り、「消費税増税で辞めていく商売仲間が多い。大型開発よりも、くらしや商売を続けられるための政策を立ててほしい。困ったときに頼りになる共産党の議員が必要です」と願います。

 日本共産党の内田、中西、大石ふみきの市議候補3氏は、市民の声が届く議会をと、4月の市議選で空白克服をめざし全力をあげています。